見出し画像

インナーチャイルドとアダルトチルドレン

みなさんこんにちは、青空せんせいです。

今日は最近、いや、数年前から流行り始めた言葉の「インナーチャイルド」と「アダルトチルドレン」について解説します。

ググってみると、Wikipediaではこのように説明されています(一部抜粋)。

アダルトチルドレンとは、「家族システムの危機や、親との関係での何らかのトラウマ、過度に「いい子」でいることを余儀なくされたなどの経験があり、他者の期待に過剰に敏感になるなどの状況に陥り、その結果、自己のアイデンティティの不安定さやある種の「生きにくさ」に悩む人を指す」言葉である

大学院まで出ておきながら文献を探すのをさぼってWikipediaから引用とは何事か!と言われそうですが、そもそもアダルトチルドレンとは正式な言葉ではないので、文献を漁ったところで正式な文書になればなるほど「造語」は出てこないんですね。なので今回はWikipediaを参照しましたが、許してくれると助かります。

多くのアダルトチルドレンの方の中には、複数の「子どものままの自分」がいることが多いです。これは比喩表現ではありません。

本当に!別の人格としてこっそり心の中に存在しているのです。それが、インナーチャイルド、いや、正式には「自我状態(ego state)と呼ばれるものです。そして、この自我状態が入れ替わり立ち代わりで人格交代を起こすのが多重人格、正式には解離性同一性障害(DID)です。ここまでですでに多数の専門用語が出てきて混乱してしまいますよね。すみません。

アダルトチルドレンやHSPなどと色々な造語が作られてきましたが、これらは(私が思うに)要するに「愛着障害」です。

親との間に健全な愛着が形成されなかったことにより、常に不安で過敏な人になってしまうわけですね。

では、どうすれば改善されるのでしょうか。一つには、カウンセリングがありますね。愛着障害はお薬(医療)では治りませんので、カウンセリング(心理)の領域になってきます。しかし、通常の傾聴型・対話型のカウンセリングでは効かないか、効果が出るまでに何年もかかります。

どうしてでしょうか?

そこに、一つのヒントとしてインナーチャイルド、いや、「自我状態」の存在があります。イメージしてみてください。アダルトチルドレンの人の心の中には何人もの自我状態(子ども達)がいるわけですね。その子たちがあなたの感じてきた苦痛を代わりに引き受けてくれているのです。それは生き抜くためにどうしても必要であった半面、代償として、解消されない心の傷として残り続けているのです。

心の内側から、悲しみと悔しさと怒りと諦めが湧き上がってくるのは、その自我状態たちの気持ちなのです。ところがカウンセリングで話をしているのは主人格ですよね。もうお気づきのことでしょう。

「自分だけすっきりして自我状態が置き去り」という状態から抜け出せないのです。僕の師匠はこの現象を「上滑りするカウンセリング」と呼んでいました。まさにそのとおりですね。会話だけが上の方を滑って、奥深くまで眠った自我状態たちには届かないのです。だから一時的にスッキリしても、眠っていた自我状態が近づいてくればまた不安や恐怖が襲ってきます。

じゃあ一生このままなの?

そんなことありません。自我状態が苦しいなら自我状態を救ってあげればよいのです。それがあなた自身を楽にします。

              「自我状態療法」

こんな技法が存在します。自我状態療法についてまで語るととんでもない文章量になってしまうので、ググってみてください。

自我状態療法|一般社団法人 Ego State Therapy Japan (EST-J)

私は自我状態療法を実践してきて、クライエントさんたちに確かな効果を感じてきました。もちろん、どんな心理療法もすべての人に適用できるわけではありません。しかし、自我状態を抱える人にとっては有効であることが多いです。

一方、インナーチャイルドセラピーなどと訳の分からないものを安易にやろうとするカウンセラーもいるので、注意が必要です。「インナーチャイルドを抱きしめてあげましょう!」などと言う最悪なカウンセラー、いやいや、カウンセラーもどきを度々見かけます。

そういう人には気を付けてくださいね。

そもそも、自我状態とは苦痛の塊のような存在です。苦痛を引き受けるために生まれた存在なのだから、当たり前ですよね。その苦痛の塊に安易に接近して抱きしめようものなら感情があふれ、涙が濁流のように流れます。これを見て、頭の悪いカウンセラーは「つらかったのね」などといって共感しようとし、それを繰り返せば良くなると勘違いします。しかし、大抵そんなことをやっていると悪化します。なぜなら、涙があふれるのは感情を再体験してフラッシュバックを起こしている状態だからです。何度もフラッシュバックを起こし、涙を流し、インナーチャイルドとの距離感をめちゃくちゃにする…しかし泣いた後にはセロトニンが分泌されるので、一時的にスッキリし、カウンセリングが効いた、あるいはカウンセリングに行くと楽になると思わされてしまうのです。

ですが、そういった経験のある方に聞きたいです。

「長期的に見て、結局良くなってますか?」

上手なカウンセラーになればなるほど、なるべく泣かせません。もちろん大事な局面になれば涙は流れてしまいますが、泣くというのは感情が侵襲された証です。その人の耐えられる耐性領域(耐えられる範囲)を超えたから涙が出ているのです。この時、脳内はパニックで自我状態のケアどころではありません。泣かせて一時的にスッキリさせるのはパフォーマンスです。治療ではありません。

その人が感情に耐えられる範囲の中で、フラッシュバックを防ぎつつ、少しずつ抑圧された感情を開放することが重要なのです。そして、自我状態に安心を取り戻させます。

この時にカウンセラーによっては、EMDRやブレインスポッティングを併用することもあります。

EMDRとは | 日本EMDR学会

こうして、少しずつ少しずつ安心と安全を取り戻していくのです。それが、最短の治療ルートです。

あなたの中に内なる人格はいませんか?声が聞こえることはありませんか?苦痛な記憶がスッポリなくなっていませんか?

辛くなるとすぐに忘れてしまいませんか? 自分が自分でないような気がすることはありませんか?

そんなことがある時は、ぜひお近くのカウンセリングルームで「自我状態療法やってますか?」と声をかけてみてください。

以上、インナーチャイルド(自我状態)とアダルトチルドレン(愛着障害、複雑性トラウマ)について語る時間でした。

読んでいただきありがとうございました。


カウンセリングルーム青空
栃木県内で訪問支援とオンラインカウンセリングで全国展開するカウンセリングルームです。

mail: aozora.sensei1@gmail.com
insta: tsubasa_therapy

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?