脳の機能を全部使うと数秒で餓死する?『あなたの目にはなぜか見えていない世界』とは?~認知科学コーチング Vol.4~
こんにちは。株式会社シンシア・ハートで代表取締役をしている堀内猛志(takenoko1220)です。
こちらのnoteでは、認知科学に基づいたコーチングについて、知っておくべき用語の解説、コーチングの実践方法、コーチングの事例を解説しています。
堀内は何者か、なぜコーチングを始めたのかは以下のnoteをご確認ください。
数回にわたり、認知科学コーチングを実践するコーチ、コーチングセッションを受けるクライアント両者が知っておくべき用語について解説しています。
1回目は、「あなたを無意識に支配している『ビリーフシステム』とは?」ということについて書いています。
2回目は、「あなたの人生が大きく変わる『ゴール設定』の3つのポイント」について書いています。
3回目は、「俺は海賊王になる」と言ってると本当に叶ってしまう『エフィカシー』の力とは?」ということについて書いています。
すべてつながっているので、ぜひ前回のnoteをざっと読んでから、今回のnoteを読んでみてください。認知科学コーチングの考え方や用語の整理ができると思います。
今回は「あなたの見える世界が変わる『コンフォートゾーン、RAS、スコトーマ』」について解説します。
ゴールにリアリティを持たせるために必要な「イメージ」の力
前回のnoteのおさらいです。ゴール設定を行い、ゴールを強く思い描き(Image)、エフィカシーによって臨場感が高まり(Vividness)、ゴールが現実化(Reality)していきます。では「強く思い描く」とはどうすればいいのでしょうか。
頭の中の「イメージ」が「現実」に代わってしまう「コンフォートゾーン」の力とは?
コンフォートゾーンとは、自分にとっての居心地の良い空間のことです。普段のビジネスの場でも、コンフォートゾーン、ラーニングゾーン、パニックゾーンなどのようなワードを使う機会が増えましたね。そういう場面で使うコンフォートゾーンはどちらかというと悪いイメージであり、「コンフォートゾーンを抜け出して、ラーニングゾーンに行こう」という言い方をしますよね。しかし、認知科学コーチングではコンフォートゾーンから抜け出すのではなく、コンフォートゾーンに戻ろうとする力を利用します。
人間にはコンフォートゾーンに居続けようとする機能が備わっており、これをホメオスタシス(恒常性維持機能)と言います。コンフォートゾーンから抜け出そうと思っても、ホメオスタシスによってコンフォートゾーンに戻ろうとする力が働くので、抜け出すことは出来ません。この力は意識ではなく、無意識の力なのでコントロールすることが出来ませんし、その力も強力です。
例えば、人間の体温は36度台をキープしており、これが人間にとってのコンフォートゾーンです。気温が変化しても体温は変化することはありません。運動したり、サウナに入っても人間の体は汗をかくことで体温をキープしようとします。また、寒くなっても、体が震えたりすることで体温の低下を防ぎます。人間は平熱を2つ持てないように、コンフォートゾーンも2つ持つことが出来ません。
認知科学コーチングにおいては、このコンフォートゾーンの概念とホメオスタシスの働きをゴール達成に利用します。結論から言うと、ゴールは理想ではなく、現実(=コンフォートゾーン)であると脳に強く認識させることで、無意識に脳をコンフォートゾーン(ゴールであり現実)に向かわせようとするのです。
しかし、五感によって刺激されている日々の生活という現状は、イメージ世界のゴールよりも圧倒的にリアルなので、脳は現状をコンフォートゾーンと認識し、現状維持をしようとします。そこで、①コンフォートゾーンは2つ取ることは出来ない、②脳はリアリティのある方のゴールを採用するというマインドのカラクリを利用します。つまり、「現状のコンフォートゾーンから抜け出す」という考え方ではなく、ゴールに対する臨場感を高めることで「コンフォートゾーンをゴール側にズラす」のです。
ゴールをコンフォートゾーンだと脳に認識させる
頭で理解できてもしっくりこないことが多いと思うのでシンプルな事例をもとに図解で示します。
例えば、勉強ができない女子高生がいたとして、毎回のテストで点数が低い自分のことを「落ちこぼれ」だと認識しているとします。この場合、落ちこぼれの自分という現状がコンフォートゾーンであり、どんなに努力をしてもテストの点が上がらないと「やはり私はバカなんだ」「バカな私が頑張っても無理だ」と自分自身の評価を下げてしまいます。
自分の言葉によって、落ちこぼれの自分の臨場感をさらに高めてしまいます。その臨場感を感じ取った脳は、現状をコンフォートゾーンだと認識し、ホメオスタシスが機能して落ちこぼれの自分に戻ろうとします。
この現状というコンフォートゾーンをゴールにずらすために強くゴールをイメージします。
これができると理想の自分が「いつもの自分」に変わります。
ゴールを達成した自分(=いつもの自分)から現状の自分を見ると、もうすでに現状が昔に変わっており、今の自分であることの居心地が悪くなる、という状態ができるのです。
ゴールをコンフォートゾーンだと思えるために「臨場感」を高める
