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秘密罪 #6

AM:7:00


〇〇:ん、朝か。最近よく眠れるな。

和:〇〇兄おはよー!ボフッ

〇〇:うわっ!布団入ってくるなよ!

和:えへへ//〇〇兄の布団あったかいんだもん//

〇〇:可愛い奴だな笑。ほら朝ご飯にするぞー。

和:可愛い!?可愛いかぁ//えへへ//


〇〇が朝ご飯を作っている間も和は、〇〇の布団で足をバタバタさせていた。


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禅:〇〇ー。迎え来たぞー。和ちゃん、〇〇いる?

和:いますよ!〇〇兄ー!

〇〇:毎朝来んなよ。

禅:連れないこと言うなよー。"友達"なんだからさ笑

〇〇:強調すんな。

和:〇〇兄に友達が出来るなんて泣

〇〇:和。うるさいよ。じゃ行ってきます。

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球技大会から2週間程経った。その日から〇〇は毎朝、禅と登校していた。時々後ろから遥香が追いついて一緒に登校していた。


遥香:まさか、義理の妹が和ちゃんだったなんて。びっくりしたよ。

〇〇:まぁ隠してたからな。

遥香:今度遊びに行こ。それはそうとさ、〇〇君は野球部入らないの?

〇〇:うーん。入らないかな。

禅:えー、入ってくれよ。

〇〇:甲子園はテレビ来るだろ。映ったら困るし。

禅:〇〇って実は有名だったりすんの。

〇〇:聞いて驚け。僕は中1からU15日本代表だったんだぞ。

遥香:いや、めっちゃ凄いじゃん。

〇〇:中3の時は、事件がきっかけで外されたけどな。

禅:でも再婚して苗字変わったじゃん。やりたかったら、やろうぜ。

〇〇:やりたいけど、ポジション空いてんの?急に入部してレギュラーとか気が引けるんだが。

禅:あんま乃木高野球部舐めんなよ?ちなみにポジションどこなん。

〇〇:ピッチャー以外ならどこでも。

禅:すっげ。皆んなも甲子園優勝する為なら強い人入ってくれるのは歓迎だよ。捕手も入って欲しいって言ってたし。

〇〇:うーーん。でもなぁ。

遥香:いいじゃん!〇〇君が野球やってる所見たいなぁ。

〇〇:え....あ...そう?じゃ、やろうかな。

禅:あれ?なんかお前、遥香に弱くない?

〇〇:うっせぇ!

遥香:あははっ!なんか楽しいね!

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授業中

先生:じゃ、ペアワークで隣同士と話し合ってー。

〇〇:遥香さん、遥香さん起きてボソッ

遥香:ハッ!ね、寝てないよ!私!

〇〇:そうゆう事にしといてあげる笑

遥香:(恥ずかしい//)

〇〇:顔赤いけど、大丈夫?熱ある?ピトッ

遥香:ちょ、ちょっと//離れて//プシュゥゥゥ


〇〇は前髪を上げて遥香のおでこと自分のおでこをくっつけた。遥香は更に顔を赤くし、気絶寸前だった。


遥香:.....〇〇君、聞きたいことあるんだけど。

〇〇:なに?

遥香:今まで彼女いた事ある?

〇〇:なに急に。まぁ1人だけ。

遥香:告白された事は?

〇〇:数えた事なかったな。

遥香:こういう事色んな人にしてたの?

〇〇:こういう事って?

遥香:いや....なんでもない。

遥香:(これは、とんでもないモンスターを解放してしまったのかも知れない.....)

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昼休み 屋上


〇〇:授業疲れたーー。

遠藤:お疲れ。

〇〇:あ、さくら。お疲れ!

遠藤:なんか〇〇君、球技大会の日から変わったね。

〇〇:え?そうかな。

遠藤:うん。なんか明るくなった。

〇〇:....友達が出来たからかな...。

遠藤:そっかぁ。なんかちょっと寂しいかも。

〇〇:さくらも友達....だと思ってたんだけど。

遠藤:え?

〇〇:一番話してるの、さくらだし。

遠藤:そっかぁ。じゃ寂しくないかも//



ピロンッ


遠藤:.........ごめん。私もう行かなきゃ。

〇〇:え?昼休み始まったばっかだけど。

遠藤:えーっと...先生!先生に呼び出されてて。

〇〇:先生からLINE来なくない?

遠藤:....もう行かなきゃ。

〇〇..............。

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放課後


禅:〇〇ー。部活見てく?

〇〇:あー、そうだな。見てくよ。

禅:おっけ、じゃ行こうぜ。

〇〇:ちょい待って。屋上に小説忘れてきたから、取ってきたから行くわ。

禅:おっけー。


小説を取りに〇〇は屋上へ向かった。他の部活も活動を始めており、屋上へ向かう時は誰ともすれ違わなかった。


〇〇:えーっと、小説どこに置いたっけな。ってさくら?

