思わず唸った「飲食店」の一手
column vol.1142
劇作家の寺山修司さんの評論集のタイトルですが、マーケターとして街に出向くと様々な新しい発見があります。
その気づきの拠点が小売店にはある。
生活者と企業(ビジネス)が直接交流する、この場には、多彩なアイデアが見られます。
そこで本日は、飲食店にスポットライトを当てて、思わず唸ってしまったユニークな一手をご紹介したいと思います。
ぜひ、最後までお付き合いくださいませ😊
ファンを巻き込む出店戦略
まず、最初は生活者との接点が多いファーストフード店の興味深いアイデアです。
「バーガーキングを増やそう」キャンペーンという企画をご存知でしょうか?
〈ITmediaビジネスオンライン / 2024年2月13日〉
こちらは、お客さんからバーガーキングの店舗にふさわしい物件を集めるというもの。
もし、実際に採用されると何と!
10万円が贈呈されます…(驚)
しかも、採用されなくてもクーポンがもらえるとのこと。
2月5日午後1時に、同社のWebサイトで受け付けたところ、6日午前11時現在で2万件を超える応募があったとのこと。
非常に盛り上がっております〜
この企画には素晴らしい点が2つあります。
1つは、マーケティング調査ができること。
寄せられた情報から、例えば「富山県〇〇市に出店にして」という声が多いと分かれば、そのエリアに潜在的なファンがたくさんいる、といった仮説を立てられます。
もちろん、どこの会社も出店する際は、商圏にどのくらいの人が住んでいるのかなど、根掘り葉掘り調べるでしょう。
一方、潜在的なファンがどのくらいいるのかは、データだけでは分からないところがあります。
こうしたキャンペーンを実施し、情報が増えれば増えるほど、リスクの少ないエリアをあぶり出せるわけなのです。
こうした声をリサーチとして使うことで、もう1つの素晴らしい点である出店コストの削減にもつながる。
まさに一石二鳥の企画なのです。
ちなみにキャンペーンは3月25日まで行っていますので、気になる方はぜひこちらをご覧くださいませ。
〈バーガーキング / Webサイト〉
行列ができてもすぐに入れるラーメン店
「一石二鳥」といえば、お店側も、お客さん側もウィンウィンになるための新たな挑戦も見られています。
と聞くと、何を想像するでしょうか?
長〜い行列が頭に浮かぶのではないでしょうか。
と悩む方もいらっしゃるでしょう。
そんな中、東京の青梅市にあるラーメン店「Ramen Feel」では「待ち時間0分」の新サービスを開始したのです。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2024年2月11日〉
こちらのお店では、飲食店の予約サイトなどを手掛ける「テーブルチェック」が2月9日から本格的にスタートさせた「TableCheck FastPas(テーブルチェック ファストパス)」を利用。
同サービスでは、事前にお金を払って人気店の席を並ばず利用できることを狙いにしています。
Ramen Feelでは、手数料を1人390円に設定。
導入後、外国人観光客が増えているようで
といったニーズに上手くハマっているようです。
ちなみに、「TableCheck FastPas」の導入店は2024年2月11日時点で6店舗。
TableCheckは「年内には300店舗に広げたい」と意気込みを見せているようです。
こうした人気店の予約有料化サービスが一般的になれば、手数料を払っている分、ドタキャンが減るかもしれません。
また、少し飛躍して考えれば、今後の新たな有料予約サービスのカタチも見えてきます。
例えば、地元の人気店がマスコミに取り上げられて、話題になったことで「常連さん離れ」が起きることが多々ありますが
リピート率の高いお客さんには特典コード(クーポン)を付与して、無料で予約できるなど、長く愛していただけるお客さんをつなぎとめる一手につながるかもしれません。
TableCheckの「FastPas」には、そんな新たな可能性を感じることができました😊
「特別な体験」をマス化する新発想
最後は、2023年を象徴したあるカフェの話題を取り上げて締め括りたいと思います。
昨年メディアに引っ張りだこだったお店の1つが、「友達がやってるカフェ/バー」でしょう。
友達のバイト先に遊びに行っているような感覚で楽しめるお店で、エンタメ業界で働くアドリブ力が豊かな店員が友達のようにタメ口で接客してくれるというお店。
初めて行っても、店員さんから「久しぶり〜〜!元気だった〜?」と言ってもらえます(笑)
そんな友達カフェが新たな一手としてサントリーと組み、先週13日に
を、ファミリーマートとドン・キホーテで先行販売。
お店の世界観を家でも味わえる、そんな新しい楽しみ方を提案しております。
〈グルメWatch / 2024年2月9日〉
どのようにしてお店の世界観を楽しめるのか?
まず1つは、缶のデザインです。
ジントニックには
と書かれており、サングリアには
と表記されています。
さらに、缶の側面には二次元コードが用意されており、これをスマートフォンで読み取ると、友達がやってるバーの世界観を表現したWebサイトにつながるのです。
今まで人気店の味をメーカーがマス展開する事例は多々ありましたが、お店の世界観をマス化するというのは新鮮ですね〜
「niko and ...」など人気ファッションブランドを手掛けるアダストリアが、IPライセンス事業を展開したことが話題になりましたが、これも飲食店の新しいIPビジネスのカタチなのでしょう。
業界問わず、改めて「世界観」をビジネスとするというのは、非常に注目点になりそうですね😊
〜ということで、本日は最近の事例の中から、思わず唸ったアイデアをお届けさせていただきました。
読んでくださった方の何かヒントになることを願っております。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
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