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テニス上達メモ091.打ちやすい打点に入るための「プライオリティワン」


▶打ちやすい打点に入るために

 
なぜ、打ちやすい打点に入れないのでしょうか?
 
ボールに近づきすぎたり、遠ざかりすぎたり。
 
あるいはボールが高すぎたり、低すぎたり。
 
フットワークが間に合わなくて打ちやすい打点に入れなかったというのなら、まだ分かります。
 
ビッグサーバーのスライスサーブがキレキレでワイドへ入ってきたら、体を伸ばし切っても、打点にラケットが届くかどうかも、定かではないでしょう。
 

▶「事情」がある


それは仕方がありません。
 
もちろん、体を伸ばし切らずに腰を据えたフォームで打ち返せるのが望ましいかもしれません。
 
しかし、それはそうできない、そうせざるを得なかったプレーヤーなりの事情が、その時にはあったのです。
 
毎回毎回、腰を据えたフォームで打てるのであれば、それはコート上で戦うテニスではなく、舞台の上にお膳立てされたお遊戯会
  
ここで俎上に載せているのは、「そうでもないボール」に対しても、なぜか打ちやすい打点に入れない謎です。
 

▶手の届く範囲の打点に、なぜ入れない?


いえ、プレーヤーもなおざりに打点に入ろうとしているわけでは、決してありません。
 
頑張って、フットワークを使って、なんとか自分の打ちやすい打点へ入れるように腐心するものです。
 
また一般プレーヤーの場合は、相手からキレキレのサーブが飛んでくるというケースはあまりなく、少し動けば手の届く範囲内で処理できるボールが多いと思います。
 
もちろん、テニスコートは横よりも縦のほうが距離が長いから、たとえば相手から前に短く落とされたドロップ系などには、手が届かないボールもあります。
 
しかしそうでない場合は、数歩動けば手の届く範囲内のボールがほとんどでしょう?
 
なのに、自分の打ちやすい打点に、なぜか入れない。
 
あまつさえチャンスボールと言われる、相手から飛んで来たフワッと浮いたボールにさえ、打点に入り損ねます
 
一体何が起こっているというのでしょうか?
  

▶ボールは「取り扱い要注意」

 
ボールの重要性。
 
「もったいない」からといって、使い古しの内圧が下がり、柔らかくなったボールを使い続けていると、新しいプレッシャーライズドボールに比べて、スピードもバウンドの弾み方も変わります。
 
ペコペコとは言わないまでも、いわゆるペコ球ですね。
 
あるいは価格が安いからといって、コアの硬いゴムによって反発を得るノンプレッシャーボールを使っていると、やはりスピードやバウンドの弾み方が試合球とは変わります。
 
いわゆるノンプレです。
 
これらに打ち慣れれば打ち慣れるほど、打ちやすい打点に入れなくなるのです
 
確かにノンプレを使うプレーヤーは、テニスゼロの読者にはあまりいないかもしれませんけれども、ペコ球とは言わないまでも、内圧の少し下がったボールを次回の練習へ繰り越して使い続ける人は、少なくないのではないでしょうか?
 

▶上達を志すうえでの「タブー」

 
もちろん、趣味で体を動かすのが目的のレクリエーショナルであれば、そういった使い古しや安価なボールで楽しむのも申し分ないでしょう。
 
しかし競技テニスに携わり、上達を志すのであれば、ペコ球やノンプレは不向きというより、普段からも使うのはタブー
 
ペコ球は「一文おしみの百知らず」、ノンプレは「安物買いの銭失い」の典型と言えるからです。
 

▶試合になったら「ボール飛びすぎ問題」

 
「たかがボールの違いで打点への入りやすさが変わるのか?」などと、いぶかられるかもしれません。
 
顧みていただきたいのです。
 
練習前半のウォーミングアップで行なう乱打時には調子がいいけれど、その後に戦うゲーム形式ではニューボールを使うと、とたんにプレーが難しくなって対応できなくなったりした経験はありませんか?
 
