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教会の問題

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キリスト教会はとても居心地のよいところです。でも、満点を期待してはいけないでしょう。たくさんの問題を抱えています。とくに内側にいると見えないものを、なんとか見ようとするひねた者が…
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2023年11月の記事一覧

『信じる者は破壊せよ』(キャスリーン・ニクシー;松宮克昌訳・みすず書房)

『信じる者は破壊せよ』(キャスリーン・ニクシー;松宮克昌訳・みすず書房)

これはキリスト教全体に関わるような批判の書である。キリスト教が、ギリシアやローマの文化をいかに破壊したかを示す。
 
もちろん、ローマ帝国の許で、キリスト教は不遇な扱いを受け続けてきた。だが、ローマ帝国自体の弱体化もあり、その他多くの事情が重なって、ついに帝国公認の宗教となる。つまり、権力者がこの宗教をメインに扱うようになったのだ。
 
権力を有するようになったキリスト教会が破壊をした――のかどう

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仏教のすすめ

仏教のすすめ

奇を衒った題を掲げてしまったように見えるかもしれない。これは、小冊子のタイトルである。書店に置いてあり、無料で持ち帰ることができる。非売品である。
 
サイズはA5で、130頁を超える。キリスト教系のブックレットの同サイズのものはいまや千円を超えるから、かなりの資金が必要になる規格と言えるだろう。
 
内容の殆どは、本の広告である。最初の十数頁に、東北福祉大学学長の千葉公慈氏による、「仏教という生

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説教で本を紹介するとき

説教で本を紹介するとき

礼拝の壇上で、説教者が本を紹介することがある。遠慮がちに、「よかったら読んでみてください」と口にする。パワーをもつ立場の者が、「読め」と命ずることは、圧力をかけることとなる。他方、牧師も教会からすると雇われの身であるとするなら、あまり思い切ったことは言えない面もあるだろう。それだから、「この本を……」と紹介するというのは、かなり勇気の要ることなのではないかと想像する。本当は、めちゃくちゃ読んでもら

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リスボン地震に思う

リスボン地震に思う

万聖節。ご存じない方も、その謂われなどについては、ウェブサイトに良い説明が多々あるのでご覧くだされば幸いである。西洋のお盆のようなイメージで想像して戴いてもよいだろう。キリスト教が聖書から考えたお祭りであるようには思えないが、その前夜がいわゆるハロウィーンであり、日本でも近年有名になった。
 
1755年11月1日の朝、当時世界最高の都市の一つであったポルトガルの首都リスボンは、この万聖節で、賑わ

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