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026:情熱を秘める天才ジオデータサイエンティスト|クレイジーで行こう!第2章

地理情報システムを専門とするデータサイエンティストを探せ

フラクタのAIシステムは水道管の劣化を予測するため、地理情報システム(GIS)が非常に重要になる。特に、これから開発しようとしているプロダクトは、地理情報、すなわちジオデータを的確に扱う特殊な技術が必要となるため、専門的なスキルを持つ人が必要だった。

ところが、ジオデータの専門知識を持つ人は、一般的なデータサイエンティストよりもずっと人数が少なく、人材探しは困難を極めていた。

今でこそ、UberやGoogleマップといった一般向けのプロダクトにも地理情報システム(GIS)が使われているが、それ以前は、GISというとソフトウェア開発やデータサイエンスほどメジャーではなく、交通工学や都市工学など専門的な領域に特化した場面でしか活用の場がなかったのだ。

社内のエンジニアに聞いてみても、知り合いにはいないという。あらゆるつてをたどって、「誰かいないだろうか」と声をかけていた。するとほどなく、「GISに詳しい人がいる」という連絡が入ってきた。

仙石さんは、まさに僕たちが求めていた人だった。GISにのめり込み、東京大学で博士号を取得。その後にもGISを続けるために、2013年に会社を立ち上げた。また、地図の面白さに目覚める前は、地球環境問題に興味があったというから、社会益を求めるフラクタにとってぴったりの人だった。

まじめで静かなタイプだが、言うべきことはしっかりと言う。また、とても慎重で完璧主義だ。若いころはギラギラとしていたであろう情熱を、今も胸に秘めている。ところが、仙石さんが興した事業は大きく花開いていたとは言い難かったようで、もどかしさや悔しさも抱えていたに違いない。

僕はヒト型ロボットのSCHAFTのCFOをしていた頃から、なかなか陽の目を見ない天才技術者たちと接してきた。彼らの足りないところを僕がうまく補うことができれば、何倍もの力を発揮して羽ばたくことを知っている。その点で、フラクタと仙石さんはぴったりとニーズが合っていた。仙石さんはグローバルで活動したいとも考えており、シリコンバレーに拠点を持つところにも魅力を感じてくれたようだ。僕たちは仙石さんを探していたし、仙石さんも僕たちを探していた。心からそんな風に思えた出会いだったのだ。

僕が仙石さんとリモートで面談をしてから、入社が決まるまでたった3日ほどだっただろう。5月の中旬に、仙石さんがフラクタ米国本社の一員になることが決まったのだった。自分で事業を作ってきた仙石さんにとって、初めての「就職」だったらしい。

Google EarthでGISに目覚める

入社前に仙石さんから見せてもらったPDFのプロフィールは、非常に個性的なものだった。そこには、18歳のときに出会ったGoogle EarthによってGISに目覚めたことや、その後に研究と就職で迷った道のり、寝食も忘れて開発したプロダクトがうまくいかずチームが解散し、世界放浪の旅に出たことなどがつづられていた。

その資料からは、少年のような心持ちが見て取れ、非常にピュアな人だとわかった。仙石さんが本当に突き詰めたいこととビジネスの間に大きな溝があり、そこに苦しんでいるだろうことも見て取れた。

それでも仙石さんは、ずっと地図が好きなのだ。

僕たちは初めての面談で、大きなビジョンをたくさん語った。彼がいれば、僕たちがイメージしていた未来に早く近づくことができる。彼も同じ方向を見てくれるだろうことは、初めて話したときにすぐにわかった。

小さなお子さんがいるが、子育てをしながらとてもよく働いてくれている。僕たちは週に1~2回ほどリモート会議をして、方向性を確認しあっている。

「孤独だった」と言う仙石さん

フラクタ内で仙石さんが進めているプロジェクトは、4人ほどのチーム構成になっている。僕たちがやっていることは、仙石さんがずっと「作りたい」と思っているリアルなシティに似ているのかもしれない。ずっと夢見ていたものを、自らの手で作るのだ。

Fracta Leapの羽鳥君を紹介する回でも書いたが、データサイエンティストの仕事は泥臭いことが大半だ。整っていないデータを整備して、新しいものを構築していく。どこまで行っても「まだ早すぎる」という想いを抱きながら、それでも地道に作っていくのだ。それは、誰よりも早く理想の場所にたどり着くためだ。

その仙石さんも、マイク・リアンと似たようなことを言っていたことがある。フラクタに入る前までは、ずっと孤独を感じていたというのだ。新しいことを発見したり、アイデアを思いついたりすると「これはすごいぞ」と少年のようにワクワクする。ところが、それを周囲の人にうまく説明できず、イメージを共有できないというのだ。また、「そんなことできっこない」と、軽くあしらわれてしまうことも少なくないだろう。

ワクワクした気持ちを共有できないという、マイクとはまた違った孤独だが、それがフラクタに入ってから薄らいだと言ってくれた。大きなビジョンを一緒に目指していけるのは、仙石さんのような孤高の天才にとっては、孤独の解消につながるのだ。

本当に地道な作業が多いが、その先には仙石さんが夢見ていた新しいシムシティのような世界があり、さらには僕たちの信じる社会益につながっていく。僕たちが水道業界に起こそうとしている革命は、経済的に豊かでない人にとって大きな助けとなるはずだ。

以下のYouTube動画は、仙石さんがフラクタを代表して登壇したカンファレンスにおけるものだ。生仙石さんを見たい方は、見てみて欲しい(仙石さんが登場する場所に上手く飛ぶようになっている)。

(記事終わり)

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