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映画解釈・考察

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【映画解釈/考察】『寝ても覚めても』/『ドライブ・マイ・カー』「不条理な世界の存在として、それでも言葉の世界で生きようとする者たち」

【映画解釈/考察】『寝ても覚めても』/『ドライブ・マイ・カー』「不条理な世界の存在として、それでも言葉の世界で生きようとする者たち」

『寝ても覚めても』(2018)濱口竜介監督
『ドライブ・マイ・カー』(2021)濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』を扱った以前の記事で、『ドライブ・マイ・カー』は、不条理な世界を認めざるを得ない一方で、それでも言葉による新たな物語を創出して生きていく人々を描いた物語であるという解釈をしました。

 そして、『ドライブ・マイ・カー』を見た後、再度、『寝ても覚めても』を見返してみると、非常に多くの共

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【映画解釈/考察】黒沢清監督『CURE』「秘密の部屋(エス)の存在を自我に認めさせるCURE(癒し)」

【映画解釈/考察】黒沢清監督『CURE』「秘密の部屋(エス)の存在を自我に認めさせるCURE(癒し)」

『CURE』(1997)
『クリーピー 偽りの隣人』(2016)
『カリスマ』(1999)
『殺人の追憶』(2003)ポン・ジュノ監督

黒沢清監督と言えば、普段私たちが、意識していない存在を、見事に、顕在化させる精緻な脚本が特徴的です。今回は、そのような作品の中から、代表作の一つである『CURE』を考察します。

『CURE』のプロットとリンクする童話『青髭』冒頭、女優の中川安奈さんが演じる高部

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【映画解釈/考察】『Love Letter』(1995) 「ラカンの"手紙(思い)は必ず宛名(相手)に届く"」

【映画解釈/考察】『Love Letter』(1995) 「ラカンの"手紙(思い)は必ず宛名(相手)に届く"」

『Love Letter』(1995) 岩井俊二監督『ラストレター』(2020) 岩井俊二監督

映画『Love Letter』の公開から25年経った2020年岩井俊二監督によって再度、「手紙」を題材にした映画『ラストレター』が、公開されました。

『ラストレター』も、とても良い作品なのですが、観たあとだと、さらに『Love Letter』が、奇跡的なストーリー(構成)で、より素晴らしく感じら

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