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絵本のような短編小説『星を買った朝』

今日は僕の誕生日。
僕は最高に贅沢な事をしようと考えた。

「そうだ宇宙の隅から隅まである星を全部買うことにしよう!」

僕は決意した。

そして。

僕が星を買った朝、僕は星の光が太陽に照らされて溶けてしまわぬように星達を宝石箱に閉じ込めた。

すると宝石箱の中は夜になって満天の星空が広がった、僕は世界中の、いや銀河の果てまである星を買い占めたので宇宙の果てまで暗くなった。

世の中にある全ての星の光はこの宝石箱の中だ。

僕は満足したが考えた。

僕が星を買ったことで夜空に輝く星を見て何か夢見ていた人が失望してしまわぬだろうか。

アルタイルとベガが会えなくなってしまわぬだろうか。

流れ星に祈りを捧げた子供が涙したらどうしよう。

そして夕方の空に向かって僕はこう願いをかけた。

「僕は星を空に返します。だから世界中の願いを叶えてください、その光で皆を笑顔にしてください」

そして宝石箱を開けた。星達は夜空にあっという間に帰り、何事をなかったかのように今日も瞬く。

誰かの希望となるように。
誰かの癒しとなるように。

星達は輝いた。僕が買った星はいつの時代の星達か。返した星はいつの時代に届いたか。

僕が星を買った朝。
過去と未来が交錯した。

僕の誕生日はそんな夢から目覚めた朝だった。

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