ハロー、あたらしい世代の結婚式。 #SDGsへの向き合い方
ドレスをつくらせてもらった花嫁さまの結婚式のため、週末は緑あふれる軽井沢にいました。
新緑が、発光してるみたいに鮮やかでした。
会場となったのは、軽井沢のお花屋さん&カフェのGATE FLOWER FIELDさん。
森の中にあるヴィーガンカフェです。
エシカルな結婚式
お食事や引出物、ドレス、キャンドルなど、すみずみまでヴィーガンやオーガニック、天然素材にこだわったエシカルでおしゃれな結婚式でした。
エシカルとは、「論理的な」という意味。「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」のことを言います。
この考えを結婚式に反映させたものを、「エシカル・ウェディング」と呼ぶこともあるようです。
ウェディングドレスも天然繊維で
その意向に従い、ドレスももちろん天然素材にこだわって、すべてシルクで制作しています。使った素材はシルクサテン、シルクシフォンです。
裏地はキュプラです。キュプラは高級衣料の裏地として知られている素材で、商品名でいうと旭化成のベンベルグとなりますが、品質表示には「キュプラ」と表示されます。キュプラの原料は、綿実油を作る時の副産物である綿の産毛です。再生繊維なのでこの素材自体が環境に配慮したものになっています。
ポリエステルの裏地よりもお値段はしますが、わたしにとってはキュプラが扱いやすく、特に指定がない限りは普段からキュプラを使用しています。キュプラの匂いと音も好きなの。いつも作りながらクンクンしてます。(変態)
ウェディングベールは化学繊維のチュールで作るのが一般的なのですが、今回は特別にシルクオーガンジーでつくりました。
もちろん、天然素材だからすべて環境にいいというわけでもないでしょうし、化学繊維でも、再生ポリエステルなど環境に配慮されたものはたくさんあるとおもいます。
それでもやっぱりシルクには特別なときめきがあります。
シルクの魅力は、見た目の美しさや光沢だけでなく、五感全部でときめくことができるところにあります。触れるとしなやかで、とろりとあたたかい。絹は音も違います。いわゆる「きぬ擦れ」の音がするんです。日本でも西洋でもその音は「高貴な音」とされていました。
わずかですが、絹特有の匂いもあります。どんな匂いかというと、うーん、草っぽくて、タンパク質っぽい匂いでしょうか。(あくまでも個人の感想です)
今回はコロナの影響もあり、シルクの材料を調達するのはすこし大変でした。いつも仕入れている海外の市場には行けなかったし、大阪や東京の問屋さんでも、シルクの取り扱いがうんと少なくなったなあと思います。生地だけでなく、関連する資材の調達も大変です。それだけ、作る人が少なくなってきているのでしょうか。
ウェディングドレスを、オーダーでいちから作って、しかも総シルクで…。そういう人は今後もっともっと少なくなるのかもしれませんね。それは、リメイクも同じこと。このファストファッションの時代において、リメイクしてまで服やドレスを着たいというひとは稀です。
今後、コロナの影響もあって、結婚式はますます形を変えていくだろうし、そもそも少子化でどんどん人が減っていて、さらに結婚しない人も増えてくる時代。でもなんか、わたしはあんまり悲観視していないんですよね。
わたしはもともとメジャーな路線では勝負をしていないし、さらにはいまSNSやオンラインで場所も飛び越えられるから、今までよりもっと、「わたしを必要としてくれる花嫁さま」と出会いやすくなっている気がします。むしろ追い風。
作って欲しいというひとがいる限りは、わたしは最後のひとりになってもやろうと思います。そうなったら逆にひとり勝ちになるもんね。ふふふ。
ドレスや結婚式のお写真にご興味のある方は、Instagramに順次アップしていくので、よろしければご覧になってみてくださいね。
価値観で結婚式を選ぶ時代?
今回、花嫁さまのお母さまが、エシカルウェディングドレスやリメイクを手がけているわたしをInstagramで見つけてくださって、オーダーしていただきました。
リメイクや、エシカルなドレスをつくっているから、そういった活動をしているから、わたしにオーダーしてくださる。それは、とてもうれしいことです。
新郎新婦さまは、2000年以降、21世紀に生まれたいわゆる「Z世代」のカップル。これはいよいよ、結婚式に関わることを、そういった個人の「価値観」で選ぶという時代が、本格的にやってきたと言えるのではないでしょうか。
あと、自分だけのこだわりとか、特別な趣向を投影したものとか。それにともなう特殊なオーダーとか。これからはますます、その人に合わせて臨機応変に対応できるしなやかさが必要になってきそう。
ある意味、「普通のことは普通にできないけど、ニッチでクセのあることほど面白がって挑戦できる」「難しいお題を与えられるほど燃える」という、わたしにぴったりの時代がやってきたのかもしれません。(希望)
楽しみでしかない。
追伸:今回の記事のタイトルに悩んで、Z世代の娘に聞いたら、「ハロー、Z世代」でいいんちゃう? と言われ、部分的に採用。
「Z世代って言われることはどうなの?」と聞いたら、「なんと言われようがどっちでもいい。わたしたちはあたらしいから」と言われて、ほう、と。
「わたしたちはあたらしい」
それは、あたしらしい、ってことでもあるんだね。
▼参考記事
ドレスの仕立て屋タケチヒロミです。 日本各地の布をめぐる「いとへんの旅」を、大学院の研究としてすることになりました! 研究にはお金がかかります💦いただいたサポートはありがたく、研究の旅の費用に使わせていただきます!