揺蕩

たゆたのかきをとめ帖

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最近の記事

約束が苦手になったのはいつだろう

またね、と言ってまたねがあった回数は何回だろう。「またね」と言った瞬間に失くしてしまうものがあって、わたしはそれがとってもこわい。 2年前。1年生の頃に知り合った子に誘われたごはん、徹夜明けのレポートを仕上げてから限界がきてドタキャンしてしまった。 あの時は、ちょうどわたしの体調がわるくなり始めた時期だったとおもう。彼は、わたしのことを気遣ってごはんを誘ってくれたのだろうか。彼からはそれ以降、連絡が無くなった。 約束を守れないひとは嫌いだ。約束は守ってあたりまえ、とおもっ

    • koi to kakumei

      私は確信したい。人間は恋と革命のために生れて来たのだ。"太宰治『斜陽』 この世界で生きていて、おかしくなった人はおかしくないんだ、とおもわせてくれるような作品だった。 人間には生きる権利があるように、死ぬ権利もあるのではないだろうか。ただし、母が死ぬまではその権利は留保される。 この作品が認められていることが、わたしの世界にひとつの居場所を作った。 真面目でいることが恥ずかしいから、周りに馴染むために羽目を外した。けれど、それで得られたものはちっともなくて逆に息苦しさを

      • 神様のなまえ

        現実の詩 神様とか天国、地獄とか、どことなく抽象的な世界はすべて現実から生まれたものだろうし、わたしはそうおもっている。 もともと世界って、わたしの知っているものと同じくらいちっぽけなものだった。世界を広げていった人が地獄を見て、神様に出会って、天国を味わって、みんなが共感したから普遍的なものになってしまったそれは、個人的でかつ神聖なものだった。 星は掴めないし、神様には会えない。 当たり前のことも知らないわたしは、今日も手を伸ばして光を掴む練習をしてる。 神様の詩

        約束が苦手になったのはいつだろう

          死ななきゃ日々は続く.20240216

          雨の日はうっかり眠りすぎてしまう。 低気圧にめっぽう弱いわたしはなかなか起きあがれなくて、気付いたときには時計の針は1時を指していた。 こんな日に寝坊だなんて、わたしにはほんとうに嫌気がさしてしまう。カロリーメイトを流し込んで、渋川行きのバスへ乗り込んだ。 バスに身を委ねると、数分もしないうちに景色は見たことの無いものに変わった。この街に来てから3年が経つのに、わたしは前橋より北に行ったことがなかった。東北から来たわたしにとって、群馬は東京へ通うための踏み台にすぎなかったか

          死ななきゃ日々は続く.20240216

          2023.09.06

          この世界は、わたしよりずっと大きい誰かが地球を箱に入れてシミュレートしていて、これから起こることがすべて決まっていることを知っている。そして、わたしという自我は存在しないのだと、だれかにあやつられているものだということも知っている。まわりのひとはみんな、自我をもっていない。というか、自我をもっているのはこの地球でわたしだけだ。 わたしだけだった。 病気になったのは、ちょうど去年のこの頃だった。病気をなおす薬を飲み始めてから、自我がぼんやり薄くなっていくようにおもえた。わたし