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学びの場レポート

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探究的なスクールや学びの場を取材した記事をまとめています。
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記事一覧

自分の五感を味わい、しなやかに生きる。“余白のある時間”を過ごすスクール「ラーンネット・あーる」

自分の五感を味わい、しなやかに生きる。“余白のある時間”を過ごすスクール「ラーンネット・あーる」

余白のある時間の中で、自分と他者の“あり方”に向き合う。

2023年6月、そんな時間を大切にするオルタナティブスクールが、神戸市灘区に開校しました。運営するのは、1996年から探究学習の実践を続けるラーンネット・グローバルスクール。新たに開校した「ラーンネット・あーる」は、小学生向けの少人数制スクールです。週3日開校し、現在は小学校1年生から3年生までの11人が通っています。

夏休みが明けた9

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10代の探究者のためのマイクロスクール「ラーンネット・エッジ」の1日に密着取材

10代の探究者のためのマイクロスクール「ラーンネット・エッジ」の1日に密着取材

「ひたすら取り組みたい好きなことがある」

そんな10代の探究者のためにつくられたマイクロスクールが神戸市灘区にある。

JR摩耶駅から住宅街を歩き、にぎやかな水道筋商店街を抜けるとレンガ造りの建物が見えてきます。ここまで徒歩15分。通りに面した一角の1階と2階が、今回ご紹介する「ラーンネット・エッジ」。ラーンネット・グローバルスクールの中学部として2019年4月に開校し、今年で4年目を迎えます。

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開校4年目。専門家と関わりながら、自分の“好き”に没頭できるスクール「ラーンネット・エッジ」の今

開校4年目。専門家と関わりながら、自分の“好き”に没頭できるスクール「ラーンネット・エッジ」の今

「ひたすら取り組みたい好きなことがある」

そんな10代の探究者のためにつくられたマイクロスクールが神戸市灘区にある。

JR摩耶駅から住宅街を歩き、にぎやかな水道筋商店街を抜けるとレンガ造りの建物が見えてきます。ここまで徒歩15分。通りに面した一角の1階と2階が、今回ご紹介する「ラーンネット・エッジ」。ラーンネット・グローバルスクールを母体として2019年4月に開校し、今年で4年目を迎えます。小

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大自然の中で夢中を見つけ、とことん取り組む。ラーンネット・グローバルスクールの1日に密着

大自然の中で夢中を見つけ、とことん取り組む。ラーンネット・グローバルスクールの1日に密着

豊かな自然に囲まれて、自分の好きなことに没頭する。

神戸六甲山の山頂近くに、そんな環境が整ったスクールがあります。「ラーンネット・グローバルスクール」は1996年にスタートし、今年で開校26周年を迎える探究型のスクールです。校舎の敷地は、約600坪。ここで、小学校1年生から6年生までの子ども達が学んでいます。

新年度を迎えて3ヶ月がたった7月上旬、スクールに通う低学年の1日に密着させてもらいま

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1期生の募集や資金繰りはどうした? 2022年春に開校するヒロックに聞く、マイクロスクールをつくるまで。

1期生の募集や資金繰りはどうした? 2022年春に開校するヒロックに聞く、マイクロスクールをつくるまで。

開校前から数々のメディアにも取り上げられ、注目を集めているマイクロスクールヒロック初等部。初年度の選考も終わって無事入学予定者も決まり、4月からの開校を待つばかりというタイミングで、ファウンダーの堺谷武志さんと、入学を決めた親御さんへ、ここまでの話やこれからへの期待を聞きました。

「わからない、できない」を正直に説明会で伝える——無事に入学希望者も集まったようですが、実際どのように募集や選考をさ

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2022年、東京・砧公園に初等部開校。銀行で国際ビジネスを経験した堺谷武志さんが、マイクロスクール「ヒロック」をつくる理由。

2022年、東京・砧公園に初等部開校。銀行で国際ビジネスを経験した堺谷武志さんが、マイクロスクール「ヒロック」をつくる理由。

自然や人とのふれあいが希薄になってきている、都会での暮らし。たっぷり自然や人に触れながら、都会の子どもたちが主体的にのびのび育つ場づくりを行うことはできないだろうか——。その問いにチャレンジし続けているのが、堺谷武志さんです。

堺谷さんは、銀行員として国際ビジネスに従事した後、2006年に教育業界で起業。世田谷区・目黒区・品川区でプリスクールを運営してきました。そして2022年春、東京都世田谷区

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2022年、東京・砧公園に初等部開校。元教員の2人がつくる、「教科と探究どちらも諦めない」学びのスタイル。

