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蔵出し映画レビュー『ブラック・フォン』

フライヤーからはなにやら怪しげな怪人が出てくるスリラー映画かなという匂いがあったイーサン・ホーク主演の『ブラック・フォン』。見てみると黒電話を使った奇妙な演出はあれど、誘拐犯スリラーと少年の監禁脱出劇を組み合わた良質スリラーに仕上がっている。

 

よく考えてみれば、アングルを変えた『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のようであり、それを探検要素を引いて、よりキュッとシャープにした感じである。少年4、5人グループの『IT/イット』とは違い、基本的にフィニー少年単独視点が多く、地下牢からの脱出劇がメインになる。そこに謎の黒電話があり、そこに心霊的演出で見せるあたりが独特な部分で味がある。

 

もう一つ、フィニーの妹もメインキャラの一人で、予知夢を見る彼女の描写も若干ホラー気味で悪くはない。ただ、『マリグナント 狂暴な悪夢』のような派手さはないので、この部分にはあまり過剰な期待はしない方がいいかも。

それよりも、フィニーの父親による妹への虐待描写やフィニーの少年野球、学校でのいじめっ子らとのやり取りなど、アメリカの少年少女らの日常風景にリアリティがあって良い。フィニーのメキシカンの友達とのやり取りも当時の小学生らしさもあり、そこに出てくる映画がこの映画のフォーマットのヒントになっている。

イーサン・ホークが演じる怪人グラバーも中途半端なマスクと薄らでかさに不気味さがあり悪くない。クセが強いホラー描写は薄いが、1978年の少年少女の等身大スリラーとしては味があり、見逃すには勿体ない。

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