遠藤:あ、〇〇君。

〇〇:.....泣いてる?

遠藤:な、泣いてないよ。全然泣いてない!

〇〇:なんか.....あった?相談乗るよ?

遠藤:....君とは...同じだと思ってたのに。

〇〇:え?


バタンッ


さくらは泣きながら憤慨した様子で屋上を飛び出して行った。〇〇はさくらの言葉の意味を理解できかねていた。

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帰り道


禅:うへー。部活疲れたー。

〇〇:あんなので疲れんな。

禅:お前見てるだけだったろ!やってみろ!

遥香:私も疲れたー。

〇〇:遥香さんは何してたの?

遥香:図書室で勉強。

〇〇:へー。図書室か。僕も行ってみよ。

遥香:来て来てー。いつも私とさくらさんくらいしか居ないの。

〇〇:え?さくら?

遥香:うん。知ってるの?

〇〇:この学校来てから1番話してるかな。

遥香:へぇー💢私とは全然喋ってくれなかったのに。

〇〇:え、怒ってる?

遥香:怒ってない!

禅:あはは笑 俺は全然さくらさんの事知らないな。

〇〇:いや俺も本が好きって事くらいしか知らないんだけど。遥香さん友達じゃないの?

遥香:いや.....友達じゃないかな。

〇〇:なにその間。

遥香:さくらちゃん、ちょっと噂があってね....。

〇〇:なに?

遥香:中学の頃.....同級生をいじめてたらしいの。

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〇〇:ただいまー。

和:おかえりー。遅かったね。

〇〇:ちょっと部活見学してて。今ご飯作るから待ってて。 


毎日ご飯を作るようになってから〇〇の料理レベルは卓越していた。プロです。もうプロ。


和:シェフ。今日も美味しいです。

〇〇:なにそれ笑。まぁありがと。


食事中、〇〇はずっと考え事をしていた。さくらの事についてだった。


和:〇〇兄、どうしたの。さっきからずっとため息してるけど。

〇〇:あ、出ちゃってた?

和:うん。なんかあった?

〇〇:....和はさ。友達が人をいじめてたらどうする?

和:え、そんな人と友達にならないよ。

〇〇:まぁ...そうか。僕は当然のように中学の頃いじめられたんだけどさ。

和:殺人犯の息子って理由で?

〇〇:うん。でもそれまでは普通の友達だったんだよね。 いじめるのってなんか理由があんのかな...。

和:どんな理由があってもダメだけどね。

〇〇:まぁ、そうだな。

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翌日


禅:今日も部活見学してく?

〇〇:いや今日は図書室行こうかな。

禅:わかった。入部前向きに検討しといてくれよ?

〇〇:わかってるよ。


図書室へ向かう途中、遥香に会った。一緒に図書室に行く事にした。


遥香:〇〇君も勉強するの?

〇〇:いや僕は本読む。

遥香:そろそろテストだけど、大丈夫?

〇〇:実は元医者志望だったりします。

遥香:え、じゃ頭良いの?

〇〇:まぁ平均より少し?

遥香:えー、じゃあ勉強教えてよー。


そんな会話をしながら図書室に向かった。途中普段使わない空き教室を横切った。


〇〇:ん?ちょっと待ってボソッ

遥香:どうしたの?急に小さい声出しムグッ


〇〇は咄嗟に遥香の口を抑えた。


七華:キャハハ!水浸しじゃん笑

麻美:なにその反抗的な目。もっといじめたくなっちゃうじゃん。

遠藤:.........。


空き教室で行われていたのはいじめだった。しかも標的はさくら。〇〇と遥香は、その様子を見ながら小声で話していた。


遥香:助けよう。

〇〇:ダメだ。

遥香:なんで!?もう見てられないよ!

〇〇:遥香さんは隣の教室に入ってて。今はこの場を凌ぐから。

遥香:.....わかった。


遥香が隣の教室に入ったのを確認してから、〇〇は大声で叫んだ。


〇〇:先生ーー!!こっちです先生ーー!!

七華:やばっ。先生近くにいる!?

麻美:とりあえず逃げるよ!


その言葉を聞いてから、〇〇も隣の教室も入った。
いじめが起きていた教室から音がなくなったのを確認してから、〇〇と遥香は教室を出た。


ガラガラガラ


〇〇:さくら!大丈夫!?

遠藤:.........。

遥香:あいつら、最低だね。さくらさん大丈夫?

遠藤:.......やめてよ。

〇〇:えっ?

遠藤:....助けてなんて......頼んでない!