よくあるのが「ボール飛びすぎ問題」
 
内圧が高いニューボールの反発を押さえ込めないのです。
 
厳密に言えば、内圧が高いから飛びすぎるのではありません。
 
テニスでミスする原因は「打球タイミングのズレ」が唯一
 
つまりニューボールを使うと打点に入り損ねるから打球タイミングを誤って、ボールが飛びすぎたりします。
 

▶試合で打てなくなるのは、「メンタル」が原因ではない


ゲーム時に現れる不調について、「ポイントを取り合う試合形式だから緊張するのだろう」などと、メンタルに原因を求めるのは些か早合点です。
 
では、練習だと調子よく打てるのに、ゲームになるとそれができなくなるのは、一体なぜでしょうか?
 
精神的なメンタルの変化ではなく、物質的なボールの変化によるのです
 
ですから、原因と結果の相関を履き違えると、「試合で実力を発揮できないのはメンタルが弱いからだ」などとあさってのほうへ向かって努力するため、いつまで経っても「報われない」のです。
  

▶やればやるほど下手になる


そもそもペコ球やノンプレは、ルールに定められたボールとしての規格から外れるスペックかもしれません。
 
確かにサイズは同じでも、硬さ、弾み、重さは違います。
 
ルールに抵触するギアを使って練習して上手くなっても、もはやそれは公式(硬式)テニスとは言えません
 
ややもすればペコ球やノンプレで練習し、打ち慣れれば慣れるほど、「現実に対するイメージのズレ」が大きくなって、プレッシャーライズドのニューボールでプレーするときにはかえって、テニスが難しくなってしまうのです。
 
つまりいつもの「マイナス×プラス=マイナス」に当てはめると下記の公式。
 
規格外のボール(−)×打ち慣れる(+)=余計に下手になる(−)
 

▶打たないほうが上手くなる


テニスの上達を志すなら、ギアは、ラケットやストリングは二の次、三の次です。
 
まずはボール。
 
なんならラケットとストリングは使わなくても、プレッシャーライズドのニューボールをワンバウンドさせて投げ合うキャッチボールでも、テニスは上達します。
 
なぜならテニスの上達は、「打ち方」やラケットの「振り方」ではないからです
 
いえむしろ、打ち方やラケットの振り方を「意識」しなくなるぶん、より速く確実に、テニスが上達すると、私は断言していいくらいです。
  

▶「公文式」で飛躍する

 
もちろん、ラケットではまだ上手く打てない初心者にとっては、キャッチボールは公文式のステップダウン効果としても期待できます。
 
難題に挑戦するばかりが向上するための練習ではありません。
 
いったんレベルを下げるステップダウンによって沈み込めば、その後バネのように飛躍する上達を見込めるのです。
 
しかしそのボールが、たとえキャッチボールであったとしても、ペコ球やノンプレでは練習の意味がない。
 
意味がないどころか、公式は下記のとおり。
 
規格外のボール(−)×慣れる(+)=余計に下手になる(−)
 

▶やればやるだけ上達する練習環境

 
ラケットで打ち合うにしても、ステップダウンしてキャッチボールをするにしても、高い内圧でボールがバウンドするプレッシャーライズドのニューボールを毎回使うと、素晴らしい効果が期待できます
 
やればやるだけ上達します。
 
公式は次のとおり。
 
規格適合ボール(+)×慣れる(+)=どんどん上手くなる(+)
  

▶ニューボールの打球音、諸行無常の響きあり

 
「いつも同じボールだ」とは、ゆめゆめ思われませんように。
 
諸行無常です。
 
当初約1.8気圧に保たれている内部のガスは、開缶した直後から抜け漏れ始ます
 
ですから開缶前は内気圧が保たれるように約2.0気圧で缶内が満たされているため、プルを引くとプシュ~と、主観的に喉越し良さげな音が響きます。
 
そしてボールは打たれるごと、そのサイズをとどめるために毛羽を散らして、身を削るのでした
 
ですからプロの試合では、最初はウォーミングアップを含むから7ゲーム終了時、以降は9ゲーム消化ごとにボールチェンジが行なわれます。
 
ラケットフレームやストリングはまだ、数ゲームではへたりません。
 
ストリングが切れたりすることはあるけれど、一般プレーヤーなら張りたてで試合に臨めば、切れる直前までそのフレッシュなテンションメンテナンスは維持されるでしょう。
 

▶廃ボール、みんなで使えば気づきにくい


ギアに関してボールは、ラケットやストリングを凌ぐ上達へ導くプライオリティワンであると、私は断言できます。
 
ストリングに関して「ポリエステルはすぐに伸び切る」などとまことしやかにささやかれますが、プレーヤーにとってより悪影響が甚大なのは、ボールの劣化です。
 
ボールはみんなで使うため、みんな同じ条件だからあまり気にもとめない、というよりも気づかない
 
すでに廃ボールとするはずのものを、使い続けていませんか?
 
