質問1550:風を計算していつもより浅めを狙った方が良い?
▶頭で計算せずに体に委ねる
風や太陽を体で感じることは大事だと思います。
だけどそれらを頭で意識すると、プレーしにくいと思います。
たとえば太陽が目に入ったら、頭で考えなくても体は無意識的に遮る反応をすると思います。
風を、ボールが流されそうだからと意識して、それを頭で計算して打とうとすると、プレーしにくい(ボールに集中しにくい≒毛が見えにくい)のではないでしょうか?
皮膚感覚で追い風・向かい風を感じたら、頭で計算しなくても、体はオートで出力を変えてくれるから、それに委ねるとよいと思います(関連記事「体は精緻。そのシグナルを役立ててアクションを妨げない」)。
▶毛を視認するために
太陽が目に入ったら、体は勝手に瞳孔を絞るでしょう。
逆に薄暗いと、瞳孔を開くでしょう。
また周囲が見えない暗い環境にい続けると、目が慣れて見えてくる暗順応が起こります。
意識してできません。
そんな体の自動調節機能にテニスのプレーを委ねてみてはいかがでしょうか。
風や太陽を意識せずに済むから、ボールに対する集中力が高まる(≒毛が視認しやすい)と思います。
▶飛びすぎは風の影響ではない
よくありがちなのは、追い風・向かい風を意識して、現実に対するイメージがズレてしまうこと。
これはミスを招いて調子を崩す非常に多い誘因です。
押されたり押し戻されたりする風の影響により、自分のボールが飛びすぎたり飛ばなすぎたりするというよりも、風を意識するせいで相手から飛んでくるボールの距離感を誤るために打球タイミングのズレが生じて、自分の打つボールが飛びすぎたり飛ばなすぎたりしてしまうエラーのほうが多いと思います。
▶小さな子どもとラリーするとき
イメージは風だけではなく、サーフェスの種類や、インドアかアウトドアかの違い、あるいは対戦相手の体格や、1本前のショットの印象ですら、ぐらぐら揺らぎます(関連記事「イメージは揺らぐよ、どこまでも」)。
たとえば普段、大人とプレーしている人が、小さな体格の子どもとゲームする場合、「思わず」ポジションをベースライン内に上げたくなりがちです。
その子がどんなボールを打つか、まだ分からないにもかかわらず、「あんまり飛んでこないだろう」と決めつけて(イメージが揺らいで)しまうのです(関連記事「小さな子どもとラリーするとき、どこに構える?」)。
そのせいで、ボールが飛んで来るよりも先にポジションを上げる「早く・速く動きすぎる問題」も発生します。
しかしテニスは、テニスコートという一定の規格を使ってプレーしますよね。
▶テニスボールはよく弾む
またテニスボールというのは、単にコア(ゴム)の弾性だけではなくて、内圧が窒素ガスによって高められている仕様だから、小さな体格の子どもが打ったとしても、サービスライン付近で浅めに弾んだボールであっても、弾道や球種によってはベースライン付近まで深く到達します、使い古した「ペコ球」でない限り(関連記事「打ちやすい打点に入るための『プライオリティワン』」
このとき、ベースライン内にポジションを取っていると、対応に苦慮しないでしょうか?
デッドゾーンをライフゾーンと定義して、ストローク処理せずロングボレーで打ち返すのでもない限り(関連記事「『デッドゾーン』が『ライフゾーン』になる」)。
▶ほかの球技以上に「テニスが難しい理由」
野球やゴルフ、卓球、バスケットボール、サッカー、ラグビー、要はほかのあらゆる球技と違ってテニスというのは、ボールが「見た目の印象以上に弾む仕様」だから、現実に対するイメージのズレが引き起こされやすいぶん、難しいスポーツだと言えます。
ですから使い古しの内圧が下がったペコ球で練習して、習熟すればするほど、試合でニューボールを目の当たりにすると、相手からのボールが急激に迫って来るように感じたり、自分が打つボールを飛ばしすぎたりしてしまう恐怖感に苛まれます。
▶エラーの原因は打球タイミングのズレ
小さな体格の子どもを相手にする例と同様に、追い風・向かい風の印象に引きずられてイメージが揺らぐと、誤った ポジショニング、動き方をしてしまいかねません。
すると、ボールに集中しているつもりでも、打球タイミングはどうしても合わずに、自分の打ったボールが飛びすぎる・飛ばなすぎるのですけれども、それは風に押された・押し戻された影響というよりも、現実に対するイメージのズレのせいで打球タイミングが合わなかった結果引き起こされるエラーです。
▶「潜在能力」を信頼する
改めまして、いろいろ述べてきた結果、何が何だか分からなくなったかもしれません。
というわけで「どのような考えで行けばよろしいか?」のご質問内容に立ち戻りますと、「考えない」の一言です。
風の強さを頭で計算して強く打とうとする・弱く打とうとするのは、ボールへの集中を妨げかねないので、テニスを一層難しくしてしまいかねないと思います。
「バウンドヒット」をお試しであれば、その計算が「セルフ1」による指示だと言うと、腑に落ちるかと思います。
眩しさを感じると瞳孔がオートで開閉するのと同様に、風を感じると出力を変えてくれる体の自動調節機能(潜在意識・潜在能力)に委ねてはいかがでしょうか?
これが「セルフ2」。
そして潜在能力は、「ボレーは毛をみることで確実にミスは減った」と前回ご報告いただいたとおり、集中力によって引き出されます(関連記事「潜在能力を開発する方法」)。
このとき、風の計算などしていなかったはずなのです。
▶「シンプルテニス」を心がける
風を気にする=ボールへの集中は逸れています。
風を計算するのではなく、ボールに集中して、打球タイミングを「今!」と感じる打時でドンピシャ正確に合わせる(関連記事「大事なのは『打点』ではなくて『打時』」)。
こんな「シンプルテニス」を心がけると、テニスはもっとイージーモードになると思います(関連記事「ボールがラケットに吸い込まれる T.T.さん」)。
風を意識すると、「今!」は感じにくくなります。
▶羽生善治プロ棋士の教え
特にプレッシャーの高まる試合では、できることは練習以上に限られます。
いろんなことを計算しようとすればするほど、パニックに陥りかねません。
格上相手だからといって、実力以上のプレーをと気負ってしまうと、かえって自滅しかねません(関連記事「試合になると入らない。どうすればいい?」)。
できることをできるだけシンプルにしてみてはいかがでしょうか。
こちらでご紹介しているとおり、「簡単に。単純に考える」とプロ棋士の羽生善治氏は伝えています。
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