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なぜ、日本の物語は武器になるのか?


 はーい、テツガク肯定です。

 『ローン・レンジャー(2013)』と『ジョーカー』のネタバレを含みます。


 洋画が大好きな私には。
 最近、一つの疑問が浮かびます。

 それが、タイトルの。

 なぜ、日本の物語は武器になるのか?


 物語で悪人をつくりあげ。
 その個人を成敗する。
 正義の裁き、勧善懲悪だなんて武器になるのか。

 そんなことを思ったきっかけは。
 2023年に公開された、『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』
 のレビューやあらすじを見たことです。

 もちろん、これを描いてる私は映画を観ていません。
 おそらく、5年後でも観ているか怪しいです。

 これは他人の感想と公式サイトの情報。
 それらを見た、私の個人的な想像の話ですが。
 この映画の登場人物。

 非理谷充(ひりあみつる)

 社会に対して鬱屈(うっくつ)した想いを抱える男。
 暗黒の光を受けて悪の超能力者となり、この世界への復讐を誓う。(公式サイトより)


 不思議です……。
 本来、素晴らしい人が悪人だという、この世が。
 というより、この国の秘密結社『SYAKAI』という名のオーバールック・ホテルが。

 オーバールック・ホテルとは。
 映画『シャイニング』に登場する悪霊です。


 実に素晴らしいですよ。
 疑問を持てること、復讐を誓えるほどの自我は。
 そうやって、少しずつより良いものをつくっていく。
 これ、創造の基本だと思います。



 ついでですが。
 クレヨンしんちゃんの映画のポスターと公式サイト。

 「この国に未来はない」なんて、オトナの妄想だゾ。

 ポスターのキャッチコピー。

 こんなしんちゃん、見たことない。

 映画の公式サイトのコピー。

 たしかに、見たことないです。
 なんとなく、しんちゃんはそういうことを言わないと思います。
 というか、オトナって何よ。
 しんちゃんはいつまでもしんちゃんでしょ?(とても素晴らしい意味で)
 18歳になった途端、変わっちゃうの?





 ちょうど面白い映画を観ました。
 それは、『ローン・レンジャー(2013)』という映画です。
 それに登場する、トントという人物は非理谷充に似ています。

 トントさんは。
 コマンチ族、最後の悪霊ハンター……自称ですが。
 ある白人をウィンディゴ(悪霊)と呼び、復讐を誓います。

 その理由は過去の過ちの清算。
 まだ少年だったトントさんは二人の白人を助けます。
 そして、助けた白人から懐中時計と銀の取引を求められ。
 懐中時計が欲しい、その好奇心でそれを受けてしまいました。


 その結果が……部族の虐殺。

 (私はトントさんは悪いとは思いません。
 仮に取引しなくても、彼らは同じことをしたと思うからです)


 白人は銀で力を得て。
 その財力で先住民の土地に線路を引こうとします。
 もちろん、先住民の意見など気にすることなく。
 
 全ては利益のために、全てはよき社会のために、全ては未来のために。

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

 そのためなら同じ白人ですら斬り棄てます。
 それが、レイサム・コール。
 トントさんがウィンディゴだと思っていた、白人です。

 ですが、トントさんは気づきます。

 彼はウィンディゴじゃない、ただの白人だと。


 そして、その過去を忘れ去るように。
 走る列車、運命を切り離しました。

 その気になれば。
 コールさんは列車から降りて、助かることもできたでしょう。
 ですが、列車に積んだ銀と共に河に帰りました。
 それがコールさんの運命。銀河へと帰るのが。

 もしかしたら、あの河は銀を採掘した河だったり?





 驚くほど似ていると思います。
 トントさんと非理谷充さん。
 もしかしたら、死んだジョン・リード、蘇ったローン・レンジャーとも。

 ジョン・リードは法と正義を信じる青年でした。
 ですが、そうではないゲンジツを目の当たりにして。
 これなら、無法者がいいと。
 一度死んでローン・レンジャーになる未知を選びます。
 (肉体は死んではいませんが、精霊は死にました。ちょっと意味がわからないと思いますが)




 私はしんちゃんの映画を観ていないので。
 正確なことは言えませんが……。
 それでも、なんとなく察します。

 非理谷充さんにとってのウィンディゴは。
 この国、この国に巣くう悪霊、秘密結社『SYAKAI』。

 そんな想いを吐けば、個人攻撃される世界。

 言っても仕方ない、甘ったれるな。
 嘆いても何も変わらない、悪いのはお前だろ。
 自己責任で自業自得だろ。

 全くその通りです。
 来る世界を完全に間違えました。
 ココは人を受け止められる、そんな器の夜ではありません。

 別に何かを変えるつもりでも。
 何かに変わるために、ココに来たわけではありません。
 いつだって、悪いのは人ですか。
 そうですか、なら……人に甘ったれるな。

 お前はウィンディゴじゃない。
 ファッキン・ブラック・ワールド、クソ・ピエロだ。
 恐怖でしか人に信じてもらえない、臆病者のか弱い独裁者。
 ただのピエロだ。



 『ジョーカー』って映画のアーサー・フレックさんの台詞です。

 誰一人として他人のことを
 気にかけたりしない

 ウェインみたいな奴らが
 僕みたいな人間の気持ちを考えるか?
 他人の気持ちを考えるか?

