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リサーチ&データ活用の教科書⑤:P&G流の問題解決、仮説の「絞り込み」とサクセス・クライテリアについて

読書ノート(110日目)
さて、今日もこちらの本の紹介です。

著者の米田さんは元P&Gの執行役員で
CMK(Consumer Marketing Knowledge)部門
のヘッドを務めていらっしゃった人物。

P&Gのマーケティング戦略をデータで検証して
成功の確度を高めていく、そのための秘訣を
知ることができればと思って読んでいます。

今日からは前回紹介した
P&Gでの問題解決の枠組みである
ダブルダイヤモンドプロセスのうち
「絞り込み」についてです。

・「絞り込み」のためのリサーチ&データ活用
最適な判断基準の設定が「絞り込み」の第一歩
サクセス・クライテリア(成功判断基準)を定める
 目的や目標値を達成できそうだと自信をもつために、
 市場導入や資金投入の前にクリアすべき基準
・例えとしては大学受験の時の模試に似ている。
 「志望大学の合格に必要な偏差値」がサクセス・クライテリア

・事前にサクセス・クライテリアを決めるには
①データベースを利用する
・P&Gでは発売前の新商品コンセプトはすべて市場導入前調査にかける
 ことがルール化され、その結果を自社内でデータベース化していた
・過去の商品コンセプトと購入意向率と市場実績などがデータベース化され
 ていれば、市場実績と高い相関がある項目や貢献度の高い要素を見つけ、
 判断基準を決める材料にすることができる

・言葉の定義づけは最初にするべき重要事項
 例えば「良い広告であるかどうか」を判断するときは、
 「一度見ただけで覚えてもらえる広告」のことか
 「多くの人に好感を持ってもらえる広告」のことを良い広告とするのか、
 その目的の明確化が重要となる

②(データベースが無い場合)ロールモデルをベンチマークする
・過去の成功例や競合商品など、ロールモデルとなる商品を
 ベンチマークし、それを参考にする
・例えば100億円の売上を目指すのであれば、これまでに100億円を
 達成した自社や他社ブランドを参考にして、現在検討している新商品が
 100億円に到達する可能性があるかを推し量ることができる

「絞り込み」の時の注意点について
注意点①:サクセス・クライテリアは参考値にすぎない
・データベースから見える判断基準は100%正確に問題解決を
 約束してくれるものではない。これは大学模試でも同じ。
 合格率80%でも不合格にもなれば、合格率20%でも合格することもある

注意点②:似ているデータ同士を比較する
・まったく性質の異なるデータ同士を比較しないこと
 例えば、ターゲットが異なるカテゴリーのデータを参考にしない

注意点③:最適なターゲットユーザーを定める
・誰の意見を聞くと課題解決の可能性を予測できるのかを
 事前に熟慮して定めること。
・20代の100人と50代の100人にアンケートした場合では、
 リサーチ結果が変わる可能性が大いにある
・構成比の大きいターゲットに注目してシェアを優先するのか、
 市場浸透率が低いターゲットに注目して市場創造を目的とするのかは、
 プロジェクトの目的に応じて熟慮して決める

検証段階に入る前に注意すべきことは、
 
検証前の段階の「仮説出し」が十分に行われたかを確認すること
・仮にアイデアが1つしかないと、たとえサクセス・クライテリアを
 満たしていなくても、「何もないよりは何か出した方が良い」
 「仕方ないけれども…」といって市場に出してしまう事もある
・そして結局、市場で「検証」において予測された通りに失敗してしまう

・「絞り込み」の検証に入る前提として、
 「仮説出し」のプロセスが十分に行われたかを確認する
・もしまだアイデアが不十分だと判断したら、検証には進まないこと
・また、サクセス・クライテリアを満たすほどの解決策が出てこなかった
 場合は、「とりあえず一番いいものを通す」のではなく、
 「仮説出し」のプロセスに立ち戻ったり、もしくは初めの「現状理解」
 にまで立ち戻り、ダブルダイヤモンドプロセスをもう一度始めるべき

今回はP&Gの問題解決の流れの
ダブルダイヤモンドプロセスでの
「現状理解」「仮説出し」に続く
「絞り込み」についてでした。

何かの問題解決をしようとした際に、
つい最初の方に直感的に思いついた
「HOW(解決策)に飛びついてしまう」
という「結論ジャンプ」になりがち
というのは、
日頃から僕自身の戒めとして
注意しているつもりでした。

今回の学びの中でも特に大きかったのは、
サクセス・クライテリアを事前に定め、
それを満たしていない場合は、
仮説出しや現状理解からやり直すべき。

というのは、結論ジャンプを防ぐ方法
として、凄く有効だなと感じました。

つい、直感的に思いついたアイデアや
解決策にとらわれてしまい、
「現状で代案は無いから
 何もしないよりも何かした方が良い」
といった理由で実行に移してしまい、
事前に予測できた目標未達の悲しい結果を
未然に回避することができそうです。

本書では、今回の5回の読書ノートでは
紹介しきれないほどの具体的な事例も
多数紹介されていますので
もしご興味あれば、ぜひお手に取って
読んで頂けたらと思います。

ということで、今日はこの辺で!
それではまた―!😉

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