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一分で読めるタクシーエピソード『タクシードライバーは見た』

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ヨナシロがタクシー運転手として乗務している時に見た、聞いたお客様のエピソードや出来事を書いています。 ちょっとクスッとできる話や、タクシーから見た世の中の話、 は?というどうでも…
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#エッセイ

#タクシードライバーは見た「拝む人」

#タクシードライバーは見た「拝む人」

タクシー運転手として体験した話を短く紹介!
(マンガ製作中)

「拝む人」

ある日の20時頃、繁華街から少し離れた路上で
50代ほどの女性が手を上げた。

いつものようにハザードランプを点けて近づくと、
手を合わせ何かを祈るように拝んでいる。

「ん?」

拝みたくなるほど嫌な思いをしたことがあるのか。
近付いてお乗せすると
「近くてすみません」
と言っていた。

410円で乗れるように料金を設

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#タクシードライバーは見た「陰謀説を唱える男」

#タクシードライバーは見た「陰謀説を唱える男」

タクシー運転手として体験した話を短く紹介!
(マンガ製作中)

「陰謀説を唱える男」

恵比寿で乗ってきた、英語混じりに話す男。

昨今の自動車事故には陰謀説があると話していた。

人が運転する車へのリスクを強く国民にイメージさせるためだとか。

言われてみればそうも思えなくもないが、
信じるか信じないかはあなた次第。

#タクシードライバーは見た「割り込み客の産物」

#タクシードライバーは見た「割り込み客の産物」

終電も終えた深夜、スーツ姿の男性が遠くに立っているのが見えた。
見るからに遠くに行きそうないで立ち。

これはイケる!
そう狙いを定め近づくと手を上げた。

よし、もらった。

近づき、獲物を捕らえようというところで
男性より10mほど手前で女性が路地から急に現れた。

ゲッ!!

既に女性の先に狙いは定めているが、
その女性もタクシーを止めようと手を上げる。

その奥には遠くに行くかもしれない男

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#タクシードライバーは見た「日本人と外国人のチップの違い」

#タクシードライバーは見た「日本人と外国人のチップの違い」

チップの文化がほとんどない日本、
それでもタクシーでは頂くことがある。

そんな中々やらないチップをあげる時の日本人と
当たり前のようにあげる外国人には多少違いを感じる。

日本人の場合は、4パターンある。
どこか恥ずかし気があり、曖昧な表現でチップをくれる方。
チップをあげる自分に酔う方。
お釣りを貰う時間が面倒な方。
本当にありがとうの気持ちを伝える方。

どこか恥ずかし気があり、曖昧な表現で

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#タクシードライバーは見た「渋谷の輩」完結

#タクシードライバーは見た「渋谷の輩」完結

「メーターを止めろ」と言いながら乗り続ける男、
会話がままならない状態で再び走り出した。

男「おい、これメーター止まってねぇだろ」

僕「はい、そうですね」

もうメンドクサクなってきた僕は、男の言葉を受け流し始める。

男「お前、これ止めろって言ったよな」

僕「はい、言ってましたね」

男「なんで出来ねぇんだよ」

僕「上がるようになってるんで」

男「はあ、お前舐めてんのか?」

僕「いえ

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#タクシードライバーは見た「ムカつかないけど許せないこと」

#タクシードライバーは見た「ムカつかないけど許せないこと」

タクシーでお客様をお送りしていると、
お客様はいろいろなことを後ろでしている。
匂いのするコンビニのホットスナックやパン、おにぎりなどご飯をたべることもあれば、香水を2,3プッシュして車内に充満することもある。

まあ正直、僕はその範疇は許している。
決まりは特にないので“否定する理由がない”というのが大きいが、
運転手個人個人で気になる人は気になるくらいの違いがあるだけだと思う。

そんな、基本

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一分で読めるタクシーエピソード 「#タクシードライバーは見た」三つ紹介!

一分で読めるタクシーエピソード 「#タクシードライバーは見た」三つ紹介!

5月31日より、コミックエッセイ大賞向けに書いたこのシリーズ。
現在は平日のお昼に配信しています。

ちょっとクスっとなれるお話から、読んだところでなんにもないお話まで
タクシー運転手として僕が体験したお話を簡単にまとめて投稿しています。

今回は、初期のお話を三つ紹介する記事です。

それではどうぞ!

