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芽生える「グリーンフライデー」

column vol.1157

あっという間に2023年も最後の月になってしまいました…(汗)

そして気がつけば金曜日

一週間が終わろうとしています…

金曜日といえば、先週は「ブラックフライデー」がありましたね。

ブラックフライデーは、感謝祭(サンクスギビングデー)の翌日にあたる11月第4金曜日(前後)に行われるアメリカ発祥のセール商戦

同国の小売業界では年間を通して最も売り上げが大きく、業績が「黒字」になることからこの名前がついたと言われています。

日本では、アメリカ発の玩具店「トイザらス」2014年にブラックフライデーセールを実施したのが始まりとされており、年々認知度が高まっています

TOPPANグループのONE COMPATHが、運営する電子チラシサービス「Shufoo!」の利用者を対象に実施した意識調査によると、認知率2017年30.9%だったのに対し、2019年以降は75%前後で推移。

2023年の調査でも75.8%でした。

〈朝日新聞 / 2023年11月24日〉

一方、「グリーンフライデー」という言葉をご存知でしょうか?


「古着のファッションショー」が話題に

…恐らく、ご存知ない方の方が多いのではないでしょうか…?

現状今年の調査では、グリーンフライデーの認知率は11.4%

前年より2.4ポイント上がったものの、ブラックフライデーとは大きな差がついています。

しかし、あるニュースをきっかけに知るようになった方も多いのではないかとも予想しています。

それが、フリマアプリを運営する「メルカリ」が11月24日に行った「古着のファッションショー」です。

「新作ゼロのサステナブルファッションショー」という名前でを東京の渋谷で開催されました。

内容はその名の通り、「リユースアイテム」をお披露目するイベント。

そこには、アウトドアブランド「THE NORTH FACE」を展開し、2022年にリセール事業「GREEN BATON」にも乗り出したゴールドウイン

そして、古着店「RAGTAG」を手掛けるティンパンアレイ

さらに、古着店「CIRCULABLE SUPPLY」を運営するベイクルーズ3社も加わり、実施されたのです。

イベントの主旨は「少し長くアイテムを使って欲しい」循環型社会の啓蒙

実際、メルカリを通じて着なくなった衣類を取引することによって、1着あたり約9.3kgの温室効果ガス排出を避けられ、平均の使用年数は3.2年延びるそうです。

そうなのです、グリーンフライデーとは大規模な安売りが過剰消費の原因となるブラックフライデーに対し、持続可能な消費モデルを推進する活動。

フランスの電化製品リサイクル企業envieの呼びかけをきっかけに2017年頃から本格化し、近年ヨーロッパを中心に広がってきているのです。

世界各国で見られる「緑の波」

例えば、アウトドアブランドの「パタゴニア」2011年のブラックフライデーに合わせて、ニューヨーク・タイムズに自社のジャケットともに「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」というメッセージ広告を掲載。

2016年ブラックフライデー全世界の売り上げ合計1000万ドル(約11億円)を環境保護団体へ寄付したことが話題になりました。

〈IDEAS FOR GOOD / Webサイト〉

「IKEA」2020年からブラックフライデーに代わり、グリーンフライデーアクションとして自社家具買取サービスのキャンペーンを実施。

同年は15万5000点以上の自社家具を買い取り、修復後にアウトレット販売を行いました。

そして、日本でいうと上述のメリカリ2020年から古着のファッションショーを開始。

2021年には、ユーズドアイテムの購入を通じて持続可能な消費の体験ができる「サステなストア」を期間限定でオープン。

売上は、全額「メルカリ寄付」に登録されている慈善団体などに寄付されています。

ちなみに、メルカリが運営するリコマース総合研究所の今年の調査では、「リユース品で買って好きになったブランド・メーカーの新品を買った」と回答した人は9.4%

〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2023年11月24日〉

2022年と比較して2.0ポイント増えています

また、リユース品を通じて「これまで知らなかったブランド・メーカーを知った」人も20.3%で、前年比で4.0ポイント増加。

つまり、一見するとリセールと、新作を売るアパレルメーカー競合しそうですが、リセールが存在することでのメリットもある。

そうしたことが、メルカリと(古着のブランドがあるとはいえ)アパレル3社がショーで組んだ素地をつくっているのでしょうね。

ますます問われる企業のスタンス

最後にもう1つ事例を紹介して締め括りたいと思います。

廃棄されてしまう食品をメーカーから引き取り、会員に割安で販売するショッピングサイト「Kuradashi」を展開するクラダシも、11月22日から同社初となるグリーンフライデーのキャンペーンを開始。

実はこの2年「ブラックフライデー」としてクーポン配布などのキャンペーンを実施してきたのですが、今回は

よりクラダシらしい、「ソーシャルグッドマーケット」としてのお買い物体験をお客様に提供できる、サステナブルなキャンペーンにしたい

として、グリーンフライデーに切り替えたそうです。

割り引きクーポンの配布に加えて、対象商品の購入1点につき20円緑化環境保護に取り組む団体への寄付にあてるとのこと。

このようにグリーンフライデーの波は少しずつ広がっているのです。

私は小売業が専門のマーケターなので、さまざまな商業施設の方とお話ししますが、ブラックフライデーにのみならず、セールには慎重な姿勢を持っていらっしゃる企業は多いと感じます。

もちろん、セールを通してお客さんの懐に優しいブラックフライデーを実施することも1つの選択肢だと思います。

要はどのような哲学を持ち、スタンスを決めていくのか。

多様化する時代の中で、選ぶ覚悟が必要となるでしょう。

来年以降の展開にも、ぜひ注目していきたいと思います!

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。


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