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イップス克服に向けて019:「集中力」で心身ともに健康になる!


▶「考えない」ための「集中力」


私たちはなぜ、心配したり、不安になったり、緊張したり、するのでしょうか?
 
それは、「考える」からです
 
将来について考えるから、心配したり、不安になったりする。
 
過去にしくじったミスを思い返したりするから、同じような場面に遭遇すると、緊張したりもします。
 
特にイップスに罹患する場合、この傾向がひときわ強いのかもしれません。
 
もちろん、必要な心配、不安、緊張は、あってしかるべき
 
心配したり不安になったり緊張したりするから、備えられるのですからね。
 
しかし、過ぎたるは及ばざるがごとし
 
パフォーマンスを損なうような過度な心配、不安、緊張をなくすには、一体どうしたらよいでしょう?
 
そうです。
 
「考えなければいい」という流れに帰結します
 
そして考えないためにどうすればいいかというと、それこそが「集中力」なのです。
 

▶老後2000万円を「考える」から、不安になるのでは?

 
たとえば今の私であれは、この文章を書いている作業に、ひたすら専念する。
 
この内容が、「読者にウケるだろうか?」だとか、「そういえば、同じような内容を書いて批判されたんだっけ」だとか、「考える」と、書くのが、不安になったり、緊張したりして、文章の筋立てや明晰性が損なわれてしまいます。
 
あるいはご飯を食べるときなら、食べる行為にひたすら専念する。
 
そうして今・ここ・この瞬間に進行している行為に、ぴったりと心が寄り添うならば、自然に、不安や緊張は薄らぐ、ないし無くなるものです(それにより、物事が上手くいく連鎖が進行する話は後述)。
 
そうはいっても、「どうしても不安だ!」「やっぱり緊張する!」なとどいって、考えずにはいられない私たち。
 
これは図星だと思うのですが、老後2000万円問題について「考える」から、不安になっているのではないでしょうか?
 
あるいは、どうにかしなきゃと「考える」から、緊張が走るのではないでしょうか?
 
ところがそうやって「考える」せいで、かけがえのない今の生活が、ストレスになっている
 
穏やかにくつろぎたい日常が乗っ取られる。
 
そのほうがよっぽど心身にとってダメージで、「老後問題」としてやがて重くのしかかりかねません。
 

▶考えれば上手くいくと考える大いなる誤解?

 
つまり考えたくないのに、考えてしまう。
 
それは、「誤解(現実に対するイメージのズレ)」に由来しています。
 
「考えれば上手くいく!」と思い込んでいるのです。
 
ないし「考えれば安心できる!」などと、思い込んでいるのです。
 
だけどそれは多くの場合「誤解」で、考えるから、不安になって、心身にストレスが及んでしまっています
 
そのストレスにより、物事が上手くいかない連鎖が進行します。
 

▶今こそ誤解を改めるチャンス!

 
考えずに、「今・ここ・この瞬間」の行為に専念する。
 
その繰り返し、ないし継続こそが、実際には「上手くいく秘訣」
 
それはそうです。
 
ご飯を食べる行為に専念していれば、たとえば、食べすぎるミスはありません。
 
なのに、「あれが心配だ」「これが不安だ」などと考えていると、食べすぎるミスをする。
 
思考と感覚のマルチタスクは両立しないから、満腹感・満足感が得られないのです。
 
その食べすぎた心と体に及ぶ気持ち悪さのせいで、ネガティブな印象が心に焼きつき、食べ終わったその後の行為にも悪影響が及ぶ負の連鎖が、進行してしまうのです。

「食べすぎがミスだなんて大げさな……」などと、思われるかもしれません。

しかし食べすぎこそ、「万病のもと」

「1日3食」などという常識は、だれが決めた?

野生のライオンは満腹のとき、目の前を獲物のウサギが横切っても、襲わないといいます。

私たち人間も動物である以上、「飢えたら食べる」でいいのではないでしょうか?

そうでなければ、生命力とか躍動性とか、自由に動き回る闊達性とかが、損なわれてしまう

食べすぎて、体が動かなくなるとか、内蔵が疲れるとか、病気になるとか……。

だとしたら「1日3食」を提唱する常識には、何か(医学的に? 食品流通的に?)、「裏がある」のかもしれません。


それはさておき日常レベルでも、食べすぎると眠気に襲われたりして、ケアレスミスをする。
 
そして上司に怒られる。
 
同僚に迷惑をかける。
 
「また繰り返すんじゃないか」などと「考える」せいで、余計に心配になる。
 
もとは小さいストレス(心配)だった。
 
だけどストレス(心配)がストレス(心配)を巻き込んで、どんどん膨らんでいきます
 

▶米1粒の複利効果で、あっという間に100万石の大名!

 
ストレスがストレスを巻き込んで、どんどん膨らんでいく。
 
これをここでは、「心理的複利効果」と呼ぶことにします。
 
投資用語として知られる、利子が利子を生むあの「複利」です。
 
アインシュタインは「複利」を、「人類最大の発明」と評しました
 
豊臣秀吉と、その家臣である曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)のエピソードをご存じでしょうか?
 