上記の例のように、ゴール側がコンフォートゾーンになっている状態であれば、失敗したときに自分が発する言葉も違ってきます。現状をコンフォートゾーンにしている場合は、勉強ができないと「私はやはりできない」と発しますが、ゴールをコンフォートゾーンに設定できているのであれば「これは私らしくない」と発します。
このように、自身の中のゴールへのリアリティを高めるために自分の言葉を発し続けることは重要です。言葉がアンカリングとなり、その基準が当たり前になります。これが前回のnoteで解説をしたセルフトークですね。セルフトークで臨場感を高めるために以下のようなことも重要です。
また、直接東大に行ってみて東大の雰囲気を肌で感じる、東大の写真をスマホの待ち受け画像にする、東大生になっている自分の生活をイメージする、なども臨場感を高めるうえでは重要なことです。
ホメオスタシスの力はすさまじいです。だからこそ、その力に抗うのではなく利用するのです。このはたらきを創造的無意識と言います。創造的無意識は、無意識にある「これこそが自分だ」というセルフイメージと、実際の現実とを調和させるように働きます。セルフイメージと現実のギャップを感じると、現実をセルフイメージに近づけて、合致させてくれるのです。
以前のnoteで述べた高いゴール設定は、この創造的無意識を働かせるために必要なことだったと言えます。創造的無意識がはたらけば、「なりたい自分」というゴールに近づくような行動を、あなたは自然ととるようになります。つまり、無駄な努力をしなくても、どんどんゴールに近づいていけるのです。
「RAS」と「スコトーマ」
ゴール設定をし、イメージ世界がコンフォートゾーンになり、日々臨場感を高める行動をしていると不思議なことが起きてきます。それは、今まで見えていなかったものが突然見えてくるのです。
人は見たいものしか見ないし、聞きたいものしか聞かない、という話をします。私たちは脳から様々な情報を知覚しています。仮に脳の全ての機能を活用し、知覚から得ているものを全て処理しようとすると数秒で餓死すると言われています。それくらい脳は高機能なんですね。
脳が餓死しないために必要なものしか知覚しないようにしている機能が「RAS」です。RASとはReticular Activating Systemの略で、自分にとって必要な情報しか見ないようにしている機能だと思ってください。RASが発火する条件は、その時の自分にとって必要なものや脅威となるようなモノです。この重要性が人によって違うため、私たちは同じ世界に生きながらも、実は見えている世界が違っているのです。
例えば犬好きのAさんは犬ばかり目に映っているし、自動車好きのBさんは自動車ばかり見ているのです。それぞれが一緒に歩いていて「今すれ違った犬めっちゃ可愛かったね」「今すれ違った車めっちゃかっこよかったね」と言っても理解し合えません。お互いに「え?そんなの通った?」という反応になります。これこそが「自分に興味のあるものしか見えていない」状態ということなのです。
また、自分にとって見えていないものを心理的盲点、「スコトーマ」と言います。RASが見えているものだとしたら、スコトーマは見えていないものだと思ってください。自分の世界には圧倒的にスコトーマが多いのです。例えるなら、さびれたシャッター街と化した商店街です。ほとんどの店のシャッターが落ちている世界です。そこから少しだけシャッターが開いて、ちらっと見えているものがRASです。
このRASによって見えているものは環境が影響しています。会社という組織で大事にされているメッセージや、過去の成功体験、上司からの指示、そのようなものをRASは見ています。
では、見えていないものを見るようにする、RASを発火させてスコトーマを開けるためにはどうしたらいいのでしょうか?ここでもやはりゴール設定が大事になるのです。意識しようとしても見えないモノは見えません。それは見たいものが重要だと心の底から思えていないからです。
例えば、お子さんが生まれ「世界一の父親になるんだ!というゴールを設定したとします。すると、設定した瞬間から、あなたの目に映る世界には赤ちゃんで溢れ返るはずです。「家の周りにこんなに赤ちゃんって多かったっけ?」って思うでしょうし、赤ちゃんを育てるうえでの不便な環境が気になってしょうがなくなるはずです。
ここまでの解説で掴めてきたと思いますが、ゴールを設定する時は、「What(何が)」が重要であって、「How(どうやって)」は考えなくて良いのです。現状の外側にゴールを設定することで、無意識下でRASが発火し、スコトーマが外れるので、自然とゴールへの道が拓けてくるのです。
ゴール設定の重要性について、繰り返しお伝えしてきたので、ここまでのシリーズを読んでいる読者の方には伝わってきているのではないでしょうか。しかし、ゴール設定をすることも、その臨場感を高めて、創造的無意識の力でゴールに向かうようにマインドのカラクリを利用することも、1人では到底できないと思います。だからこそ、コーチという存在が必要なのです。
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それでは今日も素敵な一日を!
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