加藤崇

Googleに会社を売った起業家。米国カリフォルニア在住。日経ビジネス『世界を動かす5…

加藤崇

Googleに会社を売った起業家。米国カリフォルニア在住。日経ビジネス『世界を動かす50人』。Newsweek誌『世界が尊敬する日本人100』。東北大学特任教授。渋谷のカフェオーナー@menloparkcoffee

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「幸せ」になるために必要な4つのこと

40歳を超えてから、自分の人生における「幸せ」について考えることが多くなった。これまでは、ある意味「がむしゃら」に生きてきたし、それが「企業再生」にしろ「技術ベン…

加藤崇
3年前
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028:ブラジリアン柔術で紫帯に|クレイジーで行こう!第2章

まず言っておきたいのだが、今回の記事は長い。ものすごく長い。柔道だブラジリアン柔術だのと、ベンチャーや起業といったこととはまた別の世界のことについて死ぬほど熱く…

加藤崇
3年前
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027:地方在住の高校生の進路相談に乗る|クレイジーで行こう!第2章

東京と地方の違いはどこに?ヒト型ロボットベンチャー時代からとてもお世話になっている女性がいる。今でも、渋谷のカフェで経理をお願いしている北風さんだ。その昔、決算…

加藤崇
3年前
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026:情熱を秘める天才ジオデータサイエンティスト|クレイジーで行こう!第2章

地理情報システムを専門とするデータサイエンティストを探せフラクタのAIシステムは水道管の劣化を予測するため、地理情報システム(GIS)が非常に重要になる。特に、これ…

加藤崇
3年前
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025:フラクタ流の採用基準|クレイジーで行こう!第2章

シリコンバレーの格言からフラクタではこれまで、たくさんの人を採用してきた。その中で、驚くほど圧倒的なパフォーマンスを出す人たちがいる。その共通点は何なのだろう。…

加藤崇
3年前
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024:社会益のために行動するナイキ|クレイジーで行こう!第2章

Facebookの投稿を見てキャリアチェンジを決める2019年の6月末、僕は自分のFacebookで、次のように始まる文章を投稿した。 「フラクタでは、日本事業の責任者、一騎当千の…

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3年前
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023:『クレイジーで行こう!』が漫画に!|クレイジーで行こう!第2章

なぜ、「漫画」でなくてはならないのか僕たちフラクタが取り組んでいる事業が向き合っているのは、「公共水道インフラ」という、市民生活に直結するものだ。2人以上の世帯…

加藤崇
3年前
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022:ヒデとの別れ。その狭間で|クレイジーで行こう!第2章

5月、ヒデがミーティング中に飛び込んできたフラクタのCOOであるヒデ。この「クレイジーで行こう!第2章」では何度も登場し、僕も絶大なる信頼を寄せている。彼はロスアン…

加藤崇
3年前
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021:技術を愛するトムの参画|クレイジーで行こう!第2章

不思議なタイミングで連絡が入る製品が立ち上がる直前で、プロダクトの責任者であるマイク・リアンが会社を辞めることになった。全体の青写真はマイクの頭の中にあったため…

加藤崇
3年前
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020:才能があっても解雇に|クレイジーで行こう!第2章

日本のメンバーと意見が合わないフラクタの製品を大きく変えるために活躍してくれたのが、マイク・リアンだ。 エージェントがスカウトしたのでもなく、有名な会社にいたわ…

加藤崇
3年前
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019:灰が降る街シリコンバレーで、最高の仕事に不可欠な要素を考えた|クレイジーで行こう!第2章

シリコンバレー、久しぶりの快晴9月15日、サンフランシスコ・ベイエリアは久しぶりにキラキラと輝く太陽に恵まれた。こんな天気が見えなくなって、何のかんの、もう一ヶ月…

加藤崇
3年前
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018:ヒデのもっとも長い夏|クレイジーで行こう!第2章

