the 3rd place

人生のレールから脱線したフリーターの、徒然なる日常を不定期に綴っております。 今のとこ…

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人生のレールから脱線したフリーターの、徒然なる日常を不定期に綴っております。 今のところ主観成分100%のエッセイが主ですが、もしかしたら気分次第で詩や小説も……? Twitter:https://twitter.com/ichitakahirose

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  • 言の葉の川

    とりとめなき言葉たちを、適度に放流したくて

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おなかいっぱいたべてみたい(2)~函館旅行記(2)

正午過ぎの新幹線に乗って終点の新函館北斗駅まで、およそ四時間弱の旅路。 更にそこから函館本線と市電を乗り継いで、目的地のホテルに着いたのは日没後の午後七時を回ってしまっていた。 チェックインの際、早速フロントの方から二泊三日分の食事の開始時間を尋ねられた。予め時間を区切る事で混雑を分散させているのだろう。それぞれの時間を指定して、ウェルカムドリンクのトウキビ茶を飲み干すと、いざ宿泊部屋へ。そして部屋に着くないなや玄関に荷物を置いて、ダブルベッドにグレードアップされていた感慨に

    • おなかいっぱいたべてみたい(1)~函館旅行記(1)

      『食べ放題』――それは、僕が小さい頃から大好きな食事形態だった。 初めての食べ放題は、小学3年の夏休みだっただろうか。 同級生ら数人と近所にあったレジャープール施設で散々遊んだ帰り道に、引率を担っていた友達の父親が「近くにある食べ放題の店、行ってみようか」と軽いノリで連れて行ってもらったと記憶している。 幸い母親から予め多めにお小遣いを貰っていたので、お金の心配はなかった。とにかく『食べ放題』という言葉の響きが、当時の僕にはあまりに眩しすぎた。一体どんな料理をどれだけ食べら

      • 帰り道のラーメン屋

         ここ数週間、休日の日課となっていた朝の散歩が疎かになってしまっている。原因はいわずもがな、この時期恒例の梅雨前線のせいだ。なぜか仕事の休みの日に限って、雨が降り注いでくるのだ。一応「多少の雨くらいでへこたれるな自分」と気持ちを奮い立たせたりはするのだが、窓越しから聞こえてくる地面を叩きつけるような強烈な雨脚の音を聞いた瞬間、たちまち萎えてしまう。  そうなると、普段は散歩がてら喫茶店や近くの大学のカフェで摂っていた朝食も、自然と家の中にあるもので済ませる形になってしまう。

        • 雨音を聞きながら、想う

           ここしばらく陽射しの届かない日々が続くなと思っているうちに、そのまま梅雨入りが発表されてしまった。大抵梅雨に入る前には「走り梅雨」という天気のぐずつく期間があったりするもので、通常ならその後晴れ間の続く期間を経てから本格的な梅雨に入るものなのだが、どうやら今年はこの走り梅雨が長引いたまま、ズルズルとなし崩し的に梅雨へと入った格好らしい。この天気のメリハリのなさというかだらしなさが、まるで休日の自分と重なってしまい、なんだかむず痒さを覚えてならない。  そんな不快感を振り払

        おなかいっぱいたべてみたい(2)~函館旅行記(2)

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          夜に吼える

          僕は一体何なんだ 世界の隅の一員だ 誰にも必要とされずに 誰かに必要とされたいのに 僕は誰の眼にも留めらない だから叫ぼう狂おう 衆目の注目が集まるまで いざ奏でよう、これは狂想曲 僕と世界とが紡ぐ、革命の夜明けぜよ

          夜に吼える

          hello good bye

           それはまるで、一粒の角砂糖のような建物だった。  四方を囲む真っ白な外壁は、外気による風化も一切見られず、この期に及んで尚も汚れなき純白を保ち続けていた。  綺麗さを通り越してある種の狂気すら帯びた、この四角い繭。 「ねえ管理人さん、今空いてるんでしょ? じゃあ、使ってもいいよね?」  平たくも静かな熱を保ち続けた口調で告げたあの子が、手持ちの道具を携えてアレに籠もり始めて、一体幾日経ったのだろう。  経過日数自体に興味はない。今の僕にとっては、ただの無機質な数字でしか

          hello good bye

          何者にもなれなかった人間の駄文7

           この1年弱の間に色々な場所に足を運んた事は、前回の駄文で綴った通りだが、撮った写真など整理する中で、もう一つ気付いた事がある。  それは「夜ホテルで観るローカル番組が好きだ」という事だ。 『ほぼノープラン、その時その気分で動く』方針が基本の僕の一人旅ではあるが、さすがに行き場を無くして野宿まで決行する胆力までは持ち合わせていない。なので予め宿泊するホテルは当日の朝までに予約するようにしているのだが、その際一つだけ決めている事が、なるべく安いビジネスホテル(チェーン)に泊ま

          何者にもなれなかった人間の駄文7

          何者にもなれなかった人間の駄文6

           ある日、なんとなしに散らかった机の上を整理していると、机からはらりと一枚の紙が落ちた。定期券サイズで、黒一色に覆われた裏面。翻すまでもなく、それが新幹線の切符を買った際に一緒に出てくる領収書だと察した。 表面に返す。左下に刻まれた発券された駅名には、この一年弱の間に一人旅で足を運んだ土地の名前が刻まれていた。  長野、金沢、新潟、名古屋……どの土地も、僕自身を満たすには申し分ない場所だった。そして実に良い一人旅だったと自画自賛したい。  けれども、「どんな風に、いい旅だった

