バーチャル社員証が退職者に愛される理由=採用・売上目的にしない×エンプロイー・エクスペリエンス(従業員体験)

バーチャル社員証、ほしい!もらうためにスープストックトーキョーに入社して、退職するという迷惑なこともしたくなるレベルでほしいです(笑)。

なぜ? 退職者に「バーチャル社員証」発行 スープストックトーキョーの狙い (1/2)

理念の「世の中の体温をあげる」を体現されていますよね。「世の中」ということは退職社も当然含まれていますし。こういった公共性の高い理念と最後の実務が一致している会社、好き。

記事内でも退職者がスープストックトーキョーを愛していることがよくわかります。退職者から「アルムナイ入りたいんですけど」と連絡がくるってすごいですよね。復縁系企業か。いわば別れたパートナーから「ヨリを戻そう」と言われる系カンパニーですね。

なぜここまでバーチャル社員証は愛されるか。デザインがいいから。確かにほしい。見たことないけど。スープを安く飲めるから。それは絶対そう。

でも、これらの理由は枝葉でしかないです。本質は二つだけ。

(1)バーチャル社員証が稟議用の社内メリットではなく、退職者メリットでつくられていること

(2)退職のその瞬間だけでなく、入社から就労、退職までのエンプロイー・エクスペリエンスが良いこと

それぞれ考えます。

◆一番大事な点は、採用・売上を目的に「しない」こと◆

この記事で一番大切な点は、この何気ない一言だと思うんですよね。

採用は主目的ではありませんが

「採用が目的じゃないなら何のために退職者とつながるの?この裏切り者が!」とまではいかなくても、「数字にならないメリットになんの意味が?」と議論になりそうです。

これはバーチャル社員証なりアルムナイなりの制度を「稟議にかけるときの社内メリット」と、実際に「制度を企画・実施するときの退職者メリット」わけて考える必要があるという話です。

わけるとこんな感じです。

●稟議用の社内メリット

(1)再雇用や出戻りなどの採用につながる

(2)売り上げにつながる

(3)商品・サービス、採用のブランド向上につながる

これらを証明するためにバーチャル社員証やアルムナイの事例をかき集めるわけです。これでもかとかき集めて稟議を通すわけです。「社内は全員敵だ」と思って通すわけです。

ただ、この観点で退職者とつながろうとすると確実に失敗するんですよ」。理由はシンプルです。いずれの社内メリットも退職者のメリットではないからです。

退職者からすれば「出戻りたいわけじゃないんだけど。御社の売り上げが伸びて私にいいことあります?」が本音です。

なので、稟議とは別に退職者メリットを考えます。スープストックトーキョーは強いですよね。

おいしいスープが安く飲める。以上。解散。

実際は解散できないので、このメリットを定量と定性にわけてつくることになります。ここが一番大変なポイントだと思うんですよね、、、定性的な退職者メリットは「ひととのつながり」など情緒的なメリットをつくれます。

でも「安くスープを飲める」のような退職者の財布を潤わすほど数字に現れるメリットをつくれる企業は消費者向け商品、サービスを展開している企業に限られますよね。

なので、取り急ぎtoC企業は稟議用社内メリット退職者メリットをわけることからですね。バーチャル社員証、ください。

◆退職エクスペリメンスは、入社時からはじまっている◆

さて、鋭いひとは築くわけです。「割引かれるくらいで前職とつながると思うなよ!みくびるな!」というわけです。何かあったのか。

でも、これも退職者の本音ですよね。退職とその後のつながるメリットだけつくられても嫌なんです。「退職交渉のときの上司の態度がなぁ」だったり、「わけわからない異動させやがって」のような黒い気持ちが育っていたら、どれだけバーチャル社員証がGLAYのTERUさんデザインでも、GLAYのライブ行き放題になってもつながりたくないです。

(私ならつながります。すべてを吹き飛ばすメリット)

つまり、入社から就労までに従業員が会社への忠誠心が高まる体験があってこそ、バーチャル社員証やアルムナイは成功します。稟議用の社内メリットが出てくるのも、ここまでしてこそです。

