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テニス上達メモ053.潜在能力を開発する方法(新年のご挨拶に代えて)

最近の『テニス上達メモ』では、潜在意識の話が、やけに多くなりました。
 
それとともに予想されるのが、「潜在意識の話なんてうさん臭いぞ!?」「そんなもので、テニスが上手くなるもんか!」などという反論です。
 
目に見えないし、手で触れられないし、存在を確かめられないのが「潜在意識」。
 
なにしろ、「潜在」ですからね。
 
そんな、あるのかないのかよく分からないものだから、実際には開発できるようにはならないし、自分には活用するなんて無理などと思えてしまうのが、正直なところではないでしょうか?
 
今回の『テニス上達メモ』では、潜在意識のポテンシャルを身近に感じ、なおかつその能力を開発する方法まで、ひと通りお伝えします
 
まずは、それが現実として「ある」のだという事実を、とりあえず感じ取っていただければと思います。
 
今、パソコンやスマホに向かって、このテキストを目で追っているわけですけれども、身の回りで何かしらの「音」が鳴っているのが、聞こえますか?
 
エアコンの音や、ハードディスクのブーン音、だれかの話し声がしませんか?
 
耳を澄ませば、いろんな音が聞こえてきます。
 
私が「聞こえますか?」と問いかけたときには聞こえていなかった音も、聞こえ出したかもしれません
 
私も、このテキストを書き起こしながら「そういえばBGMが鳴っている」と、今気づきました
 
自分で書いていて、この有り様です。
 
では逆にそれらの音を、意志の力や努力で、消してみてください(スイッチをオフにしたり、耳をふさいだりするのではなく、意識的に、という意味です)。
 
頑張って、消すことに必死になってみてください。
 
きっと、消えませんよね。
 
意志の力や、努力、頑張り、必死では、どうにもできません
 
むしろ、消そうと必死になればなるほど、聞こえてきます。
 
そんなものです。
 
「努力逆転の法則」といいます(※1)。
 
ですから、真面目、ちゃんとする人ほど、報われません
 
顕在意識で、頑張ろうとするからです。
 
でも潜在意識は、意志の力や、努力、頑張り、必死では、どうしても消せないそれらの音を、いとも簡単に、さっきまで「消してくれていた」のでした。
 
言い換えれば、これが「集中」
 
聞こえるはずの音が、聞こえなくなり、見えないものが、見え出したりもする。
 
現実として音は「実在」していたのに、「不在」にもできたわけです。
 
自由自在です
 
遅いボールを「速く感じる」こともできれば、速いボールを「止めて見る」こともできる
 
潜在意識の存在や働きが、何となくでも感じ取れたでしょうか?
 
そういう能力が自分にも備わっているポテンシャルに気づき、活用できるのが前提の自分になると、テニスはもっと簡単になります。
 
おさらいになりますが、私たちに備わる認識システムの原理原則は、「一時にひとつ」です。
 
見ながら考えられないし、考えながら聞けないし、聞きながら嗅げないし、嗅ぎながら味わえないし、味わいながら感じられません。
 
「そんなことはない!」と言い張るならば、それは「集中力が高くない」からです。
 
ボーっと眺めながらなら、考えられます。
 
ぼんやりと考えながらだと、聞けます。
 
だけどそれは、考えられても、聞けても、「何となく」でしかないはずです。
 
一方では、マルチタスクは確かにできないのだけれど、逆に言えば、見なければ考えられる、考えなければ見える、嗅がなければ聞ける、味わわなければ嗅げる、などとも説明できます。
 
マルチタスクができない人間に備わる認識システムというのは、一見するだけだと「不便」なように思えて、実は精緻な体による高度な取捨選択能力なのかもしれません。
 
つまり優先順位を定めて、ほかの情報はカットする能力
 
具体的なエピソードを挙げてみましょう。
 
「心頭滅却すれば火もまた涼し」
 
臨済宗の禅僧・快川紹喜が、辞世の句として述べました。
 
「心頭滅却」とは、私なりに意訳すると、「考えない」となります。
 
心頭を、滅却(すっかりなくす)のですから。
 
そうすると、たとえば「火事場の馬鹿力」などのポテンシャルも、今までの話になぞらえて、すっかり合点がいくのです!
 
一刻を争う火事場で、「さんまが焼けた」からといって匂いを嗅げていたら、話になりません。
 
「熱い!」と感じる情報さえカットして、焼け落ちる柱すら、持ち上げる。
 
「この柱、持ち上がるかなぁ?」「かなり熱そうだぞ?」などと考えていては、馬鹿力は、到底発揮できないのです。
 
なぜ、そんな力が出せるのか?
 