 考えない!

 こう思うだけさ

 いいか、お前らは
 黙って、ただ大人しくしてればいいんだ

 お前らは狼みたいには生きられない


 そして、続くのは。

 まあ、聞けって
 心を病んだ、孤独で社会に見棄てられ
 ゴミみたいに扱われた男を欺くと
 どうなるか、わかるか!

 この台詞は何も間違っていません。
 ただ、少しばかり私なりに変えますと。

 心を病まずとも、なんの役にも立たず
 要求と不満と攻撃しか与えない社会に
 人が囚われ続けたら、どうなると思うか?

 アーサーさんが言ったことは他人事ではありません。
 心を病まずとも、孤独でなくても、男でなくても。
 ハッキリ言います、こんなソイテーソイヤクの世界なら。
 その世界が受けるべき、報いなど決まっています。

 ええ、そうです。
 それもこれも、全ては自己責任で自業自得。
 大人しく黙って、その報いを受けろ。
 今までのツケの清算だ。

 だなんて事実を言えば。
 罵られ、攻撃され孤立にすることになるでしょう。

 なぜ、そう思ったのか?
 そう寄り添うふりをしながらも。
 必ずこう言います。

 なんだ、そんなことで。
 実にくだらない、と。

 そして、その責任の全てを個人。
 お前が悪いと責任転嫁しますがね。
 実にくだらない、勧善懲悪の説教タイムです。

 本当に悪いのは。
 誰なのか、わかりきっています。
 ですから、教え説きたいんです。
 自分は悪くない、全部人が悪い、悪人を成敗しろ、と。

 人は受け取ったものしか返せません。
 受け取ったものとは違う。
 誰かにとって都合のいいものだけを返せだなんて。

 人はトイレに行かないアイドルではありません。
 そんなにアイドルが欲しいなら、工場で大量生産することです。
 『ピノキオの遊園地』でつくった泥人形を出荷することです、このメフィストフェレス。





 今の私が思うに。
 この悪霊、社会は変わるのが恐くて怖いんだと思います。

 変わるのは恐いだろう?
 愛されるのは怖ろしいだろう?
 今までのツケが暴かれ。
 それに相応しい報いが下る。

 裁かれたくないのなら……悪人をつくれ。
 『デイヴィ・ジョーンズ文法』です。


 ですから、黙ったままのよき大人を求めるんです。
 大人らしく大人しく黙り続ける大人って人形を。
 喋れない人形なら死人と何が違うのか?

 死人に口なし、寡黙は人形。

 そして、黙らない人を。
 悪人と教え説き、徹底的に叩きのめす。
 なぜなら、声をあげる人が変えるからです。


 むしろ、教えてほしいです。
 海賊の歌を歌わずに海賊長を呼び出す方法を。
 黙ったまま、独りで何かを変える方法を。
 帰り方なら知っていますがね。





 何度も言いますが、私はこの映画を観ていません。
 ですが、本来、非理谷充さんみたいな人が。
 何かを変えるんです。

 どう考えても、野原家の人には無理です。
 すみません、悪気はありませんが。
 何も考えず、毎日を淡々と暮らしている人形に。
 何かを変えるなんて無理です。

 そして、そういう自我を持った人が。
 この正義の裁き、勧善懲悪って武器。
 その物語においては、悪人に演出され。
 淡々と暮らしてる人形が説教する善人なる。
 甚だし過ぎる、余計なお世話。

 昨日まで何も知らなかった無関心な人形に。
 何かを教え説かれる覚えはないわ。
 レイサム・コールを善人だと信じて。
 黙って信じ続けた鉄道会社の人形に。




 上手く伝わるかわかりませんが。
 本当に不思議です、ただ国が違うだけ。
 こうも物語の性質が違う。

 洋画は人の生き様を楽しめる、エンターテインメント。
 日本の物語は、つくられた悪人が善人に説教される。

 非理谷充とわかりやすく定義づけされていますが。
 そういう人じゃないと、よき未来は描けないと思います。
 リア充とは何か、それを誰よりもよく理解しているはずですから。

 そして、もちろん。
 非理谷充さん、独りではどうにもなりません。
 ローン・レンジャーにはトントさん。
 キャプテン・ジャック・スパロウにはギブスさん。
 ダフィー・ダックにはバッグス・バニー。

