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西洋美術史/服飾文化史のひとです。 2017.12で更新の止まっている展覧会記録はこち…

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西洋美術史/服飾文化史のひとです。 2017.12で更新の止まっている展覧会記録はこちら→http://thethreegraces25.hatenablog.com/

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2023/9/22 サンドロ・ボッティチェリ《書斎の聖アウグスティヌス》

間を空けないように頑張るとかいった傍からめっちゃ時間が空いてしまった。 家族が少し体調を崩していたりして……SNSとか見てても体調崩している人多いので、皆様もご自愛ください。 今日はまた大好きなボッティチェリより一枚。 サンドロ・ボッティチェリ 《書斎の聖アウグスティヌス》1480年 オーニッサンティ教会 アウグスティヌスは、列聖されていますが奇跡を起こした等が理由ではなく、彼がキリスト教会の思想の上で重要な役割を果たしているからだ。 彼は司祭でもあったが、どちらかといえ

    • 2023/9/7 クリスチャン・ディオール 《ディナー・ドレス「カラカス」》

      さすがに毎日コンスタントに更新するのは難しい……。でもなるべく間をあけないように頑張りたいです。 ついに本日は絵画じゃなくなりました。実は自分の研究対象はファッション文化だったので、今日は好きなドレスについて語りたい。 クリスチャン・ディオール 《ディナー・ドレス「カラカス」》1953年 島根県立石見美術館 このドレスはあのクリスチャン・ディオールによるデザインのディナー・ドレスで、ベネズエラの都市の名前がつけられている。 デザイナーのクリスチャン・ディオール(メゾンの名

      • 2023/9/2 フランソワ・ジェラール 《アモルとプシュケ》

        正直全然前と同じ頻度で更新できる自信がない。急に1週間くらい間があいても許してほしい……。 前回ちょっとだけルーヴル美術館展について触れたので今回も同展覧会に出展されていた作品について話したい。 フランソワ・ジェラール 《アモルとプシュケ》 1798年 ルーヴル美術館 今年に入ってから東京・京都を巡回した『ルーヴル美術館展 愛を描く』のメインビジュアルにも採用されているジェラールの《アモルとプシュケ》。 私がこの作品に出会ったのは、学部に入学してすぐの西洋美術史の通史の

        • 2023/9/1 トマス・ゲインズバラ 《庭園の語らい》

          夏の間に人生がゴタゴタと急転直下で色々と動いておりまして、のんびり美術について思いを馳せてる時間がとれずにすっかり放置になっていました。 元より夏はかなり苦手で生命活動を維持するのでいっぱいいっぱいなので、展覧会も3本くらいしかいけませんでした。秋また頑張りたい。 そんなわけで今日は落ち着いた感じの作品を紹介します。 トマス・ゲインズバラ 《庭園の語らい》1740頃 ルーヴル美術館 トマス・ゲインズバラ、ロココ期のイギリスではかなり重要な仕事をしている画家なのだけど、

        2023/9/22 サンドロ・ボッティチェリ《書斎の聖アウグスティヌス》

        • 2023/9/7 クリスチャン・ディオール 《ディナー・ドレス「カラカス」》

        • 2023/9/2 フランソワ・ジェラール 《アモルとプシュケ》

        • 2023/9/1 トマス・ゲインズバラ 《庭園の語らい》

          2023/5/27 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《鏡の前の女》

          急にイタリア・ルネサンス、しかもヴェネツィア派に飛びます。でもみんな大好きティツィアーノなので許されたい。 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《鏡の前の女》1515年頃 ルーヴル美術館 ヴェネツィアが産んだスーパースター、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ。色彩鮮やかな港町ヴェネツィアに相応しい偉大なる芸術家。とにかく彼への賛辞の文章は枚挙に暇がない。しかも長生きで多作。キリスト教の宗教画もギリシア神話画題材でも、肖像画でも、寓意画でもなんでもとにかく上手いのでその名声は生前か

