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下駄華緒の弔い人奇譚

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怪談最恐戦2019の怪談最恐位、送り人ミュージシャンの下駄華緒が送る連載企画です。火葬場・葬儀屋の赤裸々事情、日常生活では知り得ない葬礼やご遺体の話、はたまた不思議な体験まで、余…
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#葬儀

はじめに ―僕が火葬場・葬儀屋で働いた理由―

はじめに ―僕が火葬場・葬儀屋で働いた理由―

まずはじめに、僕は元火葬場職員として働いたその後、葬儀屋に転身した経緯があります。

こういう話になると必ずと言っていいほど聞かれることがあります。
それは「なんでその仕事をやろうと思ったの?」です。

ある人は言います、そんな仕事してて怖くない?と。またある人は腐乱死体とか見るのキツそう、と言います。
確かに子供のなりたい職業ランキング上位に入ったことなんておそらく無いだろうし、大人からしてもな

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【第1話】死体が動いたっ!? 新人火葬場職員、驚愕の初出勤【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第1話】死体が動いたっ!? 新人火葬場職員、驚愕の初出勤【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第1話――

ぼんやりと葬祭業という場所に飛び込んでみたいと思いを馳せていると、神のいたずらか天の采配か、知人が火葬場職員として働いているという情報を得ました。
早速相談させていただき、晴れて面接を経て初出勤の日がやって来ました。

「当日持ってきてください」と電話越しに言われたのはメモと筆記用具、そして勤務開始にあたっての書類や印鑑などごくごくありきたりなもので、これから働く「火葬場」という

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【第9話】ネットの噂に要注意! コロナ患者の葬儀についてのウソとホント【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第9話】ネットの噂に要注意! コロナ患者の葬儀についてのウソとホント【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第9話―

昨今のニュースでは新型コロナウイルスの話題で溢れていますが、多くの方々が今回のパンデミックに対して意識が変わった転換期の出来事といえば著名人の感染、そして亡くなったという知らせを聞いた時ではないでしょうか?

しかもご遺族でさえ故人の顔を見ることが出来ずに、最終的には遺骨になって初めて帰ってきた…という。

ですが、ネットを中心に情報が錯綜して何が本当で何が間違いなのか分からなくなっ

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【第10話】遺体の口から出ていたのは… 葬儀屋に降りかかった身の毛もよだつ出来事!【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第10話】遺体の口から出ていたのは… 葬儀屋に降りかかった身の毛もよだつ出来事!【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第10話―

葬儀屋さんって「待つ仕事」って言われているんですよ。
何を待つかというと電話なんです。例えばご家庭に伺って「誰か死んでませんかー?」などと葬儀屋さんの方から聞いて回るなんてことはあり得ないわけです。なので、基本的には遺族さんからの電話を待っています。

そして、ある日の昼過ぎです。
会社の電話が鳴ったので受話器をとったところ「すみません…母が亡くなりまして」と中年くらいの男性の方か

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