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「今日は休めないよ」賃貸修理を妻に任せ、今年最終日も家を出た就労移行支援のリアル(投げ銭・無料で読めます)

12月も半ばになると世間はクリスマスや年末年始を前にして浮かれ気味だ。新型コロナウィルスの感染者数が過去最多を毎日のように更新していても、やはり浮かれたいのが人である。

そんな12月半ばから、訓練生の欠席が増えてくる。世間の浮わつきは訓練生の心をザワつかせ、そのザワつきは増幅される。負の増幅だ。

障害を抱え、無職である訓練生にとり、健常で普通の人が住む隣の芝は残酷なまでに輝いて青く見える。そして、自分の置かれた境遇や現実が非情に浮き上がる。結果、不眠や抑うつ症状が悪化し家から出られない。


「最終日だし、今日は休めないよ。行ってくる」

昨晩、12年間酷使された給湯器が故障した我が家は、修理の立ち会いが必要だった。妻は、パパ休めない?!とやんわり探りを入れてきた。わたしの年内最終日は半日だし、休職中でリワークの身だ。勤務している状態より休みやすい。

しかし、わたしは妻の了解を得て家を出た。

この1ヶ月は無遅刻無欠席の必達を目標にしていた。最終日も通所して1年を〆たかった。無遅刻無欠席は復職への最低条件。就労移行支援の訓練生に比べればお遊びみたいなものだが、わたしも社会復帰への戦いの真っ只中だ。


もうひとつ大きな理由がある。

12月、欠席がちな訓練生が多くなったが、最終日の今日はみんなが揃うと確信していた。そんなみんなと大掃除をして挨拶を交わし年内を終えたかった。

確信は現実のものになった。
みんなが出席してきた。

彼ら彼女らは自尊自立の戦いの真っ只中だ。
最終日、悩みつつも強い意志で布団から起き上がり、身支度と準備をして、家を出た。電車を乗り継ぎ訓練に来た。その気持ち、その頑張り、その根性。わたしにも痛いほど理解出来る。

非合理的で半ば精神論な最終日の出席。
それは、まだ戦意を失っていない証左だ。

しかし、1年の振り返りでは明るい話題は無い。

「新型コロナで実習先が受け入れてくれなかった」
「一時期、訓練がリモートになり体調が悪化した」
「この数ヶ月、また体調が最悪になった」
「復職に1回失敗した」


この国の労働形態は、無遅刻無欠席と週40時間労働が大前提である。労働者からのお願いという形で労使協定を締結して許された残業(超過勤務)は恒常的だ。労働契約における労働者の権利は曖昧で、ハラスメントは横行している。人事でさえ労働者を守る法律は知らない。

今日の健常者は明日の精神疾患者になりかねない。
厚労省の調査でも、WHOの調査でも、国内外で精神疾患者は急増している。就労移行支援のリアルは、他人事ではないのだ。


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