【LISTEN】コミュニケーションの不安解消は「聞く」事から始める
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆
〜「聞く」ことの重要性〜
本書はただひたすらに「聞く」事の重要性を説くものである。
聞く事は最高の知性であり、聞く事で孤独を無くし、聞く事で自分の人生を豊かにする。
本書における「聞く」という行為は、「能動的に耳を傾ける」という意味である。いろんなリーダー論や組織論で、「部下や仕事仲間の話や意見は真剣に聞くべきだ」という意見は目にするものの実際に「耳を傾ける」ことを実践出来ている人は果たしてどれだけいるのだろうか?
著者から言わせれば、現代では多くの人の「聞く」という能力が低い。
「聞く」というのはただ目の前の人の話を聞くだけではない。目の前にいる人の表情や声の抑揚などから、言葉以外の奥底や真実を感じ取ることなのである。これは、SNSの140文字を追っているだけでは得られない事だし、何かをしながら人の話を聞くような態度では掴み取れない事だろう。
〜「聞き上手」な気になっている人々〜
「自分は聞き上手だ」と自負している人は少なくないだろう。
今さら「聞く」事について何も学ぶことなんてないだろう、と思う人もいるかもしれない。
ぜひ、本書はそういう人にこそ読んでもらいたい。自分がいかに人の話を聞いている気になっていたか、気づくことができるはずだ。
僕自身も、本書を読んでいてギクリとするような事がいくつもかかれていた。
コミュニケーションが得意だと思っている人ほど、その場の話題をコントロールしたいと考えて、人の話を無意識に聞き流して次に自分が話そうとしていることを考えている。聞く態度だけ示そうとむやみやたらにうなずいたりおうむ返しをして、つじつまの合わない話をそのままにしてしまう。相手の話の真相には興味を持たず、常に自分をアピールするためつまらないギャグや見当違いなアドバイスを返す。
さて、上記の文章に少しでもギクリときた人は、ぜひとも本書を手に取って欲しい。
本当の意味での「聞く」というのがどういうことなのか、考え直すきっかけになるはずだ。
〜「聞く」力は訓練出来る〜
本書は、「聞く」力が失われつつある現状を憂う本であり、「聞く」スキルを伸ばすための指南書である。
著者の言うような「聞く能力が向上すれば、人生は豊かになるし、自分の才能や能力も向上するし、仕事もうまくいくし…」というのは、さすがに都合の良い話ではあるかもしれないが、それでも「聞く」という文化が現代では失われていっているのは間違いなく、それが様々な弊害や問題を生み出している事は誰もが思う事だろう。
しかしながら「聞く」力は取り戻せる。訓練で向上させることも出来る。
本書では「聞く」達人たちのエピソードを交えながら、どのように「聞く」力を伸ばしていくのか具体的な方法も示してくれる。
最近、孤独を感じるな。
誰かの話を本気で聞いたのはいつだったかな。
誰かに自分の話を真剣に聞いてもらったのはいつだったかな。
コミュニケーションやつながりに不安を感じている人は、この本を手に取り「聞く」力から身につけることを考えてみるのはいかがだろうか。
正直、「話す」ことの本は世の中に腐るほどあるが、「聞く」側の立場からアプローチする本書はかなり貴重な一冊だろうと思う。
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