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「脱SNS」という企業の選択

vol.41

企業倫理が高まる中、小さいけど、ある1つの傾向を感じます。

それは「脱SNS」です。

2021年、ハイブランドの「ボッテガ・ヴェネタ」SNSアカウントを閉鎖したことは、世界に衝撃を与えました。

そして今月、同じく2021年に一部SNSの利用を停止したイギリス発のナチュラルコスメブランド「LUSH」について記事があったので、共有させていただきます。

〈HUFFPOST / 2023年10月13日〉

同ブランドは「若者のメンタルヘルスへの悪影響」を危惧し、2年前、FacebookInstagramTikTokSnapchatWhatsAppの5つのプラットフォームのアカウントの停止しました。

SNSは今や、顧客エンゲージメントを高めるために欠かせないツールとなっています。

一方で、世の中的には「SNS疲れ」「フェイクニュース」など、負の面も課題になっている…

また、企業アカウントについても、関心注目の度合いが経済的価値を持つという「アテンション・エコノミー」に対して厳しい目を向けている生活者も増えています。

そうした人たちからすると、SNSはまさに「アテンション・エコノミーの発信地」

運営を続けるにしても発信側のリテラシー向上が求められています。

そうした時代背景に強い反応を示す企業があり、LUSHもその1つなのですが、一方で「このSNS全盛時代で果たしてどうなるのか…?」と関心を集めていました。

ハフポストの記事は、その成否を伝える内容なのですが、実際のところはSNSをやめても新規顧客は増えているそうです。

もちろん、ただやめただけではなく、新しい戦略を導入しています。

それが、「コラボ戦略」です。

2022年9月を皮切りに、アニメやゲームのキャラクターなど、この1年で8つのコラボを展開しています。

最初のコラボは人気アニメ『ONE PIECE』

日本では公式オンラインストアの71%が新規客となり、発売から4時間で完売しています。

また、発売した月の来店客数は昨対比で+19.9%に上ったとのこと。

そして、映画『ザ・スーパーマリオブラザー ズ・ムービー』とのコラボでは、発売した月の全店舗の来店客数は昨対比+34.7%と圧倒的な人気が見受けられ、メディアでも広く取り上げられました。

こうした結果、各コラボレーションで全世界で平均30%の新規顧客を獲得

また、この1年で日本国内の来店客数は昨対比+11.1%となり、着実に新規顧客を獲得しているのです。

恐らく、このような脱SNSの成功事例が世の中に広まると、時流の流れは少しずつ変化していくように思います。

SNS活用のストリームは揺るぎないにしても、脱SNSのポジションをとる企業も多少なりとも増えてくると思いますし、何より投稿(運営)の中身は変わっていくことになるでしょう。

近年、企業は経済的利益社会的利益の両輪を求められ、より倫理意識を高めていますが、SNS運営もアテンションエコノミーを削ぎ落とした方向になっていく。

より、企業側と顧客側の垣根をシームレスにする「ファン化」ツールとしての側面が強くなるイメージです。

現状は、SNSでセールスをする(売上に直結しようとする)アカウントが多いですが、こうしたものは少しずつですが減っていくでしょうね…

例えば、アパレルブランドならスタイルのヒントを提案する。

食品メーカーなら毎日の健康を高めるヒントを発信する。

いかに、生活の質を高める有益なコミュニケーションメディアに移っていくのか?

もちろん、すでにそうした考えの企業も多く存在しています。

…もしも、セールス色の強いアカウントを運営をしている企業は、売上を上げるツールから「ファン心理を高めるツール」という意識をより強くしていき、改めてKPIの設計を見直していくと良いかもしれません…

「グリーンウォッシュ」と同じで…、表向き有益な情報発信をしていても、…内部で下心が溢れたKPIを設計していると、結局投稿に滲み出てしまう…(汗)

そんな時流の潮目をより強く感じる今日この頃です。

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