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【コラム】人事は美味しくない仕事です。

人事担当という職種には今でも一定の、根強い人気があるように思います。

外の人からは「花形」とか「エリートコース」と言われることも多く、個人的にはそれらのイメージには違和感を覚えます。

なぜなら実際の人事の世界は決して華やかなものではなく、むしろその対極に位置していると言えるからです。例えば曲者揃いの役員や部長クラスとの泥臭い調整、病気、訴訟、人間関係といったあらゆるセンシティブな情報を扱っているストレス、経営陣からの無理難題に答え続けるというプレッシャー。

会社の中で人事が一番の長時間労働部署、なんていう職場も珍しくないのではないでしょうか。

かつての上司の言葉でよく覚えているのは、「人事の仕事は100点を取ってスタートライン」というものです。人事は会社のライフラインであり、そこにあって当然のもの。人々が当たり前のものをがありがたがる機会は少ないですし、損なわれた時には大きな不満を抱きます。

その反面、同じ人事担当の中で突出した成果を出すのは困難を極めます。何故ならば人事の仕事には高い「当たり前」の基準を満たすための事務作業や確認作業が多く、人事担当はそれらにリソースを割かれています。それらをこなして初めて評価はB(=普通)なのです。それらを片付けた上で、各プロジェクトや改善を成功させるためには多大なモチベーションと体力を消費しなくてはなりません。

減点が重く、加点を生み出すのが難しい。そのことから、経済的に見れば人事はそれほど美味しくない仕事だと思います。

ではなぜ人事という仕事には人気があるのでしょうか。私はその理由を、現実の人事の仕事と世間のイメージに大きな乖離があるため、と解釈しています。その乖離が生まれている理由は主に以下の3つです。

①主に採用部門などの外向きのプロモーション活動のみを切り取り「華がある」と勘違いする。

②管理部門への異動を「出世コース」と考えていた時代があり、その頃の古いイメージが定着したまま払しょくされていない。

③人事担当は自分の発言が社員に与える影響を理解しており、人事ではない社員に仕事や会社の愚痴をこぼし辛い。

次回の記事ではこれら世間との3つの乖離について詳細を書きたいと思います。ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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