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#30 会心の『SWOT分析』

2024年1月某日

人間、何歳になっても知的好奇心を持って学び続けたい。近年の「学び直しブーム」を横目に、あらためてそう思う。人間として生を授かったわけなので、健康で文化的な人生を過ごしたいし、「教養」を携えた日常は「気付き」も多くて楽しい。

さて、そんなわけで「知識をつけること」「学び続けること」は素晴らしい。ただし、「知識の使い方」、すなわち「学びの結実のさせかた」の作法については個人的に大切にしたいことがある。それは、「自己満足のために他者を媒体として使わない」ということである。具体的には、「自分が身につけた知識を結実させ、満足感を得るために、他者に強引に知識披露する」といったことは、少々野暮なのではないかと感じている、ということだ。

最近こんなことがあった。地方の伝統的組織(JTC)のベテラン・シニアが、とある会議体で起業家から質問されていた。「起業を志す際に、その人物がとりわけ意識すべきことは?」といった趣旨の質問だったと思う。シニアの返答は、「とかく、まずはSWOT分析ですね」と前置きし、ネット情報を中心にマーケティングの知識体系をご披露頂いた。筆者は、驚くを通り越し、寓話のような現実を受け入れるのに少々時間を要した。その後、時間をおいて、事実と状況を積み上げて、以下の通り原因の整理にたどり着いた。

1.ベテラン・シニアは、経営学やビジネス用語みたいなものに、これまで触れたことがなかった(元来、「ノリ」を前に出すスタイルで活躍した営業畑だった)。
2.しかし、最近異動後の充て職で、コンサルタント的な立場で話をしなければならないことが増えた(目立てる仕事は割と好きである)。
3.ベテラン・シニアは、もともと虚栄心が強いタイプである(自分を大きく見せる機会は苦しゅうない)。
4.このことから、起業家からの質問に「わかりません」とも言えず、聞き齧った知識で臨むも、噛み合わないどころかなんとも言えない空気になった。

※筆者としては、率直にご本人の「経験談」をシェア頂くことのほうが、価値があったと思う。

このような悲劇を二度と生み出さない為に、筆者は「知識の使い方」として、次のポイントを意識したいと思う。それは、「自分が知っていることを、相手が知らないとは限らない。」「自分が知らないことを、相手も知らないとは限らない。」ということである。これがわからないと、対話が暴力的な構図になりかねない。

想像してみよう。既知の事柄や、自分が過去に共有した情報を、こちらの反応も気にせず、強制的に「講話」「教示」の構図にされる状況を。そうならないためにも、「自分が知っていることを、相手が知らないとは限らない。」「自分が知らないことを、相手も知らないとは限らない。」改めて意識し、相手にとっても実りある対話を心がけたいものである。がんばりましょう。

ほなら。

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