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Z世代の2023 -トレンド総括-

column vol.1166

今年もZ世代のトレンドやマインドをご紹介してきましたが、その集大成となるのが日経クロストレンド【「ひき肉ポーズ」「BeReal」…23年Z世代トレンドに見るインサイト】という記事でしょう。

〈日経クロストレンド / 2023年11月20日〉

こちらは、「SHIBUYA109 lab.トレンド大賞」をもとに2023年を総括。

「SNSコンテンツ部門」「コスメ・スキンケア部門」「ファッション部門」「カフェ・グルメ部門」「体験部門」「ヒト部門」「アーティスト部門」「コンテンツ部門」

8つのカテゴリーに分類されてまとめられているので、若者文化を今まで以上に深く知ることができます。

そんな中、私個人としては2つのZ世代マインドに注目いたしました。


「サプライズ」はいらない若者たち

まず最初のマインドは「体験慣れ」です。

今の世は魅力的なコンテンツが無限に溢れており、とてもじゃないですが消費し切れません

そして、好きなものも人それぞれで細分化している。

私の子どもの頃はドリフひょうきん族を観てれば、友達との会話に困りませんでしたが、今はコミュニティごとに観る(体験)べきコンテンツが異なります

仮にメガトレンドが誕生したとしても、それが自分にとっての一番ではないことの方が多く「流行っているから観ておくか〜」程度で捉えている可能性が高いのです。

そうなると重要になるのが「タイパ」です。

膨大な数の「体験したいものリスト」の中から優先順位をつけなくてはなりません。

よく最近の若者は「失敗したくない願望」が強いと言われていますが、このコンテンツ過多が影響している部分もあるかと思います。

候補はたくさんある。
後は優先順位を間違いたくない。

そして、さらに言えば推し活など「好きなものには、ちゃんと時間をかけたい」と思うからこそ、単に流行っているだけのドラマは倍速視聴になるわけです。

野村総合研究所 コンサルティング事業本部 マーケティングサイエンスコンサルティング部 シニアコンサルタントの林裕之さんは、若者は「新しさ(トレンド)」よりも「好き(推し活など)」を優先していると指摘しておりますが

〈東洋経済オンライン / 2023年11月30日〉

「体験慣れ(コンテンツ過多)」というのは、まさにそれを象徴するキーワードでしょう。

友達付き合いは「より狭く深く」

それからもう1つ取り上げたいのが、若者の友達付き合いです。

この10年、SNSの隆盛により人付き合いはそれまででは考えられないほど広くなりました

一方、そこで生まれているのが「SNS疲れ」

若者同士の交友関係を観察すると見えてくるのが、「深さ」重視のマインドです。

今年、Z世代の間で特定の仲間とだけ楽しむクローズド型SNS「BeReal」が流行りましたが、これはまさにその象徴だと思います。

友達関係はインスタでフォローし合うなど、軽いつながりから始まり、仲良くなったらLINEを交換する。

そして、自分たちの仲の深さを確かめ合うためにクローズドSNSを活用していく。

昔は「友達100人できるかな〜♪」という歌が象徴するように「たくさんの友達がいる」ことで承認欲求が満たされていた節がありましたが

今は、その価値が「どれだけ深い仲間がいるか」に移っていると感じます。

ウチの姪2人インスタでは「見る専(自分からは投稿しないで見るだけ)」ですが、BeRealはプレイヤーとして投稿を楽しんでいる

新しい時代の息吹を間近で感じています(笑)

ちなみに、SNSのトレンドということでいえば、検索ツールとして最も活用されているのがTikTokとのこと。

「ショート動画でまずは概要をつかむ」という流れがあるそうです。

また、友達の数招待方法制限のあるSNS「Bondee」「TapNow」という若者から支持されているプラットフォームにも注目したいところ。

SNSは同じプラットフォームであっても活用の仕方の変化を見ていくと、そこから若者心理が読み解けることでしょう😊

「物語性」と「没入感」に2024年も注目

先程、私が挙げた「体験慣れ(コンテンツ過多)」「狭く深い交友関係」というのは今年のみならず、今後も中長期的に続くトレンドになっていくでしょう。

ちなみに、SHIBUYA109 lab.では体験のキーワードに「物語性」「没入感」を挙げていますが、まさに私が本日ご紹介した2つの若者マインド通ずるところがあります。

特別な仲間と特別な体験をすることで一層仲を深められる。

そんな想いが叶うからです。

物語性と没入感を兼ね備えた好事例として同ラボが挙げているのが「友だちがやってるカフェ/バー」

店員がまるで友達のように「タメ口」で接するという演劇型カフェとして話題になりました。

それは2024年にも引き継がれていきそうです。

Z総研でも今月、「Z総研2023年下半期トレンドランキング」「ネクストトレンド予想」を同時に発表。

物語性や没入感を感じさせるコンテンツが多くあります。

〈AdverTimes / 2023年12月11日〉

見ていただきたいのは「ネクストトレンド予想」の方です。

AdverTimes

例えば、「日本一態度の悪いレストラン(the LAZY HOUSE)」はまさにその典型です。

同レストランは愛知県名古屋市にあるのですが、昼間は普通のレストランとして営業。

しかし、夜の営業時間になると、店員の接客態度がひょう変します。

お客さんに「早く帰れ」と暴言を吐いたり、お皿を乱暴に置いたりするなど、思わずクレームをつけたくなる接客となるのです。

しかし、このひどい接客が新鮮だとSNSで話題になり、人気となっています。

もちろん、態度の悪さはエンタメです。

お店の入口に

当店は、日本一接客態度が悪いレストランとなっております。こちらの扉をまたいでいただきますと、通常通りの(態度が悪い)接客となっております。

コンセプトを説明した上でお客さんを店内にご案内していますので、ご安心を😊

「流行らせない」戦略も重要

一方、「演技型のレストラン・カフェも一過性で終わってしまうのではないだろうか?」と思う方も多いのではないでしょうか?

実は私もそう思います。

コト、モノはすぐに消費されて(飽きられて)しまう。

ただ、人々のマインド(望むもの)はそんなに変わらない部分もある。

だからこそ、今回は「マインド」にフォーカスしてみました。

ということで、「普遍的に変わらない人間の心理」と、「時代に合わせて変容する心理」をまずは読み解いていく。

その上で高速でトレンドが変わるモノ・コトを捉えていくと良いのではないかと考えています。

ですから、自社の商品やサービスを単に流行らせれば良いというわけでもないと思います。

流行ればすぐに消費される。

大ブレイクして尚、ロングセラーにしていくためには「時代を超えた普遍性」を理解した上で流行らさないと痛い目に遭ってしまうでしょう…

場合によっては流行らせないことも戦略の1つです。

少なくとも生活者のインサイトを読み解かないまま流行りの上澄だけを救うのは非常に危険なこと…

トレンド(事象)と人の心を行き来する。

特に若者ターゲットの場合は、そんなところがキーポイントとなると改めて思う今日この頃です😊

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