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プロダンサーが教える!盆踊りの魔力10選 後編

盆踊りの魔力10選!
前編はこちらから!



こんにちは!
盆踊り、楽しんでいますか~?
盆ダンサー、高尾可奈子です。

今回は、私的盆踊りの魅力の後編です。
それでは、早速いきましょう!



御徒町駅前パンダ広場にて






新宿の花園神社盆踊り


【盆踊りの魔力 その6】


無限のレパートリー!


さて、みなさん
盆踊りの曲の数は、
全部でどれくらいあると思いますか?


正解は、数千曲!!!
一生かけても踊りきれないくらいの
曲数の多さなのです!


この中にはクラシックと呼ばれる
全国各地で長い歴史をかけて
歌い継がれてきた民謡や音頭があれば、

オバキュー音頭やご当地音頭など
昭和のレコード時代~現在のメディア時代に
生まれた大量の曲のなかで
ヒットして今も残っている盆踊り曲

さらには、
マツケンサンバやダンシングヒーローなど
人気の懐メロや平成のヒット曲が
盆踊りの曲として使われて大ブームに
という曲もあります!


では、
なんでこんなにレパートリーが多いの?
という純粋な疑問が生まれてきますよね、、



私は、その答えのひとつは
盆踊りの基本振り付けの、究極の普遍性。
ここにあると思うのです!


日本人に盆踊りの振りをやってみて!
と言えば、もしかすると
全員同じ動き、、になるかもしれません。

みんなが想像する動作って、
数個くらいに限られてきますよね?




それくらい、決まった動作が確立されている。

長い年月をかけて伝えられて広められてきた動きの形が、その間に取捨選択されて、
どんどん研ぎ澄まされて、
今の究極の美しさにたどり着いたと思うと、
なんだか凄いことだと感じます。


日本人のDNAに刻み込まれた、
シンプルに洗練された動作の繰り返し。

この普遍性のある基本動作のお陰で
盆踊りはすぐに真似することができて、
踊りに入りやすいため、
レパートリーも無限に増やすことが
可能だったのではと思います!


巣鴨とげぬき地蔵 演目にて


【盆踊りの魔力 その7】


贅沢すぎる生歌生演奏!


今年盆ダンサーになった私は、
どの盆踊り会場もはじめてなので
知らないことにどんどん出会っています。

その中でも、特に衝撃的だったのは、
オール生歌生演奏での盆踊り!!


CDやカセットを機材を使って大音量でかけて
それに太鼓を合わせて、、
という盆踊りの音楽は定番なので
想像できるかなと思います。


しかし!
会場によっては、それにさらに
尺八、篠笛、三味線、箏、鼓など
和楽器が!

さらにさらに、歌い手さんの生歌まで
披露されることもあるんです!!


音源なしの完全生歌生演奏なんて
それだけで気分が高鳴りますよね!



ダンサー視点だとびっくり仰天なんですよ。

なぜなら、
踊りのために踊りが主役の場で
フルバンドレベルの
生歌生演奏をつけて頂けることなんて、、
本当に稀だからです!


例えば、
クラシックバレエの、日本で一番有名な教室のひとつでは、レッスンの際に、
ピアノの生伴奏に合わせて
踊りの稽古を受けることができるそうです。

この場合、ピアニストさん1人で音楽を完結させることができて、歌い手もいませんね。
(バレエは、基本的にクラシック音楽に合わせて踊ります。)


他にも、
日本のミュージカルの舞台では、
フルオーケストラの場合もありますが、
予算などの都合で録音された音楽が
流されることも多いです。


私が取り組んでいるオペラでも、
音出しはピアニストの方1人のみで、
ダンスシーンでもピアノの音楽に合わせて
踊っています。
そして、ダンスについては
あくまでも「歌に華をを添える芸術」
という考え方なのです。


ちなみに、日本の伝統的な舞台芸術の、
能や歌舞伎、日本舞踊などは
和楽器や囃子、歌が
ふんだんに取り入れられている、、
そんな勝手なイメージです!


