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質問004:サーブを打つとき、ウォーキングしてしまう

サーブを打つときどうしてもウォーキングしちゃいます。
どうしたらいいですか?

回答


▶ウォーキングは悪くない


ウォーキングが、悪いわけではありません。
 
むしろ、自然な体重移動を促す工夫として、あるいはバランスよくスイングする目的で、打ち終わりで1歩踏み出すように指導する場合もあるくらいです。
 
もちろん、バレーボールのサーブよろしく後方から勢いをつけて走り込んだりするのは、テニスの場合はルール違反ですけれども、そうでなければ、大丈夫です。

助走をつけるのはNGですが、後方から前側の足を1歩踏み込んで、後ろ側の足を引きつけたのちにジャンプへつなげるプレーヤーは少なくありません。

もちろん、後ろ側の足を引き寄せないプラットフォーム型の選手もいます。
 
いずれにしてもテニスでは、スイングしながら打ち終わりで足を踏み出すウォーキングは、ルールにも抵触しませんし、ご自身が上手くプレーするうえでも問題にはなりません
 

▶「無意識的な1歩」が上達を促す

 
恐らくご自身も、意図はしていないとしても、前に上がったトスを打ちにいく動作のバランスを取る目的で、無意識的に1歩踏み出しているのだろうと思います。
 
「する」のではなく「しちゃう」とおっしゃるのですからね。
 
それは、理にかなった動きです。
 
むしろ無理やりウォーキングしないように意識すると、ボールにラケットが届きにくく、ラケット面の真ん中を外してボールを打ったり、打球タイミングが合わなかったりと、不都合なのではないでしょうか。

足を引き寄せるか引き寄せないか、踏み出すか踏み出さないかは「フォーム」でしかありませんから、「人それぞれ」自分に合ったスタイルがよいのです。

▶体があえてフォームを崩してくれている


これは、これから何度も繰り返しご説明していく話になります。
 
バランスを取り、タイミングを合わせるために、体はあえてフォームを崩してくれています
 
ですからそれを、矯正する必要はありません。
 
必要ないどころか、逆にバランスが乱れ、タイミングを損ねてしまう逆効果として、常識的なテニス指導によるフォーム矯正は作用してしまうのです。
 

▶あえて「詰まらせる」つもり?

 
たとえばフォアハンドストロークを、のけ反って打つとします。
 
常識的なテニス指導では、NGとされる打ち方かもしれません。
 
そのうえでコーチは、「もっと前傾姿勢で打ちましょう!」とは、言うかもしれない。
 
だけど体は、打球タイミングが遅れた場合、あえてのけ反って、打ってくれているのです。
 
そうしないとタイミングが遅れているにもかかわらず、前傾姿勢で突っ込めば、「詰まった打球」になってしまうからです。
 

▶「事情」がある


もちろん、のけ反らないほうがいいのかもしれないけれど、そのときはそうするしかなかった、そうするしかできなかった、プレーヤーなりの「事情」があるのです。
 
全部が全部、理想とされるフォームで打てるのだとしたら、それはもう「戦うテニス」というよりも、お膳立てされた舞台で披露する「お遊戯会」です。
 

▶正しいフォームだとアンバランスで非力になる?

 
「スタンスは肩幅程度」とはいうけれど、届きそうもないボールに対しては、スタンスは開脚したオフバランスこそ、ハイバランス。

ノバク・ジョコビッチのスプレッド・レッグスです。

開脚しないと届かない遠いボールに対して「肩幅程度」のフォームを守ろうとすると、腕だけ伸ばして対応する逆に安定性を欠いた、アンバランスで非力な打ち方になってしまいます。

もちろん肩幅程度で打てればいいのかもしれないけれど、そうなる「事情が」ある

プレーヤーなりの事情を受け入れずに「ダメだ」などとジャッジメントするなら、それはもはや暴力・支配とすら言えるのです。

▶フォームは直さなくていい


フォーム矯正というのは、一事が万事、そうです。
 
「腰の高さの打点で打ちましょう」といっても、肩の高さに飛んできたボールに対して、腰の高さの打点で打とうとすれば、空振りします。
 
ウォーキングによってフットフォールトするというのであれば、トスの位置を見直す必要もあるでしょうけれども、そうでない場合、前に上がったトスに対して1歩踏み出さなければ、ラケットがボールに届かなくて、空振りしてしまいます。
 
ですから、フォームは意識して直さないほうがいいですし、まして固めてしまっては、テニスを上手くプレーするうえで必要な柔軟性、対応力を損ねます。
 

▶ウォーキングする「合理的な理由」

 
一般的なスポーツ指導では、テニスに限らず野球にせよゴルフにせよ競技種目を問わず「フォーム固めが大事」などと言われます。
 
しかしとりわけテニスは、上下・左右・前後・斜め・遠近の、ありとあらゆるところに飛んでくるボールに対応するのだから、フォームはその都度、柔らかく変えられると、コート上での立ち居振る舞いが自由でしなやかになります

お膳立てされた舞台で披露する「お遊戯会」ではありません。

ワキが空く、ヒザが伸びる、腰が曲がる……すべてそうなる体なりの「合理的な理由」があります。
 
このバランス、タイミングを取るために、体はウォーキングしてくれています

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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