「不確かさ」を安全弁として意識する
vol.44
「Wikipedia」と聞くと、皆さん、どんな印象を持ちますでしょうか?
ユーザーが書き込んでつくり上げていくものなので、概ね「さらりと大まかなことが分かるけど、正確かどうかは分からない」といった印象なのではないでしょうか?
その「Wiki」が今後、信頼性抜群のサイトに生まれ変わるかもしれません。
科学誌『Scientific American』によると、不正確な参考文献を修正して信頼性を向上させる、革新的なAIが誕生したからです。
〈TABI LABO / 2023年10月30日〉
イギリスのテック企業「Samaya AI」が開発した『SIDE』と呼ばれるそのAIシステムは、同サイトにおける信頼性の低い引用元を特定し、その代わりとなるようなより適切で信頼性の高い文献を提案してくれるそうです。
開発チームが行ったテストでは、およそ50%の確率で正確・信憑性のある文献を提案できたとのこと。
今後、AIの精度が高まってくれば、100%に近づいていくでしょう。
もちろん、この技術が進化していけば、Webサイト上にある全ての情報が「正しいもの」に変わるかもしれません。
ただ、『TABI LABO』はこんな考えも示唆しています。
確かに、よくよく考えてみれば、「正しいかどうか分からない」ということが前提になったWebサイト(メディア)というのは、なかなかないことです。
しかも、そんな不確かなサイトが検索上位に表示されるわけで…、考えれば考えるほど不思議な気がしますね…
一方で、「信頼性の高い文献」とは本当に正しいものなのでしょうか…?
私は全ての真実は、「今のところ」という注釈がつくと思っています。
発見や解釈から、真実は変わるからです。
例えば、地球は平らだと思われていましたが、丸いことに気づいたわけです。
私の個人史でも、「いい国(1192年)つくろう鎌倉幕府」は、いつの間にか「いい箱(1185年)つくろう鎌倉幕府」に変わっています。
つまり、太古の昔から真実は常に更新されている。
これって、まるで「wiki」みたいじゃないですか…?
ですから、基本的には全てのことを「今のところ、これが正しいらしいよ、知らんけど〜」くらいのスタンスで知識(情報)を受け止めておく方が良いのかもしれません。
そう考えると、「本当かどうかは分からない」ということを前提にしている「wiki」はある意味健全なサイトと言えますね😊
私たちが信じている真実は、あくまでも人間同士で交わした「合意」でしかない。
どんなにテクノロジーが進化しても「不確かさ」を前提に持つことが、「真実への妄信」への安全弁になるのだと感じました。
少なくとも「wiki」は「wiki」のままで良い。
そんなことを思った本日の事例記事でした😊
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