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(1/2)【十分に甘えられた子こそ自立する】子育てハッピーアドバイス(明橋大二)

「うちの子は甘えてばかり。これで将来自立できるのかな?」
「ついつい厳しく接してしまうのだけれど、子どもに嫌われてしまうんじゃないか?」



著者 明橋大二さんってどんな人?

明橋大二さんは精神科医

児童相談所嘱託医・小学校スクールカウンセラー・NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長を歴任しています。

テレビやラジオの出演も多数あり、子育てに悩む親に寄り添いながら日々寄せられる相談に応えている方です。


子育てハッピーアドバイスシリーズは読みやすく、名作ぞろい

子育てハッピーアドバイスシリーズは累計500万部越えの超人気シリーズです。
第1作目のこの本以降、年代(0~3歳、4~6歳、小学生、10代からなど)に特化したシリーズや「大好きが伝わるほめ方叱り方」シリーズなど、次々に発行されています。(私もごく一部しか追えていませんが、どの本も実用的で、読んだ後にほっと安心できます)

さらに、これらのシリーズの特徴は内容をイラストとマンガでわかりやすく解説しているところにあります。

文字がびっしりの紙面ではなく、行間の空いた構成に太田智子さんのかわいくてユーモラスな漫画やイラストがちりばめられ、子育てや仕事で疲れていても手に取りやすいです。しかも何とフルカラー!


この読みやすさは他にないと考え、クラスの保護者の方にこのシリーズの本を貸したり、職員室の共用スペースに置いてみたりしました。
読んだ方からは「おもしろかった!」「役立った!」との声を頂きました。

おすすめしてきた本はいくつもあれど、実際に読了してもらえた本は限られます。この本は読み手の数々のハードル(時間がない、難しそう、本を読む習慣がない・・・など)を乗り越え、私の身の回りで読み継がれた数少ない本なのです。


さて、この本から学ぶことはたくさんあって絞り込むのが大変だったのですが、今回は特に「甘えと自立」という視点から私が特に学んだことを書いてみたいと思います。


甘えない人が自立するのでなく、甘えていいときに十分甘えた人が自立する

甘えさせないことが自立につながるという風潮、ありませんか?
親や教師の言うことを着実に遂行できる子が自立に近づく、多少大変なことが目の前にあっても「粘り強く」「諦めないで」「がんばる」のが自立につながる・・・そんなマッチョな思想の感じ。


そんなイメージに違和感はありつつも、明確に対抗できない私。
著者の明橋さんは、そんなモヤモヤに対してこう答えています。


甘えと反抗、依存行動と自立行動をくり返してだんだんと自立に向かっていく

え?どういうこと?

どうやら自立とは、あるラインに達したから「自立した」と呼ぶような、そんなゴール設定のような捉えではなく、甘え(依存行動)と反抗(自立行動)を往還していく過程の中の一部ということのようです。



自立のためには甘えが絶対的に必要

甘えとは、一言で言うと相手の愛情を求めることです。

甘えの気持ちが満たされると、甘えさせてくれた相手に対する信頼を高めます。
「お母さんは僕を愛してくれる」
「お父さんは私を見ていてくれる」
「先生は私の気持ちをわかってくれる」

それと同時に、甘えの気持ちが満たされると、自分に対する信頼を高めることにもなります。
「僕はお母さんに愛される価値のある存在である」
「私はお父さんに見守ってもらう価値がある」
「私は先生から心を寄せてもらうに値する存在だ」

こうして安心感を育てることに成功すると、人間関係も豊かになります。
他者に寛容になったり、少しのことでへこたれなかったりするのです。


ところが、甘えが満たされないと、相手に対する怒りが生じ、不信感を抱きます。
「お母さんは僕を抱きしめてくれなかった」
「お父さんは私を見ていてくれなかった」
「先生は私の気持ちなんかこれっぽっちもわかってくれない」

それと同時に、自分は甘えさせてもらえるだけの価値のない人間だという認識を強めてしまいます。
「そんな僕は甘えさせてもらう価値のない人間だ」
「そんな私は愛してもらう価値のない人間なのだ」

こうして安心感を育てることができないと、人間関係が希薄になります。
他者を攻撃したりすぐに被害的な思考になったりします。

「幼少期に甘えさせる経験が足りなかった」と後から悔やむのはしたくありません。
今日はさっそく娘の「抱っこ~~」に即応しました。笑



子どもの心が大きくなっていくサイクル

子どもの心が大きくなっていくサイクルは、4つの要素があります。そして、その4つの要素をぐるぐるとくり返しながら、少しずつ心が育っていきます。

①安心感を感じる

甘えさせてもらうことで他者への信頼と自己への信頼を高めます。
安心感は自立の原動力です。
正しさ、厳しさ、強さも生きていく中では必要ですが、その根っこや土台は安心感(自己肯定感)によって支えられていることを心に留めましょう。
確固たる自己肯定感の土台の上に、初めて「しつけ」が乗っかります。
自己肯定感が固まっていない子に知識としてのしつけを数多く与えても、土台が弱くてすぐに倒れたり崩れたりしてしまいます。