新左衛門は秀吉から「褒美をやる」と言われたとき、「1日目にお米1粒、2日目には倍の2粒、3日目にはその倍の4粒をもらいたい」といって、日ごとに「前日の倍の米粒を100日間ほしい」と要望したそうです。
 
2週間後でようやく、8192粒。
 
これは1合を少し超える程度の、ほんのわずかな量でした。
 
秀吉は「大したことない」と安請け合いしたそうです。
 
ところがその量は、22日目で米俵1俵分(約60キログラム)を越えると、倍々ゲームで23日目には米俵2俵分、43日目には300万俵分を越える「100万石の大名」になってしまうことが、明るみになりました。
 
当初約束していた100日目には「天文学的な量」になってしまうと気づいた秀吉は、褒美の内容を変えてもらったという逸話です。
 
これと同じように、元本の心配がさらなる心配を呼び寄せ、その心配たちがそれぞれ心配をさらに呼び寄せる倍々ゲーム
 
ですから「考える」ことにより生じる負の「心理的複利効果」は、天文学的に膨らむから危険なのです。
 

▶正の「心理的複利効果」を発揮する!

 
食べる行為に専念すれば、食べすぎるミスがありません。
 
すると、心にも体にも負担が及びません。
 
午後からの仕事も冴え渡るでしょう。
 
そうして上手くいく行為が連鎖して、進行していくのです
 
ところがイップスになる人は、この「考える」ことによるネガティブな連鎖が、着々と進行してしまっています(そのほうが上手くいくと思い込むのが、現実に対するイメージのズレ)。
 
カロリーについて計算すれば痩せるなどと「考える」から、心身に不調をきたします。
 
肥満のない野生動物のライオンが、カロリーを気にするなんて聞いたためしがありません。

考えずに専念すれば、心と体の調子は整う方向で進行するのです。
 
心と体の調子が整えば、テニスが上手くいき、人間関係にも波及して、豊かな人生を送れるに違いない。
 
これをここでは、正の「心理的複利効果」と呼ぶことにします!
 

▶眠れないのも「考える」から

 
ちなみに私なりの専念とは、ご飯を一口につき100回くらい噛み締める、です。

咀嚼するにつれどんどん進行する、味や食感や温感の変化に集中すると、余計なことなど考える隙がなくなります。
 
いきなり考えることを「ゼロ」にはできないとしても、その「総量を減らす」取り組みをする。
 
ご飯を食べていても、うっかりいつの間にか、考え始めてしまいます。
 
考え事は連鎖しますから、総量が増え続けます。
 
その総量を、今の行為に専念することで、「ほどほど」にする。
 
眠りたいときに眠れないのは、「考える」からではないでしょうか?
 
そういうときに集中する行為がないというならば、「呼吸」に専念してみてください。
 
考え事が止むと、それこそスーッと眠れます。
 
呼吸への集中を通じて、心配事についてあれこれ「考えなくなる」からです。
 
考えてしまったことに気づいたら、一刻でも早く、一瞬でも早く、「あーあ、考えてしまった」などと「考える」ことなく、今の行為に専念し直します。
 
この、専念し直す繰り返しにより、集中力というのは、机上の空論ではなく現実的なトレーニングとなって、育まれます
 
この力が育まれると、過度な不安や緊張に苛まれずにすみ、安らかに生きられます。
 

▶集中力は「生きる術」だった!

 
つまり、集中力は「生きる術」だった!
 
集中力によって、心身の健康にも好影響が及びます。
 
考えなければ、過度に心配したり不安になったり緊張したりしませんから、今に集中する割合が多くなればなるほど、心配や不安や緊張の程度も、ほどほどに落ち着いてきます。
 
ほどほどに落ち着くと、「考えないほうが上手くいくんだな」と体感される(腑に落ちる)ため、現実に対するイメージのズレが改まって、ますます考える総量が減る結果、過度な心配や不安や緊張もなくなってきます。
 
これが、正の「心理的複利効果」です!
 
そうすれば人生、上手くいく連鎖が、勝手に進行していきます。
 
階段を昇るなら、階段を昇る行為にひたすら専念する。
 
立っているなら、立っている行為にひたすら専念する。
 
歩くなら、歩く行為にひたすら専念する。
 
「たったそれだけのこと!?」と思われるかも知れません。
 
たったそれだけで、いいんです。
 
イップスになる人は、あえて複雑に物事を考えすぎてきたのですから。
 

▶いざ、バーチャルから目覚めるとき!

 
結論、どんなに頭で考えたって、心身は健康にはなりません。
 
「病気を治そう!」と頭で考えたからといって、治るわけではありませんよね
 
むしろ考えれば考えるほど、病む。
 
イップスだって、同じです。
 
「どうすれば症状が出なくなるだろう?」
 
「またラケットが暴走するんじゃないか?」
 
「きっと腕が固まるに違いない……」
 
頭で考えるほど、悪化します
 
なので、「考える」総量を減らす。
 
ややもすれば私たちは考えるせいで、「過去と未来のバーチャル」を引っ切りなしに行き来していて、ほとんど「今のリアル」を生きていません。
 
そうやって、長くて100年前後の寿命を、ほとんどあたかも「バーチャルの中」で費やすのが、普通の人の人生です。
 
縁あってせっかくイップスになった(なれた)のだとしたら、いざ、バーチャルから目覚めましょう!

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero