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#掌編小説
【小説】筑紫国の押領使が毎日大根を二本食べ続けた結果「徒然草」より
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その里は、秋から冬に移り変わろうとしていた。
山へ、冷気が頂から流れ込み、その山腹を冷たく乾燥した風がなでつけ、その風が人々と家屋に容赦なく吹きつける。
山裾を絶えずに流れる川の水も、朝は凍るような冷たさであろう。その水は、地域の田畑を肥沃にし、人々に作物をもたらす。
この川の水を引き、農作物を育てる簡素な武家屋敷があり、ここにひとりの押領使がいた。
押領使とは平安時代に、朝廷よ