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アイディア集~大江健三郎→伊坂幸太郎→『進撃の巨人』で線を引いてみる。宮澤賢治『銀河鉄道の夜』の季節感

お品書きは下記の通り。2つの話題に関連性はない。それぞれ楽しんでいただければ幸いである。

〈おしながき〉
1.大江健三郎→伊坂幸太郎→『進撃の巨人』?
2.宮澤賢治『銀河鉄道の夜』をいつ読むか? 季節感をさぐる。

1.大江健三郎→伊坂幸太郎→『進撃の巨人』?

大江健三郎→『進撃の巨人』という線を引いてみた。が、本当は、大江健三郎→伊坂幸太郎→『進撃の巨人』で線を引きなおした方が、現実的ではないか? そういう疑問を感じた、という話。

先日にはこんな記事を書いた。タイトルは「📚大江健三郎と『進撃の巨人』」。大江健三郎の小説『M/Tと森のフシギの物語』(以下『M/T』)と諌山いさやまはじめのマンガ『進撃の巨人』(以下『進撃』)の共通点をみいだした。

ただ、『進撃』の作者である諌山創が、大江健三郎からダイレクトに影響を受けたのか?、その点は不明だ。インタビュー記事をネットで探してみた。しかしそんな記述は見つからなかった。

そのときに頭をよぎったのは伊坂幸太郎のことである。伊坂幸太郎を経由して、大江健三郎にたどり着いた可能性はあるかもしれない。大江→諌山でダイレクトに線を結ぶよりも、大江→伊坂→諌山で線を引く方が、まだあり得そうだ。(説得力がありそうだ。)

ちなみに、大江→伊坂の線を示すのはたやすい。伊坂幸太郎本人が影響を受けたと語っているからだ。この点は、たとえば『作家の読書道』第31回に詳しく記されている。つまり、大江→伊坂の線はすでに濃い。

すると気になるのは伊坂→諌山のラインである。これをどう結んでいくのか? こちらもなかなか難しそうだ。読み込んでこなかったことが悔やまれる。

とはいえ「大江→諌山」の線を捨てたわけではない。さらに「大江→伊坂→諌山」の構図が間違っていることも、十分にあり得る。もちろん両方が間違っている可能性もある。ただ、どちらの仮説も魅力的ではある。できれば深く掘っていきたい。

2.宮澤賢治『銀河鉄道の夜』の季節感

『銀河鉄道の夜』は夏よりも冬に読みたくなる。やはり①冬の星空の方が見やすいから、そして②猛暑の中で本作を読みたいとは思わないから、だろうか。本来は天の河という夏の風物詩が登場するのに。

『銀河鉄道の夜』といえば、天の河の話が出てくる。天の河はやはり夏の風物詩となるのだろうか。七夕伝説も夏の話である。また、日本(北半球)において、天の河は夏のほうがハッキリと見えやすい。天の河/天の川自体も初秋(8月)の季語として紹介されている。

しかし本作は冬に読みたくなる。個人的な感覚として、どうしても寒空の下で読みたくなるのだ。その理由をなんとか2つひねり出してみた。

ひとつめは、星空の季節の問題だろうか。空気が澄んでいるのは、夏よりも冬である。都会は光にあふれているし、空気も大して澄んでいるわけではない。ある程度の都市になると、冬にしか星が見えない(と感じてしまう)。日常生活で見る星空で、強烈な存在感をはなっているのは、やはり冬のオリオン座なのだ。

ふたつ目は湿度の問題だろう。『銀河鉄道の夜』を読むのに、日本の夏は高温多湿になりすぎた。猛暑の中で汗をかきながら、あの小説を読みたいとは感じないだろう。そんな状況で読むのもかえって新鮮かもしれないが、少なくとも私は、汗をダラダラと流しながら読書をしたいと思わない。

高温多湿な宇宙空間を想像できないから、という理由もあるかもしれない。むしろこの理由が本質的なのだろうか。書きながらそう思いついた。

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アルフレッド・シスレー『クール・ヴォランから見たマルリ・ル・ロワの眺め』(メトロポリタン美術館所蔵)
Alfred Sisley "View of Marly-le-Roi from House at Coeur-Volant" (1876)

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