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本とのつきあい

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本に埋もれて生きています。2900冊くらいは書評という形で記録に残しているので、ちびちびとご覧になれるように配備していきます。でもあまりに鮮度のなくなったものはご勘弁。
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2021年11月の記事一覧

『詩編をよむために』(日本聖書協会)

『詩編をよむために』(日本聖書協会)

タイトルには実は「聖書協会共同訳」という文字が目立つように掲げられている。新しい聖書は、2018年に発行されたが、必ずしも販売が芳しくない。そのための販売促進の道のひとつでもあるだろうが、これまで、新しい翻訳はこんなところに工夫をしている、といったタイプのものが非常に多かったのに対して、2021年の秋となり、今回はソフトに立ち回ったような印象を与える。
 
いささか意地悪いところから入ったが、私は

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『新型コロナと向き合う』(横倉義武・岩波新書)

『新型コロナと向き合う』(横倉義武・岩波新書)

2020年半ばまで日本医師会の会長をしていた人が、2020年からのコロナ禍における医療活動の実情を明らかにした新書である。発行は2021年10月。ニュースの表には現れてこない政府と医師会との関係ややりとりも随所で描かれており、貴重な記録となっていると見受けられる。
 
そして特に「かかりつけ医」という立場から、最後は今後の医療との関わりとして、「かかりつけ医」の重要さを力説するものとなっている。

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著書が出版されたからには

著書が出版されたからには

ある著名な学者に望外の親切を戴いている。あるいは迷惑をかけている、と言った方が適切かもしれない。その著書や論文も、読むようにと回してくださることがある。そして、どうか「批判」をしてほしいと仰る。畏れ多いことだ。だが私にはその「批判」の意味はよく分かる。その方もちゃんと事あるごとにその意味を説明しているし、カントを少しでも知る者にとり「批判」の意味が分からないはずがない。
 
それは「非難」などでは

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『現代思想2020年11月号 特集・ワクチンを考える』(青土社)

『現代思想2020年11月号 特集・ワクチンを考える』(青土社)

様々な論者が力のこもった文章を載せてくれる「現代思想」、テーマに関心が強ければ時々買うことにしている。新型コロナウイルスの感染拡大の年の秋に編まれたそのテーマは、ズバリ「ワクチン」。その後、ワクチンが供給され始めた頃に私がこれを読みたいと思い、手配した。が、実はこの編集がなされたときには、ワクチンが本当に接種されるのかどうか、未定だったのだ。それは常識的にはそうである。あまりにも治験期間が短すぎる

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