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哲学のかけら

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哲学も少しはかじっています。なにもそんなこと考えなくてもいいんじゃない、と言われるところも、でもさ、と考えてみる、それが哲学。独断と懐疑に終わらずに常に自分の至らなさを認めるあた…
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2022年7月の記事一覧

自己認識は嫌悪となるか誇示となるか

自己認識は嫌悪となるか誇示となるか

ミスをした自分が、悔しくてたまらなかったことがある。若いときに、そういう心理を辿る人は、少なくないと思う。学校では、いわば「正しい」ことが教えられる。テストなどでも、100点や90点をとっても特別なことではないような雰囲気があるとすると、正しいことができて当たり前というような共通理解があると言えるだろう。そういう情況では、ミスをすることが、悔しいということになりやすい。
 
また、子どもは原則主義

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平野啓一郎氏の講義・受講レポート

平野啓一郎氏の講義・受講レポート

先日、平野啓一郎氏の講演を聴いた。それは、大学の講義であった。ただ、一般公開もするというので、応募した。こういうとき、「オンライン」が広まってきたのは、非常に頼もしい。学生が会場に集まるのだから、一般としてはオンラインを歓迎する、というのである。
 
平野啓一郎氏については、ご存じない方はあまりいないだろうと思われるが、北九州市出身(出生は愛知県)で、京都大学在学中に執筆した『日蝕』が芥川賞を受賞

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悪く言うことの必要と危険

悪く言うことの必要と危険

選挙前の政党や候補者が、甘い声で、いかにもいいことをメディアで語るとする。それが結局裏切られるということを、これまでも重々経験しているはずなのに、私たち投票者は、「みんな」に合わせて行動してしまうのも不思議である。
 
いや、だから与党ではないところを支持するのだ。そう息巻く人々もいる。特にキリスト教関係者には、威勢のいい声がよく飛び交う。選挙や政治に対する考えは、宗教とは関係がないから、それはも

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前提となるもの

前提となるもの

ひとが発言をするというのは、不思議なものだ。頭の中に構築したものをゆっくりと出す、という場合もあるが、たいていは、口に出しながら考えているものだ。だから、自分でもよくそんなことを考えていたな、と驚くようなことが、口を突いて出てくることもある。言ってみて初めて、そうなんだ、などと感心するようなことがあるのだ。
 
もちろん、その逆もある。あんなことを言わなければよかった、と後悔することもある。それの

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