2022年、東京・砧公園に初等部開校。元教員の2人がつくる、「教科と探究どちらも諦めない」学びのスタイル。

一人の教育起業家との出会いが、二人のプロフェッショナルの心に火を灯し、理想の教育を目指して、新しい学校創りに舵をきった。

その二人とは、2022年春、東京都世田谷区に開校するヒロック・マイクロスクール初等部のスクールディレクター(校長)蓑手章吾さんと、カリキュラムディレクター五木田洋平さん。

公立・私立の小学校教師という安定した職を投げうってまで実現したい理想の教育とは、どういうものなのでしょ

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固定の教室もチャイムもない、1学年9人の小さな学校が、東京・中野にある?東京コミュニティスクールを訪ねてみた。

固定の教室もチャイムもない、1学年9人の小さな学校が、東京・中野にある?東京コミュニティスクールを訪ねてみた。

——朝8時20分に、TCSの前に集合した編集チームとケイさん。TCSは中野駅から徒歩7分の場所にある、ぱっと見は何の変哲もない3階建てのビル。

「本当にここがスクールかな…?」と思いながら建物に入ってみると、玄関では、子どもたちが慣れた手つきでiPadで入室チェック中。靴箱の上には、子どもひとりひとりの顔写真と好きなことや将来の夢が。

ケイ:1年生から6年生まで、みんなここに貼られています。T

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焦らせない。自発性をゆっくりじっくり待つ文化  【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(2/7)

焦らせない。自発性をゆっくりじっくり待つ文化 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(2/7)

――朝8時30分から、子どもとスタッフ全員が一堂に集う朝の会。全学年で大きな1つの円陣をつくり、大人も子どもも円陣の中に並んで座っています。大人が前に立つのではなく、円陣の中にまばらに入っていて、フラットな雰囲気です。

ケイ:TCSに子どもを入学させる前に、見学に来た時にまず面白いなと思ったのが、この朝の会なんです。TCSに1日体験に来る子は、この朝の会で自己紹介をするんですが、シャイでなかなか

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全員が納得行くまで話し合う  【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(3/7)

全員が納得行くまで話し合う 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(3/7)

――「基本的なルールはあるけど、それ以外は話し合って決める」とのことですが、具体的なエピソードをもう少し聞きたいです。

ケイ:週に1回、火曜日の午後に「アセンブリ」という1年生から6年生まで一堂に会して一緒に過ごす時間があります。基本的には子どもたちでどう過ごすかを決めるんですね。例えば運動会や文化祭などの行事の前なら、それに向けた準備をやる。

私が最初に見学したときは、行事も終わっていて、ち

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6つの探究領域×6年。36テーマを探究  【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(4/7)

6つの探究領域×6年。36テーマを探究 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(4/7)

―― 2階で朝の会や授業を見学したあと、校舎の3階に上がってみると、子どもたちの夏休みの自由研究らしき模造紙が、ずらりと壁一面に貼られています。「植物は人間に似てる」「大人のちょっとは、全然ちょっとじゃない」など、ちょっと不思議なテーマもたくさん。

前回(2話・3話)はスクール全体の文化について話を聞いてきましたが、子どもたちがどういう学びをしているかについても知りたいです。

ケイ:夏休みは数

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自分たちで文化祭の決済アプリをつくる  【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(5/7)

自分たちで文化祭の決済アプリをつくる 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(5/7)

―― 午前中のクラスは終わり、ランチタイムに。全学年の子どもたちとスタッフが、1階でワイワイとお弁当を広げます。

ケイ:お弁当は自宅から持ってきている子が多いですが、TCSで給食を頼むこともできます。朝に頼むと、昼に届けてもらえる仕組みなので、保護者としてはとても助かりますね。「今日はお母さんと喧嘩しちゃったから、給食頼む!」なんて子もいますよ。

―― 楽しく食べた後は、自発的に片付けがはじま

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スクール内外全域が学びのフィールド

  【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(6/7)

スクール内外全域が学びのフィールド 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(6/7)

―― ところで、今日の時間割には「体育」の時間がありますが、校舎には運動場や体育館はないですよね?

ケイ:今日は区の体育館に行ってますね。そのほかにも、近くにある公園のグラウンドを使ったり、学校の周囲の地域のリソースをフルに活用しています。体を動かす機会は結構大事にしていてほぼ毎日体育の時間がありますし、授業とは別に毎週金曜は晴れていれば全学年で1200メートル走るんです。

あと、アウトドアデ

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公立校にも在籍。「積極的不登校」する子どもたち  【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(7/7)

公立校にも在籍。「積極的不登校」する子どもたち 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(7/7)

―― とても魅力的な学びのカルチャーを持っている学校だなあと思うのですが、最後に学びの評価についても少し聞いてみたいです。

この学校でやっている学びは、テストを行って80点だったとか、数値化できるものではないと思います。そうすると、どういう風に学びが進化していることを見ていくのでしょう。通知表のようなものはないのでしょうか?

ケイ:できるできないだけを評価する通知表はありません。まず、「学びの

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