②不自由さを感じる

甘えてばかりいる小さな子どもも、何もしようとしないということはあり得ません。
「こんなことをやってみたい」
「自分で靴を履きたい」
「自分で考えたことを成し遂げたい」
イヤイヤ期の面倒くささは、裏を返せば「意欲的」ということなのです。
イヤイヤ期は自己主張ができる人間になるための通過儀礼として、つまり自立につながる大事な時期として、受け入れましょう(一つ一つは確かにめんどくさいけど!!)。
もしイヤイヤ期がない子どもがいたとしたら親は楽でしょうが、裏を返せば大変心配なことかもしれませんよ。

③小さな自立を成し遂げる

「やりたいことをやれた」
「少しだけ難しいことができた」
という経験を味わい、子どもは満足な気持ちを味わいます。
私たち大人はもうその感動を味わえないくらい長く生きてしまいましたね。
でも子どもたちはどうでしょう。
何でもないような出来事でも、もしかしたら体が飛び跳ねるような感動、身震いするような喜びを味わっているかもしれません。

④不安が強くなり、依存の世界に戻ってくる

しかし、しばらくすると別の心が出てきます。
「もっとやりたいことがあるけれど、どうしたらいいか分からない」
「一人ぼっちではさみしい」
「この気持ちを抱えていられない」
といった気持ちが強くなると、また安心感を求めて甘えにやってきます。
ここでまた十分に充電をして、次の意欲を高め、小さな自立を獲得しに出撃していくのです。


①から④の一つ一つを子どもが十分に味わいながら、サイクルが回っていきます。
子どもによってはどんどん回るかもしれませんし、ゆっくり回るかもしれません。

これでいいのかな?と迷うこともあると思いますが、子どもの性格や特性、タイプによって取るべき手立ては様々です。

少なくとも、子どもが不安を感じて後ろを振り返った時に、アイコンタクトをしたりうなずいたりしてタイムリーに安心感を届けられるように、子どもから目を離さないとともに、心を寄せておく必要があります。



【ポイント】甘えと自立の行ったり来たりは、子どものペースでなければならない

実際の生活では、安全性や時間の制約、親の忙しさもあって、なかなか子どものペースでものごとを行うことができず、大人の都合が優先されてしまいがちです。

「お母さーん、服着替えるの手伝ってー」
「お母さん今忙しいんだから、そのくらい自分でできるでしょ!もう1年生なんだから」

子育てハッピーアドバイス(明橋大二)
甘えない人が自立するのでなく、甘えていいときに、十分甘えた人が自立するのです マンガより

「自分でたたむ!」
「あんたまだ子どもなんだからできるわけないでしょ!時間ないんだからちょっとお母さんに貸しなさい」

子育てハッピーアドバイス(明橋大二)
甘えない人が自立するのでなく、甘えていいときに、十分甘えた人が自立するのです マンガより

この例では自立はもちろん、自己肯定感は育たず、意欲も下がります。
適切に甘えさせるためには、

情緒的な甘えに応えてあげる
子どもがやろうと思ったことを尊重してやらせてみる

ということが大切だということが分かります。



子どもの自立のために「甘え」に対するイメージをとらえ直そう

子どもを自立させていくためには、子ども発のアプローチを適切にキャッチし、それを尊重することで十分に安心感(人への信頼と自己肯定感)を育てていくことが大事だということがよくわかりました。

生活していれば大人の都合はどうしても生まれてきます。
子どものペースを守るということは、子どもの言いなりになるということではありません。

大切なのは、大人の都合のチューニングを少し落としてあげて、子どもに寛容に接することです。

私の小さな具体アクション①
「ナイスアイデア!」「ナイスチャレンジ!」と伝える

やり方が正しいかどうか、適切かどうかよりもその子の安心感、受け止めてもらえた感の方を優先することで、他者への信頼と自己肯定感を高めるようにしていきたいと思います。

私の小さな具体アクション②
大人の都合が頭をよぎった時は、やりたいことを邪魔しない程度に対案を示す

風呂上がりに娘が踏み台をひっくり返してそりのようにして遊ぼうとしていました。
フローリングが傷つくのが心配で(もうすでに傷だらけなんですけど笑)、「これに乗って遊びたいんだよね。床に傷がつくからさ、タオルを敷いてやらない?そしたらパパも引っ張りやすいし一石二鳥!(一石二鳥の言葉の意味は絶対に分かってない)」と言いました。
すんなり受け入れてくれましたよ(^^)

そんな私も別の場面で地雷を踏み抜いちゃったんですけどね・・・反省・・・


私の小さな具体アクション③
先回り指導をしないように、「どうしたいの」とまず聞く
大人がやってしまったほうが早く済むし楽です。でも、子どもの側がそれを求めているとは限らないので、どうしたいのかを聞くようにします。
相手は3歳ですが、もう立派に自我のある人間です。
人間的に対等であることを忘れずに接していこうと思います。


と、「甘え」の捉え直しについて考えてみましたが、「甘えさせる」はよくても、「甘やかす」はどうやらよくないことのようです。
その線引きはあいまいなこともあるし、ぱっと判断がつかないかもしれません。

次回はその「甘えさせる」と「甘やかす」の違いについてまとめていきたいと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

大人の都合で子どもをコントロールしない「ほめ方」「叱り方」についてはこちらをどうぞ



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