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時間はあるのに書けない。【散文詩】

 時間はある。
 ちゃんと休日はあるし、
 ずっと忙しい訳でもない。

 暇な時間はある。
 完全に自由な時間がある。
 酷く疲れている訳でもない。

 それなのに、何も書けない。

 パソコンに向かって、
 テキストデータを広げても、
 何も書こうとしない。

 環境は揃っている。
 あとは自分が綴るだけ。
 進むだけ。

 それなのに、動かない。
 動けない。

 夢を抱くだけ。
 夢を描くだけ。
 非現実的な栄光を妄想するだけ。

 そんな人間を、誰が好む?

 誰が応援する?
 誰が支える?
 誰が側にいようとする?

 誰が見続けてくれる?

 自分はつまらない人間だ。
 何も行動しない案山子のような物質に、
 誰が興味を持つだろうか。

 パソコンの前でフリーズする。
 このままでは腐ってしまう。
 外見はまだ普通の人間だ。
 しかし、内側から腐っていくとしたら、
 私は人間の形を保てるのだろうか。

 小説家になりたい。
 小説家になりたい。
 そう思っているだけでも、
 案外生きる事自体は出来る。

 ただ生きている。
 意味を見出せないまま。
 ただ生きている。
 それだけの日々。

 何かを変えたい。
 そう思っても、
 大きな変化は起きない。
 ただその時その時の、
 小さな欲望が満ちるだけ。

 何かを欲している。
 しかしそれも、
 こちらが動かなければ
 手に入らない。

 あなたは笑うだろうか。
 笑ってくれるのならば、
 まだ救いがある。

 なぜなら、
 まだ私の事を見てくれているからだ。

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