何を「約束」するのか?
column vol.1192
昨日、東洋経済オンラインの【日本企業が「大企業病」を脱するための処方箋】という記事を読んだら、胸が熱くなりました。
〈東洋経済オンライン / 2024年4月30日〉
こちらは、日立製作所の東原敏昭会長についての記事。
世のリーダーにとって、ビジネスパーソンにとって、大切なことを教えてくださっていると感じたのです。
「説明」をあえて避ける
未曾有の危機にあった同社をV字回復させた川村隆さん、中西宏明両さんの後を引き継いで指揮を取った東原さんでしたが、就任当時、大きな会社にありがちな「大企業病」を感じていたそうです。
など、様々な憂慮を感じていた東原さん。
そうした状況の中、新リーダーは「カンパニー」制に目をつけます。
(当時、9社のカンパニーに分かれていました)
カンパニー制は、責任の所在がはっきりとするメリットがあります。
一方で、それぞれが独立するため、「全体を良くしていこう」という意識が希薄になってしまう傾向もある…
メリット・デメリット双方あるものですが、東原さんは「悪い方向に出ている」と感じ、カンパニー制を廃止。
「ビジネスユニット」制に移行したのです。
つまり、全てを社長自らがマネジメントする体制にしたわけですが…
…いやいや、…これは、なかなかできないことです…
カンパニーの社長は、一国一城の主。
その権限を回収するということは、相当な恨みを買ってもおかしくはありません…(汗)
が問われそうですが…、
逆に…、東原さんは、なるべく説明を控えたそうです……(驚)
「結果」を求めることの大切さ
その時のことを、このように振り返っていらっしゃいます。
「説明よりも結果で示す」。
そして、手柄は全て部下のものとすることも忘れない😊
まさに、名経営者です。
誰もが、他人事なら「そうだね」と思うところですが、自分事になるとなかなかそうはいきません…
きっと当時、従業員の中と、「納得するまで説明して欲しい〜!」と思う方もいらっしゃったはずです。
私は従業員の立場も、経営陣の立場も経験しているので、どちらの気持ちも分かります。
ただ、今回は経営側の視点でお話ししますと、私の経験上、従業員が本当に求めているのは「徹底した説明」ではない気がするのです。
説明ではなく「確かな安心」や「確かな希望」を感じたいというのが本音でしょう。
何かを断行する際は、痛みや苦しみを伴います…
というのが、要求の本筋なのではないでしょうか?
…しかし一方…、経営者(リーダー)は神ではありません。
確約できないのだから、説明しても逆に疑心暗鬼になるというのは分かる気がします。
さらに、聞き手が怒っている(感情的になっている)わけです。
怒りは恐れ。
結果が見えてくるまでは、説明だけで聞き手の心が晴れることはないでしょう…
…と、まぁ…説明した方が良いかどうかは色々な考え方があると思いますので、一旦置いておいて…
この記事の一番の学びポイントは、「結果への覚悟」です。
「約束」と、その覚悟
カリスマタイプであっても、サーバントタイプであってもリーダーにとって最も重要な資質の1つが「覚悟」が持てることでしょう。
さらに、付け加えると、結果に向かうまでの道中で色々な感情を社員から向けられることに対して、受け入れる心の広さも必要です。
「結果」というと、…何だか苦しくなるので、「約束」という言葉に言い換えたいと思います。
これは非常に重要でしょう。
東原さんの場合は営業利益率の高い「稼げる会社」にすることでした。
それは、2008年度の決算で7873億円の当期損失を計上するという経営危機を同社は体験したからです。
当時、ドイツのグループ会社にいた東原さんは、相当思い詰めたとのこと…
だからこそ、あの時の悲しみを社員みんなに味合わせたくないわけです。
そうした想いが原動力となり、経営者としての覚悟を固められたのでしょう。
「稼げる会社」、言い換えると「安心してずっと居られる会社」。
それを社員と約束するための「改革断行」だったというわけですね。
そうした東原さんの想いに触れると、同じ経営を司る人間として身が引き締まります…
そして、この「約束」は、リーダーシップ論だけではなく、ビジネスにとっても肝要です。
例えば、お客さんにどんなベネフィットを約束するのか?
ライザップが「結果にコミットする」という約束で大ブレイクしたように。
そして、昭和の時代からあるヤクルトが「Y1000」で「快眠」を約束したことで再ブレイクしたように。
そんなことを思いながら、自らのリーダーシップとビジネスを改めて省みるきっかけとなった記事でした。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
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