マガジンのカバー画像

秘密罪 

52
一人の不幸な少年と、それを取り巻く四人の少女の物語
運営しているクリエイター

記事一覧

秘密罪 #1

秘密罪 #1

AM 5:30

目覚ましは6時半に設定したのだが、早めに目が覚めてしまった。

〇〇:習慣って抜けないもんだな。もしかして緊張もしてんのかな。

東京生まれの〇〇は、今日付けで高校2年生になったが、東京から離れた学校に転校した為、今日は転校初日になる。

〇〇:まだ早いけど、朝飯作るか、ついでに昼用の弁当も作っとくか、、そんで和さんの事は何時に起こせばいいんだっけ。

〇〇が和さんと呼んでいるの

もっとみる
秘密罪 #2

秘密罪 #2

〇〇:ただいまー。あれ和さん帰ってきてる...

玄関に和の靴が揃えてあった。

和:〇〇兄!おかえり!

〇〇:ただいま...って敬語じゃなくなってる...

和:せっかく兄妹になったんだし、ダメ..かな//

〇〇:可愛いボソッ

和:えっ!今なんて言った!?

〇〇:いや何も。敬語だけど和さんが外したいなら、外していいですよ。

和:.......〇〇兄も外して?兄妹なんだし...

〇〇

もっとみる
秘密罪 #3

秘密罪 #3

AM4:30

外はまだ暗かった。自然と目が覚めた。最悪の目覚めだった。

何かに悩んだ時、〇〇はいつもする事があった。

〇〇:バット....振るか。

ブンッ  ブンッ

これ以上ないほど綺麗なフォームで素振りをする。コースごとに打ち分けた。もう野球なんてする事はないのに。

〇〇:それにしても、昨日の.....やっちまったな。

===============================

もっとみる
秘密罪 #4

秘密罪 #4

あの日以降、遥香と禅は〇〇に話しかける事は無くなった。〇〇も同様に禅と遥香と話す時は必要最低限クラスメイトに不審がられない程度の会話をするだけだった。

男2:なぁ〇〇。お前球技大会、ソフトボールとバスケ出るんだろ?

〇〇:うん、そうだよ。

男2:俺も一緒。放課後練習しようぜ。

〇〇:おっけー。

ごく普通の高校生を演じた。秘密がバレても相手がすぐ離れられるような関係性。それが〇〇の望んでい

もっとみる
秘密罪 #5

秘密罪 #5

AM:5:00

〇〇:今日も早く起きちゃったな。本でも読むか。

5分後

〇〇:飽きたな。早めに弁当作っとくか。

5分後

〇〇:なんかやる気出ないな。うーーん。

〇〇:バット............振るか。

習慣なのか、未練なのか、結局素振りをする事でしか時間消費の方法が浮かばなかった。

====================================

和:〇〇兄!おはよ!

もっとみる
秘密罪 #6

秘密罪 #6

AM:7:00

〇〇:ん、朝か。最近よく眠れるな。

和:〇〇兄おはよー!ボフッ

〇〇:うわっ!布団入ってくるなよ!

和:えへへ//〇〇兄の布団あったかいんだもん//

〇〇:可愛い奴だな笑。ほら朝ご飯にするぞー。

和:可愛い!?可愛いかぁ//えへへ//

〇〇が朝ご飯を作っている間も和は、〇〇の布団で足をバタバタさせていた。

=============================

もっとみる
秘密罪 #7

秘密罪 #7

さくら:ちょっと待ってよー!里紗!

里紗:ほらさく。置いてくよー!

中学2年生の夏の蒸し暑い日。どんなに暑くても学校には行かなければならない。

里紗はさくらの唯一の友達。中学1年生で出会い、友達のいないさくらに良く話しかけてくれた。

====================================

△△:里紗ちゃん!おはよー!

里紗:おはよー!

□□:里紗ちゃん。課題やった?

