“大抜擢”への心構え
column vol.1228
最近、仕事で大抜擢される人には共通の特徴があると感じます。
それは果たしてどんな能力なのか?
まず、前提として一般的なスキルやノウハウなどではない思っています。
平たく言うと「優秀か否か」ではない。
もちろん、大抜擢される人は優秀ではあるけれど、それは結果に過ぎないということです。
では、一体それは何なのか?
今日はそんな話をしたいと思います😊
ポジティブ脳を育てる
結論から話すと「自分を褒める(励ます)」能力が高いということです。
「大抜擢」といえば、今や時の人になっている諸沢莉乃さんにも、この能力の高さを感じます。
諸沢さんといえば、大手カレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」のフランチャイズを展開する会社「スカイスクレイパー」の新社長に若干22歳で選ばれた方。
しかも、社長になる前はアルバイトだったという異例中の異例の昇進です。
という声をよく聞きますが、「…実際のところはどうだろう…?」と考えてしまいます。
自分だったら
という2文字しか浮かびません…
プレッシャーに押し潰れそうな日々を送ってしまうでしょう…(汗)
そんな中、諸沢さんは明るい笑顔で様々なメディアのインタビューに答えている。
私だったら「成功するまでそっとしておいて〜」と思ってしまいます…😅
そういうこともあり、諸沢さんから圧倒的な「ポジティブ脳」を感じているのです。
そして、そのルーツはお母さんの教育にあることが分かりました。
〈FNNプライムオンライン / 2024年6月17日〉
勉強が得意ではなかったという諸沢さんが成績表を見せるたびに、お母さんは科目の評価には目をくれず、先生からのコメントなどを見て
といったように、成績表の中の褒めポイントを伝えていたそうです。
テストで100点満点中8点だった時も、前回6点だったことに着目し
と言ってくれたそうです。
極め付けは高校受験で第一志望に落ちた時です。
泣いて帰って玄関のドアを開けたら、お母さんが「おめでとう」って抱きしめてくれたとのこと。
と、戸惑いながら諸沢さんがそう聞くと
と再び抱きしめてくれたそうです。
肯定力こそ挑戦心の源泉
こうして諸沢さんは、どんな状況でも自分を肯定する力を育むことができたのでしょう。
これこそがチャレンジャー精神の源だと思うのです。
誰でも知っている言葉ですし、誰もが共感する言葉ですが、ほとんどの人が失敗の確率が高いと感じれば、簡単に挑戦することはできないでしょう。
それは失敗が自分の状況に与えるダメージよりも、心に与えるダメージの方が大きいからです。
私もここに書くのは恥ずかしいぐらい大きな失敗をしてきましたが、正直、だからといって別に今、幸せに生きている。
むしろ「その失敗があったからこそ」と過去を肯定していますが、恐らくほとんどの人が過去の失敗ならそう思うでしょう。
でも、未来の失敗は怖い…
それだけ失敗が与える心のダメージが大きいわけです。
だからこそ、どんな状況でも自分を褒める・励ますことができる人は強いのです。
ポジティブ脳やることに集中させる
同じく親御さんの信頼が支えとなって大抜擢の期待に応えた方がいらっしゃいます。
それは、岩手最古の日本酒蔵の事業再建を引き受けた山田貴和子さんです。
〈WebLEON / 2024年5月26日〉
創業250年越えを誇る老舗酒蔵「菊の司酒造」が経営不振から山田さんのお父さんの会社「公楽」に事業譲渡。
再建のため山田さんが菊の司の陣頭指揮をとることになったのですが、当時は27歳。
しかも、経営経験ゼロという状況でした。
それでも “超抜擢” されたのは、公楽の企業理念が
ということに関係しているでしょう。
お父さんのそうした想いが幼少期からの山田さんを育み、そして今回の期待にもつながったのだと思います。
…しかし当然…、酒蔵で働く方々からの風当たりは強いわけです…
もちろん、酒造りは素人であるので、そこは山田さんも謙虚に学ぶ。
その上で覚悟を持って公楽で学んだビジネスノウハウを浸透させていったとのこと。
その時、菊の司は酒造りは素晴らしいものがあったものの、企業として、例えば「挨拶がない」「報連相がない」など、普通の会社の当たり前がなかったそうです。
ですから、まずはその当たり前のことを1つ1つ根付かせていきました。
そして3年が経った現在、順調と呼ぶ以上の業績をあげて、今や岩手にとどまらず全国からも注目される酒蔵の1つになっています。
さらに、2022年には最新設備を揃えた新しい工場をつくり、「innocent(イノセント)」というヒット商品が誕生。
快進撃を続けているのです。
ここでの教訓は、山田さんは「自分にできることを実直に続けたこと」。
厳しい風当たりや、大きくのし掛かるプレッシャーの中でも、それができたことが凄いわけです。
それには、やはり自分を褒める・励ます力がポイントになる。
だからこその継続力なのではないでしょうか。
ポジティブ脳に人が集まるワケ
この「できることを実直に続ける」というのは、非常に私も共感します。
私もちょこちょこ高過ぎる壁に直面することがありますが、結局のところやれることを頑張るしかない。
そこでダメでも、「いい経験をさせてもらえた」と感謝して次につなげるしかないわけです。
そんな考えを後押ししてくれる方を、もう一方ご紹介させていただきます。
日本と海外に354店舗を展開するホテルチェーン、東横INN執行役員の吉田ゆかりさんです。
12年前、業界未経験にも関わらず、いきなり支配人として入社。
様々な困難を乗り越え、すすきのの大規模ホテルの稼働率を、就任当時は75%未満でしたが、9割以上にまで導いたのです。
〈sitakke / 2024年6月19日〉
吉田さんもやはり入社当時は風当たりの強さをヒシヒシと感じたとのこと…
それでも、初めての業務内容に戸惑い忙しなく働く中
などなど、8つの資格を取得します。
その上で、超多忙の中でも絶対に時間を割くと決めていたのが「人員の安定」でした。
そのため100人弱いるスタッフにとにかく向き合う。
こうした吉田さんの熱意がスタッフの気持ちを徐々に変えていったそうです。
吉田さんが過労で休養をとった時も、復帰後、周りの皆さんが
と率先して動いてくれるようになったとのこと。
そんな吉田さんも、自分を褒めることを大切にしていらっしゃいます。
さらに、人を惹きつけるヒントとして、このように仰っています。
私は魅力的な人の源泉はここにあると思っていて、弱み見せることで周りの人たちに「助けたい」という気持ちが生まれる。
支えてくれる人が多い人は、ちゃんと弱みを見せられる人だと思うのです。
冒頭の諸沢さんのテストで8点だった話も、等身大の自分を見せられる、そんなチャーミングな人となりが伝わってきたと思います。
ただ、それも自分を肯定する力があってこそ。
そうした流れが見えてきたのではないでしょうか😊
私も誰かを大抜擢するとしたら、第一優先はやはりマインドだと思っています。
マインドがあれば何とかしてくれるし、何とかならなくても次につなげてくれる。
経営者としては成果と同じぐらい大切なのは社員の成長です。
それには失敗しても肯定できることが大切となります。
大抜擢される人とは、そういう人だと思うのです😊
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