 力を貸す人がいるから動かせる。
 力は貸さないけど、徹底的に説教と攻撃はする。

 お前はダメな奴で無能だから。

 それも許される、だなんて免罪符は。
 なんのセーフティーにもならないエンプティーだって。
 本当は気づいているから。
 何か行動を起こされるのがこわい。

 その自由を許されざる復讐だと糾弾し。
 何もするな、と黙っていろ、と願う無関心。

 ですが、無意味です。
 復讐を決めた人は許しを求めていません。
 当然の因果応報です。

 その報いが来るのをおそれて……。
 人を悪人と呼び、攻撃孤立させて。
 何も起きない平安な日を保とうじゃないか――だなんて。
 なかなかどうして、退屈窮屈で器の小さな夜じゃないですか。


 頑張ってるのは自分だけだと思うなよ。
 みんな、頑張ってる。
 だけど、これ以上頑張れと言うのなら……。
 わかった、甘ったれるなスターダスト。

 頑張って生きるか、頑張って死ぬか。
 信じて忘れるか、信じて諦めるか。





 随分、永い怪文章を描きましたが。
 これは私が何かに対する復讐のあいさつではありません。

 私は何かを変えるためにココに来た覚えはありませんし。
 もちろん、何かに変わるためにココに来た覚えもありません。

 この世界はソイテーソイヤクの世界ですが。
 全く変えるつもりはありません。
 ちゃんと帰るべき故郷を思い出せたからです。
 今となっては、ただただ帰るために今がある。


 そうです、トントさんがやったように。
 綺麗さっぱりとこの世を忘れ去りたい。
 別に誰かを傷つけるわけでもなければ、迷惑がかかるわけでもありません。
 もう、そのITを信じないと、決めるだけです。

 お前はウィンディゴじゃないし、故郷でもない。
 ただのピエロだ。

 臆病者のか弱い独裁者、能なしのスターダスト。
 ただのちゃちなかまってちゃん、ものまね星屑。
 恐怖でしか向き合えない、ちゃちないじめっ子。

 ピエロだ、醜い青い星屑。



 

 ですから、ご希望通りに大人しく。
 何も起こさずに忘れていく。
 そういう生き様を楽しめる物語を私と相方で描けたらいいな、と。

 本来、物語は面白く楽しめるものです。
 つくりあげた悪人を成敗する、勧善懲悪な説教なら。
 人生の序盤に通る、最低9年間の教育という刑期で満足です。

 そこを卒業したら。
 教科書には載ってない、今は昔のあの世の第七区を。
 夢は今と繋げる、エンターテインメントで。

 ハイヨー、シルバー! ウェーイ!
 悪霊を振りきるほどの速度で。
 誰かを振り回してみたい。

 ほんの2時間だけ、この世の全てを忘れて。
 記憶のない海を泳ぐように。
 ショーシャンクの空を仰いで、抜け出せ憧れのジワタネホへ。



 素直に正直に言えば。
 本当に速く帰りたいですね、あの世の第七区へ。
 死という翼など使わずに上手いこと抜け出して。(たぶん、できると思いますが)
 この世は全く魅力のない、肥溜めのスターダスト。
 態度だけで大きく、器の小さな夜、黒光宇宙。




 ソイテーソイヤクのオーバールック・ホテル。
 キャリーさんがボイラー室に炎を放っても。
 吹っ飛ぶことのない、不死身の悪霊。

 ですから、忘れ去るに限ります。
 それを認めて許すのがこわくても。

 それに……どうにも止まりません。

 まさか、本当に信じているのでしょうか?
 自分が完璧な存在、最高の理想郷、そんな人から愛される秘密結社『SYAKAI』だと。
 どっからどう見ても、百害あって一利なしのデェーブイ・ワールドです。

 逆恨み? くだらない被害妄想?
 そういう、いっちょ前に立派な被害者意識は。
 人から愛される、立派な存在になってから言うものです。
 誰も信じなければ存在しない、ただのピエロにしては。
 人以上に態度が大き過ぎます。

 ですが、それも精々100年程度の刑期です。


 ココよりも圧倒的に面白い世界がある。
 人を受け止め、向き合える。
 そういう大きな我を持った夜がある、白影夢中。

 そう気づけたら、もうどうにも止まりません。

 そのITが多くの人に伝わるが恐くて怖ろしいと怯えているのが。
 この世って臆病者のか弱い独裁者、ただのピエロだと思います。

 ITを信じるから、ITがペニーワイズになる。
 ならば、もう少しばかり。
 器の大きな我を持った、愛しのペニーワイズを。
 そうです、超・WAGAMAMAバディーなワガママ娘を。
 あの世の第七区から抜け出してきた、愚かなFRウサギを。


 そういう馬鹿げたITが必要です。
 兎穴に入らずんば不思議の国知らず。
 物語は不思議の国へ抜け出せる、兎穴です。

 人を分類し説教する武器にもなりますが。
 終わらないお茶会への招待状にもなります。

 さあ、お茶を飲み干せ!

 世界はココだけではありません。
 もっと身近に、インベタのさらにインにだってあります。
 変わりたくない、甘ったれたソイテーソイヤクの世界など。
 忘れ去られ、滅び行くスターダストです。

 夢を見ろ、情けは無用。
 狙え、掟破りの『浪漫飛行』!



 それでは、また次の機会にお会いしましょう。














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