もっとみる
秘密罪 #8

秘密罪 #8

「七華達を殺す」

強い言葉を呟いた。ふざけて言ったのではない。確かに自分の心の底から発した言葉。

〇〇:あ?僕今なんて言った?

信じられなかった。自分が1番遠ざかりたい存在。それは殺人だった。だが〇〇にとっては少し危惧していたことでもあった。自分の奥底に眠っていたもの。

〇〇:殺すって...言ったのか?あり得ない、あり得ない。僕に限ってそんな事.....,

1人でなんとかする。周りに迷惑

もっとみる
秘密罪 #9

秘密罪 #9

飛鳥:はい皆んなおはよー。今日も1日頑張ろー。

遥香:先生、今日も〇〇君は休みですか。

飛鳥:うん。体調不良だって。

遥香:....そうですか。

〇〇は体育館倉庫で七華達のいじめを止めた日から一週間学校に来ていなかった。

禅:〇〇、大丈夫かな。体調不良....ではないよな。

遥香:和ちゃんに話聞いてみよう?

さくら:私も行く。こうなったのは私のせいかも知れない。

=========

もっとみる
秘密罪 #10

秘密罪 #10

〇〇の部屋

〇〇:...........。

遥香:...........。

〇〇と遥香は、〇〇のベッドに横並びで座っていた。

〇〇:(まずい、何を話したらいいかわからん)

遥香:(うわぁぁぁ!!勢い余ってあんな事言っちゃったから、、、)

====================================

数分前

遥香:〇〇君の家で今日一緒に過ごさせてくれたら許す!

〇〇:え

もっとみる
秘密罪 #11

秘密罪 #11

和:今日は私とお出かけするの!

〇〇:えぇーー!?

和:ほら、早く準備して!お金多めに持ってね。

〇〇:どこに行くの?

和:秘密!

〇〇:まぁ...いいか。準備するよ。

====================================

和:じゃあ、まずはショッピングモールに行きます!

〇〇:おっけー。

和:へへっ//〇〇兄とデートかぁ//

〇〇:デートなのか?これ。

もっとみる
秘密罪 #12

秘密罪 #12

久しぶりに歩く通学路は、遠いのか近いのか分からない感覚になった。緊張しているのか、変わる為の一歩なのか、どちらにせよ、〇〇は踏み締めて歩いていた。

禅:〇〇と通学路歩くのも久しぶりだな。

〇〇:...まぁ迷惑かけたよ。すまんかった。

禅:いや....俺もちょっと謝らないといけない事があってさ。

〇〇:なに?

禅は〇〇に野球のパンフレットを渡した。

〇〇:なにこれ。 ってか乃木高野球部甲

もっとみる
秘密罪 #13

秘密罪 #13

和:むぅ....ふわぁぁ...美空...起きて。

美空:....くぁぁ...ん...起きた。あれ?〇〇は?

和:〇〇兄は先に起きてるみたい。

扉の向こうでは、水道を開ける音や食材を切る音、焼く音。〇〇が朝食を作っているようだった。

〜〜

〜〜

和、美空:いただきまーす!

〇〇:はい、どうぞ。

和:モグモグ...うまっ。

美空:うまっ!

〇〇:そりゃどーも。

美空:あれ、〇〇。

もっとみる
秘密罪 #14

秘密罪 #14

生徒会長:これからぁ!乃木高体育祭をぉ!始めまーーーす!

男1:しゃあ!絶対勝つぞ!

男2:彼女の為に頑張りまーす。

男1:くそぉ!すでに負けた気がする。

〇〇:僕、後半に競技固まってるから暇なんだけど。

禅:応援も楽しいもんだよ。

〇〇:なるほど。

開会式を終え、各クラス毎に集まって、時間の確認や一致団結の音頭を取っていた。

男1:よしっ!じゃあ円陣組もうぜ!

女1:いいねぇ!

もっとみる