見出し画像

(1/4)【まずいほめ方編】モンテッソーリ教育・レッジョエミリア教育を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士が語る自分でできる子に育つほめ方叱り方(島村華子)

「子どもをよくほめているつもりだけれど、いまいち手ごたえがないなあ」
「ほめているのに子どものチャレンジ精神やモチベーションが高まらない…」
「ほめられないと自主的に行動できないところがある」
「そもそも、『ほめる』って子どもの何をどのようにほめたらいいんだ!?」

子育てや教育に関わる私たちは、「ほめる」「叱る」と無関係ではいられません。

本書では、「自分で考え、自分で動き、未来を切り拓ける子に育ってほしい」という願いを軸に、大人のエゴのためではなく、本当に子どものためになる教育を「ほめ方」「叱り方」という二つの視点から詳しく解説しています。

私たち大人が普段何気なく言っている「ほめ方」や「叱り方」のくせに気づき、それらを意識的に少し変えるだけで、子どもとよりよくつながることができると筆者の島村さんはいいます。

今回は「ほめ方」に特化してまとめてみたいと思います。


筆者 島村華子さんってどんな人?

筆者の島村華子さんはオックスフォード大学で児童発達学の修士・博士課程を修了した、モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育の研究者です。

「モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育ともに子ども一人ひとりを生まれながらに能力を持ち合わせたパワフルな学習者であるだけでなく、権利をもった一市民としてみなす」という視点から、親のスタンスの原則やほめること、叱ることの種類、問題点とそれを回避する上手なテクニックをていねいに解説してくれています。

具体例の前に原則や種類を明確にいくつか箇条書きで示してからそれぞれの項目について詳しい説明があるので、非常に読みやすく、分かりやすいです。
加えて、いくつかのケースに対して悪い例とよい例、応用例を具体的に示しているので、イメージがつかみやすいです。

例 テストの点数がよかったとき
 ✕ やっぱり頭いいね!(おざなり・人中心)
 ○ 毎日のがんばりの積み重ねだね(プロセス中心)
<こんな言い方もGOOD‼>
 一つひとつの問題に丁寧に答えているね(もっと具体的に)
 今回のテストで何をいちばん学んだ?(自由回答式の質問)

モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士が語る自分でできる子に育つほめ方叱り方(島村華子)
第2章 自分でできる子に育つほめ方 より引用

まずいほめ方の種類と問題点を知ろう

ここでは、筆者の島村さんがあげるポイントと私のかつての失敗を照らし合わせて考えていきたいと思います。

まずいほめ方は大きく2つ

「すごいね」「上手だね」といった具体性に欠ける中身のない表面的な「おざなりほめ」

「やさしいね」「かわいいね」といった性格や能力、外見といった表面上の特徴を中心にほめる「人中心ほめ」

これら2つのほめ方には、
・表面的である
・具体性に欠ける

という共通点があります。

そして、これらの「ほめ方」は言葉足らずで具体性に欠けるため、評価のものさしを子どもが想像しなければなりません。他のものごとへの応用や次への教訓を得にくい、つまりは「学びにつながらない」という特徴があります。

<私の失敗>
何年も前に、体育で表現運動(音楽に合わせてグループごとに創作ダンスをする)に取り組みました。
子どもたちの体と心をほぐそうと、音楽に合わせて私の動きをまねしてもらいながら、「いいね!」「かっこいい!」「ナイス~!」と子どもたちを盛り上げました。
雰囲気も良く、和気あいあいとした様子で取り組みはじめたので、グループを回って声をかけながら見守っていました。ところが、見ているとなんだか違和感があるのです。
子どもたちは最初の私の手本の動きの順番を組み替えただけのダンスを踊っていました。しかも、その傾向は他のグループにも見られました。
「創作ダンスなのに全然創作してないじゃん!」
子どもたちはがんばっています。体を大きく動かし、表情は真剣です。
でも、どこかおもしろくなさそう。
結局グループごとの振り付けの違いもそれほどない、味気ない表現運動になってしまいました。


「おざなりほめ」と「人中心ほめ」が積み重なるとどうなってしまうの?

「おざなりほめ」と「人中心ほめ」大きく分けて4つの問題点があります。

  • 「ほめられ依存症」になる

  • 興味を失う

  • チャレンジ精神が低下する

  • モチベーションが低下する

<「ほめ方」という視点からの私の失敗の分析>
・授業の冒頭で具体性に欠ける表面的なほめ方をしてしまったために、子どもたちは「こうした動きをすればほめられるんだ」という認識になった
・新たな振り付けを考えようという創造的なチャレンジをしようと考える子が少なくなり、全体的に思考停止状態になってしまった
・思考停止状態のためにおもしろさに欠け、導入の段階から徐々にモチベーションが低下していった

「ほめ方」だけでなく、指示や活動の組み立て方など、検討すべきことはいくらでもありますが、ここでは「ほめ方」という観点から内省してみました。

かつての自分よ、今冷静に考えたらもう少しやりようあっただろうに。
もっと早くほめ方のノウハウ知りたかった…


続きはこちら⇩


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?