          何者にもなれなかった人間の駄文6

          何者にもなれなかった人間の駄文5

           休みの日の夕方に、家の近所をまったりと走る。これが飽き性がちな私が未だに続けている習慣の一つだ。  競馬中継を見終えてから、お風呂を沸かして、マスクをして家の外を出る。扉を開けた途端、肌にまとわりつく空気の乾湿と寒暖を察知するたびに、「ああ、もう春が来たんだなぁ」とか「そっか、もう秋も終わりなんだなぁ」と再認識させられる。  最近は走るコースもほぼ一本になった。家から近所の公園を通り抜け、車の通行の少ない小路を抜け、最寄りの駅まで走って折り返し。そこからまた元来たルートを辿

          何者にもなれなかった人間の駄文5

          何者にもなれなかった者の駄文4

           どうにも最近、仕事中に昔懐かしいメロディーを口ずさむ事が多くなった。  また何故に仕事中にと思われるかもしれないが、この春から僕の持ち場で一緒に担当されていたアルバイトの方が晴れて正社員として採用され、事実上のワンオペ状態になった事が大きいのかもしれない。それまで業務におけるピークの時間帯が過ぎた後に訪れる緩やかな時間を、孤独のグルメや進撃の巨人などといったテレビ番組の話題で潰していた相手がいなくなってしまったのだ。そりゃ今まで動かし続けていた口元も「動かしたいのに~」と疼

          何者にもなれなかった者の駄文4

          何者にもなれない人間の駄文3

           ここ最近、入浴剤やバスソルトを使って入浴する事が多くなった。  特にこれといったきっかけなんてものはない。ただ、浴槽用の洗剤を買いに某ドラッグストアに寄った際に、ふと棚にボケーっと陳列されている入浴剤の数々に目が留まったから、というだけの事にすぎない。  買い始めたきっかけはない。  でも、買い出したことで、生まれたきっかけはある。  ここ最近、いたずらに年齢を重ねてしまったからなのか、以前にも増して疲れが抜けにくくなった。推測ではなく、実感として。  十数年前ならば徹夜

          何者にもなれない人間の駄文3

          何者にもなれない人間の駄文2

          本題に入る前に まずはじめに、前回の日記を読み返してみよう。 そして、その締めに、こう書いてあるではないか。 読み返した僕『………………』 「お前三日坊主どころか、一週間も空いとるやないかい!」というツッコミを自分自身にかましながら、けれどもこれで止めてしまってはこれまでの自分と何ら変わらないので、適当に感じた事をつらつら書こうと思う。 写経を始めてみた。 とりあえず書く習慣(文章をタイプする習慣)を再び定着させたいのと、日々衰退しかけている文章力に少しずつでも磨

          何者にもなれない人間の駄文2

          何者にもなれない人間の駄文1

          家に帰ってからの自分は、かくも誘惑に弱くなってしまう。 睡魔だったりネット記事の閲覧だったり、あるいはウマ娘の育成だったり。 それらを終えて、さあ文章を書こうと机に着くも、今度はどんな文章を書こうかとプロットを頭の中で悶々練り直してしまう。 そのまま時間だけがいたずらに過ぎいき、やがて時間が足りない、明日の仕事に響くなどと自分に言い聞かせという名の言い訳をしながら、布団にこもってしまう。 そんな相変わらずな状況を変えたくて、新年度を迎えた今日から適当に日記を付けてみよ

          何者にもなれない人間の駄文1

          久々につらつらと

           テレビの画面から流れてくる流行語大賞のニュースを見て、もう2021年も年の瀬に入ってしまったのかと驚くと同時に、今年の総括をしようにも特に目立った話題もない己自身の浅はかさにため息を吐かずにはいられない。  思えばこの2021年も夏場まではほとんど去年と同じサイクルを繰り返していた気がする。そう、職場と自宅との往復ばかりだ。本音を言えば外に出たかった。本を読んで、知らない街をぶらりと歩いて、創作の刺激をもらいたかった。けれども、メディアが垂れ流す未知の外敵に関する有象無象の

          久々につらつらと

          ひみつきち

          あの夕暮れ時、あの小さな森の一角に。 確かにあった、ひみつきち。 僕らはそこで、不必要な必要を学んだっけ。 持ってきたゲームボーイでポケモンを進めたり。 大ゲンカした後に、そっと仲直りを交わしたり。 道端に落ちていたエッチな本を回し読みしたり。 よく遊び、よく学び、僕らは大人になった。 誰に言われることなく、見られることなく。 あれから二十余年。 鬱蒼とした木々に囲まれたあのひみつきちは、もうない。 あるのは縦横に整然された道と、林立する一軒家だらけ。 誰かが言う。こ

          ひみつきち

          七転び八起き

          目の前で小さな子どもが転んだ それを見た母親が呆れ顔でこう呟く 「ちゃんと前向いて歩かないからそうなるのよ」 そして母親は半べそをかいた子供に手を差し伸べる 目の前で大きな大人が転んだ それを見た周りの人々は素知らぬ顔で通り過ぎてゆく 「みんな下を向いて歩いてちゃ気づくはずもないか」 そして痛めた脚を引き摺りながら再び歩き出す

          七転び八起き