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(2/2)【「甘やかす」と「甘えさせる」の整理】子育てハッピーアドバイス(明橋大二)

先の記事では、「甘え」を十分に味わい、そこから出る安心感をエネルギーに意欲を燃やし、自立に向かっていくということについてまとめました。
子どもの自立のためには「甘え」を満たしてあげることが重要なのです。

「甘え」を満たすために大人のアクションは大きく分けて二つあります。

ひとつは「甘やかす」
もう一つは「甘えさせる」

今回はこれら二つの行為について、整理していこうと思います。


「甘やかす」と「甘えさせる」の共通点

「甘やかす」と「甘えさせる」の共通点は、
子どもからの声やサインがスタートにある
ということです。

「抱っこして~」
「おもちゃ買って~」
「おやつ食べたい~」
「(転んで)痛いよ~」

一日に何十回、何百回と寄せられるこれらの「甘え行動」にすっかり疲れてしまう大人は少なくありません。

子どもの甘えを満たし、安心感と意欲を育てることが自立への道なのですが、その甘えの満たし方にも質の低さ、質の高さがあります。

「甘やかしすぎ」の問題点

「甘やかす」行為は、過干渉ともいい、大人の都合で子どもの行動を支配することだと明橋さんは示しています。

ここでは、代表的な「甘やかす」行為をあげ、

  • それらがどのような大人の都合を内包しているのか

  • 子どもの発達にどのような影響を及ぼすか

ということについて考えていきます。

我慢できることを我慢させず、物質的な要求(金やもの)をそのまま受け入れる

子どもの「欲しい!」をただそのまま鵜呑みにして何でも買い与えるのは、

・ものを買い与えることで「パパ(ママ)大好き!」という承認を得る
・駄々をこねる子に対応するわずらわしさ、周囲の冷ややかな目を回避する

という大人の都合が隠れているかもしれません。

しかし、金やもので埋めた愛情は長続きしません。一時的、短期的には愛情を感じても、次はもっと大きなものや高いもので親の愛情を測りに来るようになります。

また、「駄々をこねる」という行為は、「自己主張ができる子になるための通過儀礼」でもあります。あっさりと要求を受け入れてしまっては、対話・交渉の余地が生まれません。

・「へえ、そんなに欲しかったの。どうしてそんなに欲しいなって思うの?」と理由を説明させる
・「今は買わないけれど、家に帰ったらおやつを食べようね」と別の解決策を示す

などと工夫しながら子どもとの対話をしながら、その後の対応を楽しみましょう!「そう来たか!」みたいな展開、割とあって笑えます。

時には「いつもがんばってるし、今日は特別に買っちゃおう!」という日があったってOKです。
旅行先のお土産屋さんで、「何でこんなもの買ったんだろう?」というようなものを買うのもいい思い出ですもんね。私は修学旅行で木刀こそ買いませんでしたが、パチモンのTシャツを買って親にあきれられたことがあります。

そういえば、
「これ買って!」
「やだやだやだ!欲しい欲しい欲しい!」

と、スーパーのお菓子コーナーやショッピングモールのおもちゃ売り場で駄々をこねて泣き叫ぶ子どもの姿を久しく見なくなりました。皆さんはどうですか?

そういう子は確かに育てやすいですが、
「我慢ばかりしているのではないか」
「親の顔色ばかり見ている子に育てていないか」
「自己主張は出来ているだろうか」
と、大人に都合のいいことばかり考えずに逆のことを考える必要があるかもしれません。


できないことを決めつけて、チャレンジさせることなく大人がやってあげる

せっかく靴を自分ではこうとしたり、洗濯物をたたもうとしたのに、大人がさっさとやってしまうことはありませんか。

先回り指導をするときや、大人が手を出してやってしまうときは、時間や効率、大人の都合を優先していることが多いです。

先回りして失敗させないでいると、失敗から学ぶという大チャンスを逃すことになります。

子どもは失敗をするものです。
未来を予測する力がまだ育っていません。
そして、失敗をしたときこそ、「次失敗しないためにはどうしたらいいか」を学ぶことができます。

言うまでもなく、子どもにできっこないことにわざと取り組ませるのはNG。
能力と認識の乖離を引き起こしてしまい、「どうせできっこない」という子に育ってしまいます。


「甘えさせる」とはどのようなことか

「甘やかす」と「甘えさせる」の決定的な違いは、
表面的ではなく、本質的・根本的なアプローチをすること
にあります。

  • 金やもので満たすのではなく、愛情で満たす

  • 大人の都合で先回りするのではなく、子どものペースを守り、チャレンジの機会を尊重したうえで手を貸す

ということが大切です。

情緒的な要求を受け入れる(抱っこや膝の上に乗ってくる)

スキンシップを求めたりや赤ちゃん返りをする子はかわいいですね。
弟妹が産まれたときの兄姉は「僕のことも見てよ」と、甘え行動が増え、赤ちゃん返りをする子がいます。

そうしたスキンシップを求めたり赤ちゃん返りをしたときにこそ、機会を逃さず触れ合うことが大事です。
時間がなくて大変な時も、頭をなでてあげるとか、ちょっとした遊びをするとか、できる範囲で応えてあげれば、その分親への信頼と自分への信頼を高めることになります。

「忙しいから、あとでね」
「もう○年生なんだから」
と冷めた対応をしていると、親が自分を愛しているのかどうか確信がもてず、自分に価値があるかどうかわからないまま成長してしまいます。

甘えが満たされていけば、自然と「もうベタベタしなくても親が自分を愛してくれているのはわかってるから平気」という状態になります。
甘えを求めてくる今のうちが花。
子どもとのコミュニケーションを楽しみましょう。

子どもが取り組んでみて、できなかったことを手伝う

子どもが「やってみよう」と思い立って取り組んでみたものの、できないということはたくさんありますね。
その「見守る」という行動が、子どものペースを尊重することにつながります。

先回り指導では失敗から学ぶ機会を失うことにつながると書きましたが、先回り指導をしさえしなければ、子どもの学びや意欲向上に自然とつながるのです。

失敗をしたときは「ナイスチャレンジ!」と認めながら「じゃあここは手伝うね」と嫌味なく手を貸してあげればいいし、その失敗から学ぶために「次はどうしたらいいかな」と投げかければOKです。
手伝ってくれる親への信頼と、ヘルプに対応してもらえる自分への価値を高め、自己肯定感が高まります。

どうしても我慢できないことは助けてあげる

子どもが生活するなかでどうしようもないことは助けてあげましょう。
チャイルドシートの固いシートベルトを「自分でやってみなさい」だとか、病気になって熱があるのに様子を見に行かないだとか、そんなことはしませんよね。
ちょっとだけ助けてあげすぎるくらいでいいんです。


まとめ:表面的な体裁よりも、子どもの心に愛情を届けることが最優先

「甘やかす」より「甘えさせる」の方がよいことは何となくわかっていただけたでしょうか。

しかし、目の前の子どもの特性や受け取り方によって、甘やかしたのか甘えさせたのかの判断は難しいこともあります。
明確に区別できないことも多いので、あまり神経質にならずに、まずは子どもとの会話を楽しみましょう。

ただ、どこかで「表面的な解決になっていないかな?」「大人の都合を優先していないかな?」と立ち止まって振り返る視点は持ち続けたほうがいいのではないかな、と思います。

私の小さな具体アクション①
大人のエゴや大人の都合になっていることを押しつけないように、対応について迷った時は妻に「どうだったかなあ」と聞く

私の小さな具体アクション②
娘、息子に本当に愛情を伝えるために、一緒に遊ぶときはスマホを手の届かないところに置く

私の小さな具体アクション③
普段は娘のワガママでおもちゃやお菓子は買わない。
その代わり、特別なタイミングでプチ無駄遣いを一緒に楽しむ。


最後まで読んでくださってありがとうございました!

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また、コメントも本当にありがたいです。あなたのコメントから私も気付きを得て、また次の学びにつなげていきます。

【次回予告】
『「学校」をつくり直す』(苫野一徳)を読んで、公教育の問題と探究学習の価値について考えたいと思います。



大人の都合で子どもをコントロールしない「ほめ方」「叱り方」についてはこちらをどうぞ

余談
娘とお風呂に入って体を流していたら、突然「お風呂じゃなくて歯磨きがいい~~!」と泣き叫び始めました。
「どうしたの」と聞くと、「虫歯になっちゃった~~泣」

虫歯?なってないけど?
とりあえず「お風呂より歯磨きしたくなっちゃったの?(ギャーギャー泣きながら「うん」)いったんタオルで拭いて出ようか?」

濡れた体を拭いて、お風呂から出て口をよく見ると、夕食の紫がかった雑穀ご飯の粒が歯と歯の間に挟まって、それを鏡で見て虫歯と勘違いしたようです。
なに、そのおもろい勘違い笑

「これは虫歯じゃないからパパがシャカシャカして取ったげる!」
「ほら、全部取れたでしょ」
と明るく仕上げ磨きをすると、
「Sちゃん、虫歯かと思って怖くなっちゃったの~~」
と甘えてきました。

ユーモラスに対応はしましたが、その「怖さ」は娘にとっては本物で、今までに味わったことのないレベルのものだったのだな、と感じました。
私たちはある程度世界を解像度高く認識できますが、その分麻痺してきた部分も随分あるのだと思います。
娘、息子がこれから味わうフレッシュでみずみずしい感性が表れる瞬間を邪魔しないようにしたいな、と思いました。

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