「潜在的に持っている」からです。
 
ただし普段は「リミッター」がかかっている。
 
つまり人間のポテンシャルを100パーセント発揮できてしまうと、筋肉や骨に負荷がかかりすぎて、なおかつエネルギーをすっかり消耗し、体がボロボロになる。
 
だから、本来ならもっと能力があるのに、抑えられているのです。
 
そりゃ確かに、100パーセントを発揮したら、壊れても無理はない。
 
だけど、潜在しているうちの「ほんの2~3パーセント」を費やせるようになるだけでも、能力は格段に向上します
 
割合でいえば、顕在意識はわずか3パーセント、潜在意識は97パーセントとも言われますからね。
 
ですから『新・ボールの見方~怖れのメガネを外して、ありのままに見る技術~』では、高負荷対応トレーニングを用意しています。
 
『新・ボールの見方』は、集中力を、普通の見方以上に費やすから、心身に負荷がかかるのです。
 
ですから鍛えないと、「ボールを止めて見る見方」を続けていては、「気持ち悪くなる」とご説明をしています。
 
逆に言えば、『新・ボールの見方』で負荷を感じないようであれば、ボールに対する目のピントが、まだ甘いのかもしれません。
 
何しろ、日常生活とは逆転する、今まで経験したことのない「新しい見方」ですから、当初は「気持ち悪くなる」のです。
 
だけど、心配には及びません。
 
負荷をかけて鍛えると、それが「当たり前」となり、さらなる高みへ登っていける。
 
バーベルを上げられるようになるには、筋繊維を一時的には損傷するけれど、以前を上回る「超回復」によって、さらなる重いウェイトを上げられるようになるのとまったく同じです。
 
『新・ボールの見方』では、「見え方の鮮明さには限りがない」とご説明しています。
 
動く物体を、「中心視野に止めて見る」ことすら、できてしまうのですから。
 
改めて、試してみましょうか。

目の前で人差し指を立て、ゆっくりと左右に動かしてみてください
 
※初めのうちは、「かなりゆっくり」なスピードで試すのが、理解度を深めるうえでオススメ。つい欲深くなって、より速い動きを見破りたくなって、速く動かしてしまいがちですので。

人差し指を目の前で、ゆっくり左右に動かす

「普通に見る」だけだと、人差し指が目の前で左右に振れ、動きの残像により、人差し指の輪郭がカスレて見えたりする、「ぼやけた見え方」になる場合もあると思います。
 
特に、人差し指の方向をターンする瞬間あたりで、シュッとカスレる見え方になりやすいでしょう。
 
では、次です。

人差し指の細部に宿る「指紋」を見ようとすると、どうなるでしょうか?

今度は指先が視野の中心にとどまり、背景がその背後で動いて見えるはず。
 
その背景はというと、非常にぼやけた見え方をしていて、その中心に指先だけが、ハッキリ・クッキリと、映し出された状態になっているのではないでしょうか。

ここでいう指の「指紋」が細部であり、テニスでいうボールの「ケバケバ」や「回転」にあたります。


あまり続けていると「気持ち悪くなる」ので、ご注意ください(苦笑)。

ちなみに一流のアスリートは、「リミッター」の制御力が、一般人に比べて低いのです。
 
簡単に解除されてしまう。
 
「制御力が低い」などというと、ネガティブな印象かもしれません。
 
しかし「火事場の」とまでは言わないけれど、それだけ「馬鹿力」を活用できるのです。
 
そして「超回復」によって、さらなる高みへ登っていきます
 
あとはその繰り返し。
 
これが、潜在意識が目覚めて、潜在能力が開発されるプロセスです。
 
 

※注1.「努力逆転の法則」について
 
フランスのロレーヌ応用心理学会会長エミール・クーエ氏が提唱。
1.意志力と想像力(イメージ)が相反した場合は、想像力(イメージ)が勝つ。例外はない。
2.意志の力で努力すればするほど、想像力(イメージ)は強力となり、その意志の努力とは、「反対の結果」となる。
3.意志力と想像力(イメージ)が相反した場合、想像力(イメージ)の強さは、意志力の二乗に正比例する。
 
具体的には、「お金持ちになりたい」と願って(意志の力で)頑張るほど、「今の自分にはお金がない」イメージが強化される結果、「反対の結果」となる。
 
ですから、「こうすればよくなる系の思考」は、苦しみへ猪突猛進する道だと、お伝えしました。
 
では、どうすればいいか?
 
ですから「足るを知る」が最強なのです。
 
「すでに満たされている」想像力(イメージ)が勝つ。例外はない
 
お金、愛、幸せ、健康、テニスの上達……。
 
「法則」である以上、すべてに通じます。
  



2024年1月1日
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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