          2023/5/27 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《鏡の前の女》

          2023/5/26 ロベール・カンピン 《受胎告知》

          昨日北方ルネサンスの話をしたので、今日も北方の絵画を続けて紹介したい。北方にルネサンスが伝わる少し前の絵画について話す。 ロベール・カンピン 『メロードの祭壇画」より《受胎告知》 1427-32年 クロイスターズ美術館 まずこの絵を見た時、違和感がすごかった。とにかく遠近法がすごいことになっている。あまりに遠近法に厳格すぎて人物に対して長すぎるベンチ、なのになぜかテーブルだけ遠近法に沿わず、天板が傾いてるように見える、テーブルの上の本と巾着はずり落ちて来そうに見える。現

          2023/5/26 ロベール・カンピン 《受胎告知》

          2023/5/25 ルカス・クラナッハ(子) 《アンナ・フォン・デーネマルク》

          このシリーズは私が愛してやまないゲーム「どうぶつの森」と同じく、午前5時まで同日制を採用しています。なので、今日の回も余裕でセーフです。今回はちょっと志向を変えて北方からご紹介。 ルカス・クラナッハ(子) 《アンナ・フォン・デーネマルク》1565年以降 ウィーン美術史美術館 クラナッハはルネサンス期にドイツで活躍した画家で、父子で画家だったために(父)と(子)で区別される。ルネサンスといえばイタリアというイメージがどうしても強いが、ドイツやベルギーのあたりは油彩画の技法が

          2023/5/25 ルカス・クラナッハ(子) 《アンナ・フォン・デーネマルク》

          2023/5/24 ピエール・ボナール《ヴェルノン付近の風景》

          ボナールは猫をたくさん描いた画家でそっちも紹介したいけど、今日は風景画を紹介したい。 ピエール・ボナールはナビ派に属する画家である。ボナールは色彩によって独自の画風を確立した。マティスの時も書いたが、どうも私は色彩が得意な画家に弱いようである。 ゴーギャンの絵画指導に端を発しているナビ派は、アカデミー的な写実主義から離れ、見えた色の印象を重んじて作品制作をした。ボナールの作品もまた、幻想的な色彩のものが多い。この《ヴェルノン付近の風景》は、当時画家の家があった場所の近くら

          2023/5/24 ピエール・ボナール《ヴェルノン付近の風景》

          2023/5/23 サミュエル・プラウト《ため息橋》

          昨日絵心はないと書いたけれど、絵を描くことは好きで水彩画はずっと描いていた。もう随分長いこと絵なんて描いてないけど……。そんなこともあって水彩画を見るのはとても好きである。今日は油彩から離れて水彩の作品を紹介をしようと思う。 サミュエル・プラウト《ため息橋》 1839年 大英博物館 サミュエル・プラウトは日本ではあまり有名ではないが、英国では王室付きにもなった画家である。彼は水彩を専門としていた。英国は水彩画が得意な国である。水彩画は元々、油彩画を描く前の習作に用いられる

          2023/5/23 サミュエル・プラウト《ため息橋》

          2023/5/22 藤田嗣治《自画像》

          日本画とも西洋画ともつかない、それがレオナール・フジタこと藤田嗣治の作品の魅力だと思う。今日はそんなフジタの自画像について。(なお本稿では「フジタ」表記で統一する。) 藤田嗣治《自画像》1936年 公益財団法人平野政吉美術館蔵 レオナール・フジタこと藤田嗣治、彼は猫好きの画家である。芸術家というのは総じて猫派なことが多い。有名なところだとピカソやヘミングウェイ、本邦だと歌川国芳や内田百間などが挙がるだろうか。そんな中でもフジタは多数制作した自画像に必ずと言っていいほど猫を

          2023/5/22 藤田嗣治《自画像》

          2023/5/21 ジャン=レオン・ジェローム《ピュグマリオンとガラテア》

          ちょっと体調を崩していて文章を書く気にならず、更新があきました。こういう時のために書き溜めをしておくべきですね……今日はSNSでも話題の作品について紹介します。 ジャン=レオン・ジェローム《ピュグマリオンとガラテア》1890年 メトロポリタン美術館 「ピグマリオン効果」という心理学の言葉がある。期待をかけられるとその期待に応答するような成果が得られる、ということらしい。この単語のピグマリオンこそ、この作品で今まさに彫刻から人間へと変貌している女性にすがるように抱きついてい

