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「幸せ」の正体

column vol.1124

昨日は【「多様」性を、「多才」と捉える】と題して、障がいを持つ方々の活躍とその環境づくりについてお話しさせていただきました。

他にも障がいのある方々から学ぶことはあり、特にある1つの記事から

これは「幸せの正体」なのではないか?

と感じることもありました。

それは、東洋経済オンライン【「社員の7割が障がい者」チョーク会社の誕生経緯】という記事です。

〈東洋経済オンライン / 2023年8月18日〉

こちらは、チョーク製造販売会社「日本理化学工業」にまつわる物語。

日本テレビ「24時間テレビ46」「虹色のチョーク 知的障がい者と歩んだ町工場のキセキ」でドラマ化されたこともあり、ご存知の方も多いかもしれません。

従業員約50人のうち、およそ7割知的障がい者という同社。

この物語の始まりは、1959年のある日のことでした。

近くにある養護学校(現:特別支援学校)の先生から、障がいのある2人の少女を、採用して欲しいという願いがあったのです。

しかし、社長である大山泰弘さん(当時は専務)は

その子たちを雇うのであれば、その一生を幸せにしてあげないといけない

と考え、当時はその自信が持てなかったことから、悩みに悩んだ結果、断ることに。

しかし、諦めない先生は再度交渉し、3度目のお願いの際、このように提案します。

就職が無理なら、せめてあの子たちに働く体験だけでもさせてくれませんか?そうでないとこの子たちは、働く喜び、働く幸せを知らないまま施設で死ぬまで暮らすことになってしまいます。

この言葉に覚悟のスイッチが入った大山さんは、2人の少女に1週間の就業体験をさせてあげることにしたのです。


幸せな顔で働く2人の少女

それから一週間、会社は午前8時から午後5時までなのですが、2人の少女は雨の降る日も風の強い日も、毎日朝の7時には玄関に来ていたそうです。

あと一日で就業体験も無事終わる

肩の荷が降りかけた前日の夜、大山さんは「お話があります」十数人の社員全員に囲まれたそうです。

何だ?何だ??

と思ったその瞬間、社員の一人からこんな提案を受けます。

どうか、大山さん、来年の4月1日から、あの子たちを正規の社員として採用してあげてください。あの2人の少女を、これっきりにするのではなくて、正社員として採用してください。もし、あの子たちにできないことがあるなら、私たちがみんなでカバーします

それは提案した社員だけではなく、工場で働く社員皆の総意とのこと。

みんなの心を動かすほど、少女たちは朝から終業時間まで、ラベル貼りの仕事に没頭していたそうです。

10時の休み時間、お昼休み、3時の休み時間でも手を休めようとはせず、「もう、お昼休みだよ」「もう今日は終わりだよ」と言われるまで一心不乱に、心の底から幸せそうな顔をして、一生懸命働いていたそうです。

そうして、2人の少女は社員みんなのバックアップを受けながら、正社員として活躍することになったのです。

幸せの正体とは?

大山さんは、みんなの熱き想いに応えるために2人を正社員にしたものの、1つだけ分からないことがありました。

会社で毎日働くよりも施設でゆっくりのんびり暮らしたほうが幸せなのではないだろうか…?

そんな疑問を抱えながら日々を過ごしていたある日、ある法事の席で一緒になった禅寺のお坊さんにそのことについて尋ねてみたそうです。

するとお坊さんの反応は、以下の通りでした。

えっ、当たり前じゃん!!

…こんなカジュアルな言い方ではないにしろ…、お坊さんは「幸せ」とは次の4つを得ることだと教えてくれたのです。

①人に愛されること
②人にほめられること
③人の役に立つこと
④人に必要とされること

この4つ幸せは、仕事の中に詰まっているというわけです。

私も最近、仕事とはお金以上にこの4つの幸せを得ることなのかもしれないと感じています。

仕事という字は「(誰かに)仕える事」ですが、そのことを自分の喜びに変える事、つまり私事しごとにすることで働きがいになる

養護学校の先生も就業体験をお願いする際、大山さんに「私たち健常者よりは、平均的に遥かに寿命が短いんです」と仰っていたそうなのですが、もしかしたらこの4つの幸福との相関があるのかもしれませんね。