はじまりは、ヨーロッパとの電話会議8月のお盆を挟んだ2週間。ある歯車の違いが、ヒデにため息をつかせていた。 ことの発端は、クリタ・ヨーロッパからフラクタに対して、…

加藤崇
3年前
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017:同質化の圧力への宣戦布告|クレイジーで行こう!第2章

成功者をリスペクトする開拓者の国アメリカ先日、ウォルター・アイザックソンの「Trailblazers Podcast」に出演したことをnoteに書いた。これは、僕にとっては本当に嬉しい…

加藤崇
3年前
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016:「本物」を体現するエース、ヒロと羽鳥君の活躍|クレイジーで行こう!第2章

革命前夜:いま何を思うか水処理の世界で革命が起こる。僕たちは、一定程度の確度を持って、この方向性を心から信じていて、株主の栗田工業とともに、虎視眈々とこの革命の…

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015:水処理の領域にAIを! メタアクアプロジェクト始まる|クレイジーで行こう!第2章

連結売上高2,600億円のテーブルをひっくり返せ!イノベーションを起こすには、不確実性に身を投じる必要がある。 僕たちは世界の水処理大手企業である「栗田工業」ととも…

加藤崇
3年前
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014:若き外国人のアメリカ|クレイジーで行こう!第2章

キャンピングカーで寝泊まりしながら働く若いからこその大胆さ、勇敢さというものがある。フラクタのメンバーと話していて、久しぶりにその感覚を思い出した。彼ら、彼女た…

加藤崇
3年前
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「幸せ」になるために必要な4つのこと

40歳を超えてから、自分の人生における「幸せ」について考えることが多くなった。これまでは、ある意味「がむしゃら」に生きてきたし、それが「企業再生」にしろ「技術ベンチャー創造」にしろ、強い目的意識のもと、日夜走り続けることができた。それまでの僕は、誰もが認める「モーレツな仕事人間」だったと言える。ところが、40歳を超えてからというもの、何をやっていても、最終的には、次の問いにぶつかるようになってしまった。 「それ」というのは、だいたいにおいて仕事のことなのだが、仕事を前に進め

028:ブラジリアン柔術で紫帯に|クレイジーで行こう!第2章

まず言っておきたいのだが、今回の記事は長い。ものすごく長い。柔道だブラジリアン柔術だのと、ベンチャーや起業といったこととはまた別の世界のことについて死ぬほど熱く語っている。好きだからだ。時間があって、読みたい人にだけ読んで欲しい。 情熱:コロナウイルスが止められないもの今年に入り、僕は毎朝2時間、ブラジリアン柔術の道場で稽古をしてからオフィスに出勤するようになった。 ブラジリアン柔術というのは、かつて柔道の創始者である嘉納治五郎(かのうじごろう)師範が柔道を世界に広めるた

027:地方在住の高校生の進路相談に乗る|クレイジーで行こう!第2章

東京と地方の違いはどこに?ヒト型ロボットベンチャー時代からとてもお世話になっている女性がいる。今でも、渋谷のカフェで経理をお願いしている北風さんだ。その昔、決算などもシステマチックにできていなかったころ、領収書を持っていくだけでいつもきれいにまとめてくれた。 Googleに会社を売却するときにも大いに助けてもらった。「明日までにGoogleへ提出しなくちゃいけない」と山のような資料を持っていくと、「明日の朝までにやっておきます」と夜通し資料をまとめてくれた思い出が懐かしい。

026:情熱を秘める天才ジオデータサイエンティスト|クレイジーで行こう!第2章

地理情報システムを専門とするデータサイエンティストを探せフラクタのAIシステムは水道管の劣化を予測するため、地理情報システム(GIS)が非常に重要になる。特に、これから開発しようとしているプロダクトは、地理情報、すなわちジオデータを的確に扱う特殊な技術が必要となるため、専門的なスキルを持つ人が必要だった。 ところが、ジオデータの専門知識を持つ人は、一般的なデータサイエンティストよりもずっと人数が少なく、人材探しは困難を極めていた。 今でこそ、UberやGoogleマップと

025:フラクタ流の採用基準|クレイジーで行こう!第2章

シリコンバレーの格言からフラクタではこれまで、たくさんの人を採用してきた。その中で、驚くほど圧倒的なパフォーマンスを出す人たちがいる。その共通点は何なのだろう。僕はよく考える。 シリコンバレーの格言に、次のようなものがある。 A-level people want to work with A-level people. B-level people tend to hire C-level people. 優秀な人は優秀な人と仕事をすることを好み、そうでない人は自分よ

024:社会益のために行動するナイキ|クレイジーで行こう!第2章

Facebookの投稿を見てキャリアチェンジを決める2019年の6月末、僕は自分のFacebookで、次のように始まる文章を投稿した。 「フラクタでは、日本事業の責任者、一騎当千の志士を募集します。今まで、日本事業の責任者がいたのですが、イギリス事業の開始に伴い、その人がロンドン勤務になってしまったので、ポジションが空きました!以下が会社が作った募集要項のようですが、実際には、「燃えるような情熱」があれば、どの要件も必要ではありません。お近くに心当たりがあれば、是非ご紹介お

023:『クレイジーで行こう!』が漫画に!|クレイジーで行こう!第2章

なぜ、「漫画」でなくてはならないのか僕たちフラクタが取り組んでいる事業が向き合っているのは、「公共水道インフラ」という、市民生活に直結するものだ。2人以上の世帯で、1か月平均5000円以上と言われる水道料金。僕たちはそれを500円でも1000円でも安くしようと、まさに命をかけて仕事に取り組んできた。 500円や1000円の差が生活に影響するのは、毎日をただ生きることで手一杯の、力無き市井の人々だ。この連載ではあえて何度も触れるようにしているが、僕の幼少期は、母子家庭で経済的

022:ヒデとの別れ。その狭間で|クレイジーで行こう!第2章

5月、ヒデがミーティング中に飛び込んできたフラクタのCOOであるヒデ。この「クレイジーで行こう!第2章」では何度も登場し、僕も絶大なる信頼を寄せている。彼はロスアンジェルスに家族を残し、単身赴任でフラクタのオフィスがあるシリコンバレーに来ていた。 ことの発端は、5月にさかのぼる。土曜日だっただろうか。オフィスにはスタッフが少なかったことを覚えている。 僕がミーティングをしていると、ヒデがいきなり会議室に血相を変えて飛び込んできたのだ。ヒデはいつもおだやかで、そんなにも慌て

021:技術を愛するトムの参画|クレイジーで行こう!第2章

不思議なタイミングで連絡が入る製品が立ち上がる直前で、プロダクトの責任者であるマイク・リアンが会社を辞めることになった。全体の青写真はマイクの頭の中にあったため、このままでは10人以上いるエンジニアが宙に浮いてしまう。向こう1~2週間のタスクは積まれているものの、その後は、はっきりとした目標が立っていない。プロジェクトがストップしてしまうことはもちろん問題だが、何人ものエンジニアが辞めてしまうんじゃないかという不安もあった。 マイク・リアンの代わりになりそうな人がいないか探

020:才能があっても解雇に|クレイジーで行こう!第2章

日本のメンバーと意見が合わないフラクタの製品を大きく変えるために活躍してくれたのが、マイク・リアンだ。 エージェントがスカウトしたのでもなく、有名な会社にいたわけでもなく、僕がメンロー・パークのレストランで見つけた原石だった。 彼が率いたプロジェクトホエールは、製品ローンチを目前にしていた。マイク・リアンは、粉骨砕身とてもよくやってくれた。驚くべきスピードで昇進したあとも、まさに寝る間も惜しんで働いていた。僕から見ても、正気の沙汰ではないと思えたほどだった。 プロジェク