それがテニスの上達を阻む原因になっています。
  

▶まずはボールメンテナンスの見直しから

 
もちろん経済的事情があるから、いつもいつもニューボールの封を開けるのは、確かに難しいかもしれません。
 
とはいえ何年もテニススクールに通ってレッスン代を毎月費やすくらいなら(そのスクールのボールローテション頻度が低いならなおさら)、仲間内でプレーする場合はフレッシュなニューボールをご用意いただくのが賢明です。
 
繰り返しになりますがなかなかテニスが上達しないという人は、真っ先にボールメンテナンスを見直してみるのがプライオリティワンです
 

▶「真面目な人」ほどはまる罠?

 
これは一概には言えませんけれども、真面目な人ほど、陥りがちかもしれません。
 
「自分が弱いのはメンタルのせいだ。ボールなんていう道具のせいにしちゃいけない」などといって責任転嫁のように感じてしまい、罪悪感を覚える
 
あるいは「1日使っただけのボールを捨てるなんて贅沢だ。少しでも大切に扱って長持ちさせなきゃ」などといって、「もったいない精神」を尊重する
 
すると、ボールを次々とローテーションするのが、確かにためらわれるかもしれません。
  

▶「もったいない」から「冷静なアセスメント」へ


しかしここは、「もったいない」などと言って主観的にジャッジメントするのではなく、客観的にアセスメントする必要がありそうです。
 
使い古しのボールを使い回すそのせいで、テニスの上達が伸び悩むどころか、打ち慣れれば慣れるほど下手になり(マイナス×プラス=マイナス)、試合になると「心が弱い」などと自責の念に駆られるのは、テニスを楽しみ、上達を志すうえで、妥当かどうかを、客観的にアセスメントしてほしいと思います。
 

▶ボールに「成仏」してもらうには

 
これは話の本筋から逸脱しますが、どうしても捨てるのがためらわれるなら、私は詳しくありませんけれども足裏や腰回りのマッサージに使ったり、イスの脚につけたりして、フローリングのすり傷対策や防音に役立てられると聞きます。
 
または「ボール積み」に挑戦すれば、集中力の鍛錬にも役立てられます。
 
「ボール積み」ならペコ球でも問題ありません。
  
プレーヤーの成長に最後まで貢献できたなら、廃ボールも安心して成仏できるでしょう

▶答え「規格が違うから」 


冒頭の問いに戻ります。
 
手の届く範囲のボールなのに、自分の打ちやすい打点に入れないのはなぜか?
 
答えは、普段使い慣れているボールと、ゲームのときだけ使うボールの規格が違うから
 
試合形式になると打てなくなるのは、決してメンタルが弱いからではありません。
 
経済的な事情の話はこの際、脇へ置いておくとして、いつもプレッシャーライズドのニューボールを使って練習できるなら、テニスプレーヤーは今とは比べものにならないくらい速く上達すると、私は断言できます。
 

▶追伸・ケチらないから「富む」


「モーニングノート」も「メモ書き」も、紙をケチるのは本末転倒。
 
ケチると湯水のごとく湧いてくるアイデアが止まってしまいます。
 
限りある紙をケチるか、限りないアイデアを止めるか。
 
冷静に、何のためにやっているのかを顧みます。
 
ケチるためではなく、QOL向上や、問題解決、悩み悲しみをどうにかしたいのが眼目です。
 
種を植えるのが「もったいない」からといって出し惜しみすれば、「複利効果」で指数関数的に爆発する富を、みすみす手放すようなもの。
 
ケチは仏教でも悪(下手を含意する)に指名手配されています。
 
ケチは「下手な生き方(苦しむ原因)」だと戒められるのです。
 
そこはアセスメントが必要でしょう。
 
それと同じようにテニスプレーヤーはどんどんボールを使ってどんどん上達するのが賢明です

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero