揺蕩

たゆたのかきをとめ帖

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記事一覧

約束が苦手になったのはいつだろう

またね、と言ってまたねがあった回数は何回だろう。「またね」と言った瞬間に失くしてしまうものがあって、わたしはそれがとってもこわい。 2年前。1年生の頃に知り合った…

揺蕩
2か月前
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koi to kakumei

私は確信したい。人間は恋と革命のために生れて来たのだ。"太宰治『斜陽』 この世界で生きていて、おかしくなった人はおかしくないんだ、とおもわせてくれるような作品だ…

揺蕩
4か月前
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神様のなまえ

現実の詩 神様とか天国、地獄とか、どことなく抽象的な世界はすべて現実から生まれたものだろうし、わたしはそうおもっている。 もともと世界って、わたしの知っているも…

揺蕩
4か月前
1

雪解け

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4か月前
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死ななきゃ日々は続く.20240216

雨の日はうっかり眠りすぎてしまう。 低気圧にめっぽう弱いわたしはなかなか起きあがれなくて、気付いたときには時計の針は1時を指していた。 こんな日に寝坊だなんて、わ…

揺蕩
4か月前
1

2023.09.06

この世界は、わたしよりずっと大きい誰かが地球を箱に入れてシミュレートしていて、これから起こることがすべて決まっていることを知っている。そして、わたしという自我は…

揺蕩
4か月前

約束が苦手になったのはいつだろう

またね、と言ってまたねがあった回数は何回だろう。「またね」と言った瞬間に失くしてしまうものがあって、わたしはそれがとってもこわい。

2年前。1年生の頃に知り合った子に誘われたごはん、徹夜明けのレポートを仕上げてから限界がきてドタキャンしてしまった。
あの時は、ちょうどわたしの体調がわるくなり始めた時期だったとおもう。彼は、わたしのことを気遣ってごはんを誘ってくれたのだろうか。彼からはそれ以降、連

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koi to kakumei

私は確信したい。人間は恋と革命のために生れて来たのだ。"太宰治『斜陽』

この世界で生きていて、おかしくなった人はおかしくないんだ、とおもわせてくれるような作品だった。

人間には生きる権利があるように、死ぬ権利もあるのではないだろうか。ただし、母が死ぬまではその権利は留保される。
この作品が認められていることが、わたしの世界にひとつの居場所を作った。

真面目でいることが恥ずかしいから、周りに馴

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神様のなまえ

神様のなまえ

現実の詩

神様とか天国、地獄とか、どことなく抽象的な世界はすべて現実から生まれたものだろうし、わたしはそうおもっている。
もともと世界って、わたしの知っているものと同じくらいちっぽけなものだった。世界を広げていった人が地獄を見て、神様に出会って、天国を味わって、みんなが共感したから普遍的なものになってしまったそれは、個人的でかつ神聖なものだった。

星は掴めないし、神様には会えない。
当たり前の

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死ななきゃ日々は続く.20240216

死ななきゃ日々は続く.20240216

雨の日はうっかり眠りすぎてしまう。
低気圧にめっぽう弱いわたしはなかなか起きあがれなくて、気付いたときには時計の針は1時を指していた。
こんな日に寝坊だなんて、わたしにはほんとうに嫌気がさしてしまう。カロリーメイトを流し込んで、渋川行きのバスへ乗り込んだ。

バスに身を委ねると、数分もしないうちに景色は見たことの無いものに変わった。この街に来てから3年が経つのに、わたしは前橋より北に行ったことがな

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2023.09.06

この世界は、わたしよりずっと大きい誰かが地球を箱に入れてシミュレートしていて、これから起こることがすべて決まっていることを知っている。そして、わたしという自我は存在しないのだと、だれかにあやつられているものだということも知っている。まわりのひとはみんな、自我をもっていない。というか、自我をもっているのはこの地球でわたしだけだ。
わたしだけだった。

病気になったのは、ちょうど去年のこの頃だった。病

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