退職後も会社とつながる体験を退職エクスペリメンスとするなら、退職エクスペリメンスは入社時からはじまり、就労期間も続き、退職届けを社員から受け取り、最終出社日も含まれます。長い道のりです。

スープストックトーキョーのバーチャル社員証は、退職者メリットから設計されているように見えますし、少なくとも就労期間の体験は良いものだとわかります。

バーチャル社員証をきっかけに、退職者メリットは社内の稟議用メリットとはわけて考える、退職エクスペリメンスは入社から就労期間も含むことが議論されるようになりますように。

トップ画像はTasty lifeさんのイラストです

トップ画像はTasty lifeさんのイラストをお借りしました。完全にスープストックトーキョーイラストですね。こういう生活が割引ができるなら、バーチャル社員証はやはりほしい。
素敵なイラストをありがとうございます。

CM〜team「最高の会社の辞め方」、退職学グループをはじめました〜

「最高の会社の辞め方」を通じて、個人が「働きたい(貢献)、暮らしたい(大切な人との時間)、遊びたい(純度の高い自分に戻る時間)」を実現しながら会社にも貢献する働き方を模索しています。

詳細はマガジンで更新していきます。

日本の退職の歴史と個人と会社の関係(Organization Relationship)の仮説を立て、退職学をはじめました。

「働きたい(貢献)、暮らしたい(大切なひととの時間)、遊びたい(純度の高い自分になる時間)」を叶える「守りのキャリア論」を展開していきます。

そのチームのグループと運営チームができましたので、興味を持ってくださった方はご連絡ください。ご招待します〜!アルムナイや退職市場に興味ある方、ぜひ。

現状は17名のメンバーで運営しています。人事、研修、マーケティング、営業、ライティング、編集、コンサルタント、コーチング、調査、エンジニア、会計のプロフェッショナルが集まっています。年齢も20代〜60代と幅広いです。

〜自己紹介〜noteを毎日更新して156日目〜

佐野創太 

サービス・採用広報チーム・Webメディアの編集長、聴き手です。
「届けたい相手へのメッセージを無理なく届け続ける」発信体制を立ち上げています。

最近は退職学の研究者として、「最高の会社の辞め方」をチームで発信しています。

その他の活動としては、ミュージシャンのインタビュアーをしています。ゴールデンボンバーやキズといったヴィジュアル系バンドや、ちゃんみなさんのお話を伺ってきました。結論、ミュージシャン最高。

プライベートではソロ男からの妻ファーストな共働き夫、1児の父です。「睡眠不足の魔の8段階」の最終フェーズに入ったような気がします。

経歴は荒れています。就活迷子→会社員→転職→早期退職→無職→出戻り→独立→複業編集フリーランス(今)です。もう正社員市場、人材市場には相手してもらえなくなりましたなぁ。

ざっとまとめるとこうなります。

【所属、複業先、属性】
◆人間関係をテーマにしたオーネットのオウンドメディア「おうね。」編集長
◆社員シェアリング・複業トレーニングのTonashiba編集長
◆「共感資本社会」を目指す株式会社eumo編集長
◆HED(一般社団法人 法人営業デジタル化協会)編集長
◆日本で唯一のeKYC対応のデジタル身分証アプリを提供する株式会社TRUSTDOCKの採用広報・立ち上げメンバー
◆フリーランス向け報酬即日払いサービス『先払い』を展開するyup株式会社のメディア立ち上げメンバー、サービス編集長
◆"愛"に寄り添うテクノロジー紹介メディアLove Tech Media副編集長
◆退職の手紙で「最高の会社の辞め方」プロジェクト発起人・退職学の研究者
→インタビューしていただきました

◆共働き小説を婚活アドバイザーの方と執筆中(完全原稿あり)
◆ヴィジュアル系深読みライター(神谷敦彦)の『ヴィジュアル系の深読み話』
◆ソロ男からの妻ファースト、1児の父 New!
◆産休中の妻の付き添い中(里帰り出産中)→出産入院中の妻の帰り待ち→共働き育児中 New!
→インタビューしていただきました

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(twitterはトップのURLが出なくなっていたんですね)

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