一流の芸を観るためには、しっかりお金を出して観に行く必要がありますが、

開かれた盆踊り会場では、
CDを出している民謡などの歌い手さんや
楽器の演奏者の味わい深い生演奏で、
自由に踊れるなんて、素晴らしいですね!!



歌舞伎町の広場で盆踊り



【盆踊りの魔力 その8】


集団でゾーンに入る?


皆さんはゾーンという言葉はご存知ですか?

よく聞かれるのは、
有名なアスリートやスポーツ選手が
高いパフォーマンスや成績を収めたときに
ゾーンに入っていた、、というもの。
試合後のインタビューなどで、
「あのパフォーマンスの時の記憶はあまりないです。集中していて、時間がすごくゆっくり流れるように感じました。」
という話をしているのが印象的ですね。


ゾーンに入る、とは
高い集中力を発揮して、身体も精神も極度に高められ、素晴らしい能力を発揮できる状態のことです。


すなわち、無我状態。
そして、快楽物質であるドーパミンが
どんどん脳内に出てくる状態なのです!


私は、これこそ盆踊りが病みつきになる理由なのだと体感しました!

なぜなら、、
盆踊りには、ゾーンに入るための条件が
揃いに揃っているからです。


〈条件①〉同じ振付をひたすら繰り返す

この威力は凄まじいです!
すべての動作は、繰り返すことで習慣化されていきます。頭で考えなくても、無意識で身体を動かすことができる状態です。
この、無意識の部分を呼び覚ますことが、
ゾーンに入る重要な条件なのです。

スポーツ選手も、練習では同じ基礎訓練を
地道に繰り返し行っていたりしますよね。
そう考えると、盆踊りって実は
精神性の高いスポーツなのでしょうか?

〈条件②〉輪を乱せない緊張感

これも、重要な要素です。
盆踊りは、基本的にアドリブ的な動作はありません。決まった動作をリズムに合わせて繰り出すためには、高い集中力が必要です。
さらには、前後左右の人とぶつからないようにしながら手を広げたりしなければいけませんから、広く空間を意識しながら動く。
常に動きながら集中する条件が揃っています。

〈条件③〉絶妙な音楽のリズムと速度

音楽の本能に働きかける効果も大きいです。
盆踊りの音頭は、早すぎず遅すぎず
身体に心地のよい自然な速度ですよね。

リズムも、
「ドドンガドン」「ヨイサッサ」
といったリズムが有名でしょうか?
これは、日本人の身体に長い年月かけて染み付いている心地のよいリズム。

先程の緊張感もありながら、リラックス状態も揃っているのが、ポイントです!




踊りの輪に加わると無性に高揚感を感じるのには、こんな理由がありました!


精神世界の界隈では、宇宙と繋がると言われていたりしますが、ちゃんと脳科学的に証明できちゃうのは面白いですね。


健全にトランス状態を楽しめる凄い娯楽が
盆踊りなんです!



渋谷キャストの盆踊り



【盆踊りの魔力 その9】


きらびやかな非日常世界へ!


現代に生きる私たちが、盆踊りに参加すると
非日常のドキドキを味わえます!

どこが非日常かというと、、

〈非日常ポイント① 視覚〉
浴衣の色使いって、
洋服では決して組み合わせないような
鮮やかカラー✕鮮やかカラーで
派手な色が多い印象です。
そして、季節の柄が全面に入っていたり
涼しげで華やかですね。

みんなが浴衣を着て集まってダンスする光景は、色んな色が咲き乱れていて
風流という言葉がふさわしい景色です!

さらに、提灯の赤くキラキラした色や
法被の色、露店の色などなど
見ているだけで気分が高まるような
日本的な美学が詰まっているのです!
どんどん色を加えることでデコラティブに
華やかにしている色彩感覚は面白い!

〈非日常ポイント② 聴覚〉
皆さんは、普段どんな音楽を聴いて生活していますか?
ポップス、ロック、ジャズ、クラシック、、
色々ジャンルはありますが、普段から
民謡や音頭調の音楽を聞いている方は、
特に若い世代ではほぼいないのではないでしょうか?
そんな馴染みのないメロディーやリズムを思い切り聴けちゃうのが盆踊りなんです!
祭りという特別な記憶や感覚と繋がる音楽は
新鮮な気分にしてくれるのです!


〈非日常ポイント③ 感覚〉
盆踊りでは、足の動きが特に重要です。
振付の中で地面を蹴る動作によって
地上に降りてきたご先祖様を鎮める。
そんな意味が込められているのです。

下駄や草履を履いて、土やタイルやアスファルトを、腰を入れて強く踏みしめる。
このときの身体の感覚は他にはありません!

浴衣の大きな袖が動きでなびいて、肌にあたる感覚。
締め上げられた浴衣で、足元が動かしにくくなる感覚。
他にも様々な発見があることでしょう!


盆踊りでは露店が出ていることも多いため
踊りの休憩がてら、美味しい食事で
味覚や嗅覚も満足できますね。


このように盆踊りでは新鮮な五感体験ができることは、大きなポイントです!
五感を満たすと心も身体も健康に、、
良いことずくめです!



隅田川おどりの地上ステージ


【盆踊りの魔力 その10】


古典とポップス、奇跡の融合!


最後はこれからの盆踊りの可能性について!

ここ数年、盆踊りの一番の盛り上がり曲が、
荻野目洋子さんの「ダンシングヒーロー」
になっていることをご存知ですか?


どの会場でも、この曲が流れ出すと、、
なんとなく眺めていたお子ちゃまやお母さん
まさにバブル世代の方や
海外の観光客や若い世代のグループなど
次々に踊りの輪に入ってきて、掛け声出して
ノリノリで踊る光景が見られるんです!


テレビでバブリーダンスを何度もみた子どもたちは親近感があるようですし、その親世代も知っている。
ダンシングヒーローが青春時代という真ん中の世代の方にはたまらない選曲。
そしてディスコ調の歌謡音楽は、リズムが現代的なので海外の方のリズム感にもうまくはまる。

振付も、なかなか面白いです。
浴衣で踊れるスケール感であり、
盆踊りの基本動作がベースになっていて、
振りの数も最小限で覚えやすく、
ジョン・トラボルタのようなディスコな
キメポーズもあったり、
グルーヴ感のある動作もある。

まさに日本の伝統と現代文化、洋文化が
繋がった、そして世代が繋がった、
奇跡のダンスなのです!



この他にも、
マツケンサンバII、昭和歌謡曲など
平成や昭和の時代に大ヒットした音楽が、
数十年の時を超えて、現代盆踊りで
リバイバルヒットしている例もいくつかあります。

盆踊りは無形の文化として、長い年月をかけ
どんどん磨かれてきました。
映像がたくさん出回るようになる以前は、
人から人へ動きを見せて動きを覚えて、、
ダンスは無形ですから、人がすべてでした。

現代のメディア時代においても、やはり映像資料には可能性もありながら、限界もある。

私もよく、新しい振りを渡される際に、
映像でも頂くことがあるのですが、
どこでも練習できる反面
習得に時間と労力が掛かってしまったり、
間違えて覚えていたりすることがあります。


やはり、観てその場で真似るという形が
自然な舞踊の形なのでしょうか。



盆踊りに狂う盆オドラーが各地に増えている
その一方で、
特に子供の盆踊り離れが進んでいるのかな、
と実際の現場を見て、思います。



この素敵な日本文化を人から人へ
伝えていくために、
みんなに愛される盆踊りへとこれからも
進化していくことが楽しみですね!



新宿花園小学校にて




さて、盆踊りの魔力でした!
最後まで読んで下さってありがとうございます!!

盆踊り1年目のプロダンサーとして
盆踊りの引き込まれる魅力を出してみました
まだまだこれから勉強の日々です!

是非、これからの記事にも
ご期待下さい!
高尾可奈子でした!






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