お金には幸福のピークがある

最近よくお金生きがいの二項対立的な論調も見られますが、私はもちろんお金も幸福をもたらすと思っています。

しかし、もう少し踏み込んでいくと、お金は幸福感というよりは「安心感」という捉え方をしています。

マズローの提唱した「6段階欲求説」でいうと

欲求の下位段階にある「物質的欲求」に当てはめられるのではないでしょうか。

つまり、「幸福の土台」という位置づけです。

ちなみに有名な話でいえば、年収における幸福のピーク「800万円」と言われています。

これは、心理学者・行動経済学者のダニエル・カーネマンさんが、調査会社ギャラップと共同で行ったアメリカ人を対象にした調査の結果が「7万5000ドル」で、その時のドル円の為替レートで換算すると800万円だったからです。

他にも年収における幸福のピークに関する実験結果はありますが、私が知る限りは800万円以下の金額が多い

ピークを超えると、次に生じるのは「失うことへの恐怖」です。

人間は何かを「得る期待感」よりも「失うことへの恐怖」の方が強いと言われています。

つまり、お金持ちとは「失う恐怖(心配)」という不幸を1つ背負うわけです…(汗)

「お金持ちで幸せな人」の特徴とは

ですから、よく「お金持ちで幸せな人」とは、逆説的に「お金の固執しない人」であると言われています。

「世のため、人のために何かをしたい」「自分の夢の実現のために頑張りたい」など、お金じゃない何かに向かうことができており、その結果としてお金がついてくる状態が一番望ましいというわけです。

…私はお金持ちになったことがないので分かりませんが(笑)、6億円の宝くじが当たった普通の会社員、ぽんぽんさんのインタビュー記事が参考になるので、共有させていただきます。

〈文春オンライン / 2022年11月19日〉

ぽんぽんさんは、年収400万円を稼ぐサラリーマンでしたが、スポーツくじ「BIG」で最高額6億円を引き当てて突如「億万長者」に。

6億円という大金を手にして込み上げてきたのは、喜びや幸福というよりも「このお金を失いたくない」という焦り危機感だったそうです。

結果、資産運用のことを勉強し、当選から10年ほど経った今では6億5000万円ほどに。

さらに会社も辞めていないそうです。

それは

健康な中年男が無職で良い生活を続けているって、かなり不審じゃないですか。親にも「身分証代わりだと思って勤めておけ」と言われた

こと理由だそうです。

さらに、「無謀なプロジェクトに挑戦するとか社長に啖呵を切るとか、働き方が変わったりしませんでしたか?」という質問には

もともと人の評価を気にするタイプなんで、「デキないヤツ」と思われるのは嫌なので手を抜いたりとかはないですね

と回答。

結果、億万長者になる前と変わらず、倹約しながら謙虚な生き方を貫いているそうです。

「仕事」とは「私事」に変える永遠の旅

目に見えるお金とは違って、4つの幸福の源である人間(他者)の心は不明瞭で移ろいやすいということもあるのかもしれませんね。

ちなみに、動物園の動物は自分の子どもを育てないことが多いそうです。

これは、オリの中でエサを与えられていると、子どもを育てるという本能を見失ってしまうことが原因とのこと。

つまり、子どもを大切に育てるという幸福を失っている状態とも言えます。

そんな話を耳にしていると、やはり改めて仕事に向き合う気持ちが芽生えてきます。

仕事は、上手くいかないことや、傷つくことや、悲しいこともある一方、時に上手くいかないことや、傷つくことや、悲しいこともある。

(…あれ…??)

いやいや、まぁまぁ、良くてもソツなく一日が過ぎるぐらいで

①人に愛される
②人にほめられる
③人の役に立っている
④人に必要とされている

そんな実感なんて、ほぼほぼありません…(悲)

ただ、人間関係「最難関のアドベンチャーの旅」と捉えると、まぁ…試練ばかりでもしょうがないかな…?と思えてきます。

いや、思うようにします…!

ということで

仕事を「私事」に

仕事に就いていることを「恵まれていること」と捉え、人生の旅を少しでも楽しめたらと思っています🫡

本日、ちょっと長くなりましたね…(汗)

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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