「オナラをした某男性アイドル」私はしていない、
密室で二人であれば必然的に誰かは決まる。

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#タクシードライバーは見た「嬉しくなる笑み」

#タクシードライバーは見た「嬉しくなる笑み」

とあるビルへとお客様をお送りした。

目の前には、別のお客様をお送りしてきたタクシーが止まっている。
車種はセダン。セダンでもコンフォートという少しグレードの低い方。
さらに、会社は大手でなければ、有名でもない。

お支払い中のそのタクシーの先にはタクシーを待つお客様の列がある。

普通の流れでいえば、目の前のタクシーが先にお支払いを終え、
並んでいる列のお客様をお乗せすることになる。

そんな状

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#タクシードライバーは見た「人は見た目じゃないと言うけど」前編

#タクシードライバーは見た「人は見た目じゃないと言うけど」前編

深夜2時、繁華街からは離れ、ひと気のない場所で乗って来た。
男二人と女一人。
そのうち一人の男は腕まで見えるくらいタトゥーが入っている。

時間帯といい、乗る場所といい、見た目といい、
どうしても偏見なしに見ても良くは思えない。
時たまある警戒したくなるお客様。

タトゥーのお客様は助手席に座る。
時間も時間、場所も場所、見た目も見た目、
全てを含めたうえで助手席。
警戒心が高まるはずだが、何故か

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#タクシードライバーは見た「人は見た目じゃないと言うけど」後編

#タクシードライバーは見た「人は見た目じゃないと言うけど」後編

深夜2時、繁華街から離れたひと気のない場所、タトゥーの入った男。
警戒心を持たずにはいられない状況で
タトゥーの男は助手席に乗って来た。
警戒心は拭えたが、あれこれ道中のお店でのエピソードを語る中に
一つ気になるものがあった。

「裁判沙汰を起こしたお店」という思い出。
話を聞いていると、
助手席のタトゥーの男が酔っぱらって揉め事のなかで殴ってしまい、
慰謝料を請求されるハメになったそう。

その

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#タクシードライバーは見た「口に出すのが照れちゃう目的地」

#タクシードライバーは見た「口に出すのが照れちゃう目的地」

50代前半ほどの男性をお乗せした。
スマホを操作しながら、乗ってくると
目的地をいう時に「ぶふっ」と吹き出すように笑った。

スマホの画面のメールか何かが面白かったのだろう。
そう思いながら目的地を聞くと、再び笑いながら
「なんでしたっけ?あそこ、、」
「はい」
「えっとー、神谷町のちょっとさきの」
「芝公園ですか?」
「いや」
「赤羽橋ですかね?」
「いや」
「虎ノ門でしょうか?」
「違います」

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#タクシードライバーは見た「おともだちになる瞬間」

#タクシードライバーは見た「おともだちになる瞬間」

終電亡くなった深夜、繁華街でお客様をお乗せする。
年齢は50代ほどのスーツ姿のほろ酔いの男性。
お仕事のあとの会食か何かだったんだろう。
疲れ切った様子で行き先を告げると、
「近くまで行ったら起こしてくれ、それまで寝てるから」
と眠りに入った。

行き先を言って、眠ってくれると一番楽にお送りすることができる。
遠回りをする気があるのではなく、絡まれたり、余計な邪魔をされるくらいなら眠ってもらった方

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#タクシードライバーは見た「外国人観光客の横断」

#タクシードライバーは見た「外国人観光客の横断」

車を運転している人なら分かってくれると思うが、
道路を横断している人に悩まされることは多い。

横断歩道が赤信号でも、平気で渡って行く。
気付かないのではなく、あえて邪魔をするかのように、
引いてみろよと言わんばかりに、
赤信号を渡る自分はヒーローだ!
と寄った様子で、渡って行く。

それをするのは日本人。

何の意思表示?と思う。

そんな印象を持つなか、この間目の前を渡って行った外国人観光客は

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#タクシードライバーは見た「高齢者の交通事故に毒を吐くおじちゃんの話」

#タクシードライバーは見た「高齢者の交通事故に毒を吐くおじちゃんの話」

新宿でお酒を飲み終わったおじちゃんが乗って来た。
目的地を言うにも、詳しく、
そして意識ははっきりしている。

とはいいつつ、酔っぱらってもいる。

そんなおじちゃんが、車の運転の話をし始めた。

お「もう東京で50年以上は運転しているんだよ
だから、道はほとんどわかるね」

運「あ~そうですか」

お「昔は本当にふざけた運転をしたものだったよ、いい加減過ぎたね」

運「そうだったんですね」

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