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哲学のかけら

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哲学も少しはかじっています。なにもそんなこと考えなくてもいいんじゃない、と言われるところも、でもさ、と考えてみる、それが哲学。独断と懐疑に終わらずに常に自分の至らなさを認めるあた…
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#信仰

『精神現象学』(100分de名著)に学ぶ

『精神現象学』(100分de名著)に学ぶ

NHKEテレの「100分de名著」も、ずいぶん長く続いている。始まるときのこともよく覚えている。よい番組だ。よくつくりこんでいる。先月には、新約聖書の福音書が、若松英輔さんのよいリードで紹介された。聖書を、読んでみようという気持ちにさせる番組となった。制作者自身がそういう心になったし、世間の評判もよいようだ。これは特筆すべき現象である。
 
これをどうしてキリスト教界がもっとバックアップしようとし

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聖書の語の捉え方についての一案

聖書の語の捉え方についての一案

聖書の中で、「信仰」や「信頼」などと訳されている「ピスティス」が、最新の聖書では「真実」とも訳されて、議論を呼んでいる。
 
どだい言語が違えば、指している概念も異なる。『ことばと文化』(鈴木孝夫)が、「lip」という英語が「唇」ではなく、lipからは毛が生えるのだ、と説いたのは非常に説得力があり、印象的だった。その概念が包摂しているものが、ぴったり重なるということは、あまり期待できないのである。

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一人ひとりが考えることの意味

一人ひとりが考えることの意味

印刷術の発明は、文化を大きく変えた。精神文化に与えた変化は限りなく大きい。最初に印刷が試みられたのは聖書であると言われている。それはそれは力のこもった、見事な装丁のものであったらしく、高価なものに違いなかったが、それでも、写本をつくるよりは遙かに聖書の文章が知られるようになるだけの効果をもっていた。やがてコストダウンできるようになると、聖書そのものが広まるのは加速度的に速くなった。
 
さらにルタ

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