019:灰が降る街シリコンバレーで、最高の仕事に不可欠な要素を考えた|クレイジーで行こう!第2章

シリコンバレー、久しぶりの快晴9月15日、サンフランシスコ・ベイエリアは久しぶりにキラキラと輝く太陽に恵まれた。こんな天気が見えなくなって、何のかんの、もう一ヶ月近くになるだろうか。そもそもカリフォルニアという場所は、一年365日のうち、300日以上が晴れという類(たぐい)まれな天候に恵まれた地域だ。 ※シリコンバレーの青い空 ここに移住すると、日本の気象というものが、ある意味でいかに苛酷であったのかということに初めて気づく。北でも南でもない東京に住んでいても、夏における

018:ヒデのもっとも長い夏|クレイジーで行こう!第2章

はじまりは、ヨーロッパとの電話会議8月のお盆を挟んだ2週間。ある歯車の違いが、ヒデにため息をつかせていた。 ことの発端は、クリタ・ヨーロッパからフラクタに対して、欧州における共同事業の打診があったことだ。クリタ・ヨーロッパは、フラクタの株主である栗田工業のグループ会社で、ドイツにオフィスを構えている。これまで、フラクタはイギリス市場に展開した実績はあるが、その他のヨーロッパ地域には進出していなかった。 クリタグループの欧州における地盤を活かして、デジタルトランスフォーメー

017:同質化の圧力への宣戦布告|クレイジーで行こう!第2章

成功者をリスペクトする開拓者の国アメリカ先日、ウォルター・アイザックソンの「Trailblazers Podcast」に出演したことをnoteに書いた。これは、僕にとっては本当に嬉しいことだった。苦労して、苦労して、本当に苦労して、ここまで来た。毎日毎日、一生懸命に社会益のことを考え、アメリカに辿り着いた。今は亡き母や、今も心から尊敬する姉を含め、家族に対しても自慢に思った。 コロナ中ということもあり、収録は自宅から音声で参加したのだが、実際放送がされてみると、そのクオリテ

016:「本物」を体現するエース、ヒロと羽鳥君の活躍|クレイジーで行こう!第2章

革命前夜:いま何を思うか水処理の世界で革命が起こる。僕たちは、一定程度の確度を持って、この方向性を心から信じていて、株主の栗田工業とともに、虎視眈々とこの革命の旗手になる日を狙っている。前回の記事でも書いたが、水道という公共用水の分野ではなく、産業用水、すなわち半導体産業の主要部材であるシリコンの洗浄に使われるような水の処理プロセス全体を次なる事業ターゲットに据えたのだ。 無数のハードウェアの接続によってのみ説明されてきた、このプロセス全体を、ソフトウェアの力を使ってより緻

015:水処理の領域にAIを! メタアクアプロジェクト始まる|クレイジーで行こう!第2章

連結売上高2,600億円のテーブルをひっくり返せ!イノベーションを起こすには、不確実性に身を投じる必要がある。 僕たちは世界の水処理大手企業である「栗田工業」とともに、あるイノベーションを起こそうと奮闘している。連結売上高2,600億円を誇る栗田グループのコア技術(プロセス)を、ソフトウェアによって抜本的に進化させる。教科書に書いてあることを勉強するのではなく、不断の挑戦によって、10年後、20年後に教科書に載ることを、世界で最初にやる。 栗田工業がフラクタの発行済株式数

014:若き外国人のアメリカ|クレイジーで行こう!第2章

キャンピングカーで寝泊まりしながら働く若いからこその大胆さ、勇敢さというものがある。フラクタのメンバーと話していて、久しぶりにその感覚を思い出した。彼ら、彼女たちの、希望にあふれた「BOLD(大胆)さ」は、一体どこから来るのだろうか。 ある日、フラクタのオフィスの駐車場にものすごく大きな自動車が停まっているのを見つけた。大きなキャンピングカーだ。駐車場の管理人に「あれはうちの車じゃないから、どかしてくれないか」とクレームを入れると、「あの車は、あんたの従業員が停めたものだよ