ガラガラガラッ


昨日の昼と同じように、さくらは飛び出していった。〇〇と遥香はただ立ち尽くすしかなかった。

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その後、図書室に寄る気にもなれず、〇〇と遥香は2人で帰る事にした。


遥香:.....ねぇ...なんですぐ助けなかったの。

〇〇:僕も昔いじめられてたから。

遥香:どういう事?

〇〇:いじめはキリがないんだ。証拠がなければ先生も動かない。面倒事は学校も嫌いだからね。

遥香:だからって、助けない理由には・・

〇〇:あのまま助けていたら、次の標的は遥香だったかも知れない。さくらの友達だったかも知れない。

遥香:......じゃあ...どうすれば...。

〇〇:大丈夫。必ず助けるよ。僕の周囲の人間は不幸になんて絶対にしない。どんな手を使ってでも。


そう決めた〇〇だったが、ひとつ気がかりな事があった。


遥香:でも....助けてなんて頼んでないって.....。

〇〇:そう。それなんだよ。


さくらには何か理由があるようだった。強い意志すら感じた。それが2人には違和感として残った。

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あれから数日経った。あの日以降さくらが屋上に来る事はなかった。だが学校には毎日来ていた。


放課後


禅:〇〇ー。今日は野球・・

〇〇:テスト期間今日からだぞ。部活ねぇだろ。

禅:バレたか....なぁ〇〇、勉強教えてくれよ。

〇〇:いいよ。その代わり1個協力して。

禅:いいよ。なに?

〇〇:禅はこの学校の人ほとんどの知り合いって言ってたよね。

禅:まぁ、そうだな。

〇〇:じゃあさ、七華さんと麻美さんって知ってるか?

禅:えー知ってるけど、あんま良い噂聞かない奴等だぞ。

〇〇:紹介してくんね。

禅:趣味悪いなお前。まぁなんか理由あるんだろうけど。

〇〇:すまんな。ありがとう。

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それからまた数日が経った。〇〇は放課後良く用事があると言って遥香と禅とは帰らなくなっていた。


遥香:なんか最近つまんないなーー。〇〇君なにしてんだろ。

禅:んーー。女でも出来たんじゃね。

遥香:え!?〇〇君に!?

禅:なに?嫌なの?

遥香:べ、別に?嫌じゃないけど.....?

禅:ふーん笑 あれ噂をすれば〇〇じゃね?


禅の視線の先には〇〇とその両脇に、女子2人がいた。


七華:えー、やばーい優太君カッコいい!

麻美:まじそれな!優太君この後カフェ行こうよー。

〇〇(優太):おー、いいよ!行こうか。


その光景に遥香は目を疑った。


遥香:(あれってさくらさんをいじめてた2人だ。なんで?なんで....あんな人達と仲良くしてるの?しかも)

遥香:前髪....上げてる。

禅:そうだな。(あれ、なんかこの空気まずいかな。紹介した俺のせい?)

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カフェ


七華:ねーねー、優太君って何組なのー?

〇〇(優太):えー、それは教えなーい。

〇〇(優太):それよりさ、遠藤さくらって子知ってる?

麻美:え、まぁ知ってるけど、なんで?

〇〇(優太):いや、まぁなんとなく?

七華:私達が放課後よく可愛がってあげてるんだよねー?

麻美:そうそう!でも最近は優太君との予定があるから、最近は可愛がってないけどね。

〇〇:へー、そうなんだ。

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後日 屋上


〇〇:うへー。あいつらの相手すんのまじ大変だな。テストも終わったことだし。あともう少しかな....。

〇〇:午後はサボろ。ちょっと寝るか。


〇〇は偽名優太を使って、さくらをいじめていた七華と麻美の興味を引いていた。すべてはさくらへのいじめをなくす為だった。

〇〇が寝てから何分経っただろうか。起きた時にはすでに6時間目が終わるチャイムが鳴っていた。


〇〇:やっべ。今日はまたカフェ行く予定・・

遠藤:カフェ?誰と行くの?

目が覚めた時、〇〇は何か柔らかい物を右耳に感じた。それはさくらの膝枕だった。


遠藤:ねぇ、私へのいじめがないのって〇〇君の仕業?

〇〇:いやー、なんのこと?

遠藤:嘘ついたって無駄だよ。七華と麻美といる所、見たから。

〇〇:.....そうだよ。さくらがいじめられないようにしてる。あと少しなんだ。あと少しでさくらへのいじめが完全に無くなる。

遠藤:だから...そんなこと頼んでない。私はいじめを受け入れているの....。

〇〇:なんで?何があったのか、教えてくれないかな。


しばらく沈黙が続いたが、ようやくさくらは口を開き、全ての事を話し出した。


遠藤:わかった。話すよ。私の全て。私が過去に何があったか。

〇〇:うん。

遠藤:私ね、


昔、友達を1人殺してしまったの


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                                          To be continued


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