          2023/5/21 ジャン=レオン・ジェローム《ピュグマリオンとガラテア》

          2023/05/18 フランツ・ヴィンターハルター《侍女に囲まれたウジェニー皇后》

          今日は急に暑くなったせいか体調が優れずPCに向かう元気がないのでスマホから書いています。いつもとフォーマットが微妙に違ったらごめんなさい フランツ・ヴィンターハルター《侍女に囲まれたウジェニー皇后》1855年 コンピエーニュ城 好きな肖像画家をひとり挙げなさいと問われたら真っ先にヴィンターハルターの名前を出すと決めているくらい、私は彼の絵が好きである。ヴィンターハルターの名は、シシィの愛称で知られたオーストリア皇妃エリーザベトの肖像画のほうで聞いたことがあるひとも多いかもし

          2023/05/18 フランツ・ヴィンターハルター《侍女に囲まれたウジェニー皇后》

          2023/5/17 アンリ・マティス《金魚》

          昨日Twitterで話していて、そういえばこんな作品好きだったなと思い出したので今日はそのままマティスの作品について話そうと思う。 アンリ・マティス《金魚》1912年 プーシキン美術館 この作品を初めて見たのは2005年のプーシキン美術館展だった。当時10歳。東京都美術館でのことだった。画像だと若干彩度が落ちているように思うが、この作品はとにかくカラフルで、主役である金魚の鮮烈な赤の他に、背景のピンクと手前の椅子のアームらしき部分のペールブルーが強烈な対比で印象深い作品だ

          2023/5/17 アンリ・マティス《金魚》

          2023/5/16 ピエール=オーギュスト・ルノワール《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》

          今日はルノワールについて書きたい。ルネサンスの次が印象派ってあまりに王道すぎてどうよ……みたいな気持ちにならないわけでもないが、ルノワールもまた私にとって大切な作家なので、お付き合い願いたい。 ピエール=オーギュスト・ルノワール《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》1876年 オルセー美術館 ルノワールと私の大きな共通点は2つある。まず誕生日が一緒。そして芸術に対する考え方。 ルノワールがまだ画学生だった頃、画塾の師であったグレールに「楽しくなかったら絵なんて描かない」

          2023/5/16 ピエール=オーギュスト・ルノワール《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》

          2023/05/15 サンドロ・ボッティチェリ《春》

          色々あって時間ができたので、書く練習も兼ねて自分の好きな作品について簡単にまとめていきたいと思う。ここ数年はとくに、好きかどうか以外の視点で作品を考えなければならないことのほうが多かったので、鑑賞の最初の感情を思い出すためでもある。美術史的な薀蓄はあってもこのシリーズにアカデミックな裏付けは全くない、完全に趣味の文章です。 サンドロ・ボッティチェリ《春》 1477-78頃、ウフィツィ美術館 最も好きな作品は何か?と思ったときにやっぱり真っ先に《春》が思い浮かんだ。なので奇

          2023/05/15 サンドロ・ボッティチェリ《春》

          海外で写ルンですのすすめ

          フィルムカメラ、流行りですよね。私もフィルムカメラ大好きです。とくに昔懐かしい『写ルンです』は若い女の子にめちゃくちゃ人気。 フィルムカメラを使ってるよって話をすると、私も使ってみたいけど操作が難しそう…とかっていう話を結構聞きます。そういう時に私は写ルンですを推すんですけど、写ルンですほど海外旅行にピッタリなフィルムカメラはない! フィルムカメラ始めたい!みたいな人も旅行をきっかけに写ルンですを利用して、フィルムカメラの楽しさを知ってほしいな~と思って書いています。富士

          海外で写ルンですのすすめ