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【組織づくりの「ステージ0」は退職】不安と期待が50%:50%〜リクルート、カムバック採用を支援する新サービス『Alumy(アルミー)』〜

いい話だと思うなぁ。不安と期待が50%:50%です。

◆組織づくりのステージ0は、退職

経営課題に「採用しても社員が退職してしまう」が並ぶようになっている企業様にとって、組織づくりを強化する一歩目、いわば「ステージ0」は退職デザイン・エグジットマネジメントになっています。穴の空いたバケツでいくら水をすくおうとしても水は貯まらないように、採用や育成、活躍や定着にいくらひともお金も注いでも残るのは徒労感だけ。

そんな「組織づくりの一歩目は退職なんじゃないか」という認識を、施策にまで落とし込んでくれるサービスをリクルートがはじめたようです。

>リクルート、カムバック採用を支援する新サービス『Alumy』の実証実験を開始

◆不安:「採用の新しい手法」としてのアルムナイやカムバック採用は行き詰まる

打ち出し方が「採用の新しい方法」となっているところは、少し気になります。採用は短期的かつ定期的に計画している企業が多いので、退職という長期的かつ不定期に採用につながる可能性がある領域を採用施策として受け入れられるのか。反対に、「退職を整えるとすぐに採用に結びつく」が証明できたら、一気に流れが変わることはあります。

あとは、「退職者を管理できればカムバック採用が増える」の思想ではないといいなと思います。採用〜退職までの従業員ジャーニーで、退職だけ整えても、採用に結びつくことはありません。例えば定着の段階で「この会社に戻ることはない」と思う体験をしていたら、出戻りを希望する社員はいないです。

現段階のカムバック採用は一部の大手企業に限られています。大手企業の社員はまた大手企業に行くことを願うことが多いので、退職者管理に賛同するメリットもあります。しかし、そういった企業はすでに自前で退職者を管理しているため、『Alumy(アルミー)』を使うインセンティブは弱いです。

よって、「退職者を管理して採用に結びつけたければ、従業員ジャーニーのすべてを整えましょう。つまり、組織づくりをやり直しましょう」という高度な提案をすることを期待しています。

◆大きな期待

リクルートは組織づくりのすべての段階のサービスを持っています。採用、育成、活躍、定着。そして今回の退職。(早期退職、再就職支援はすでにある)

とはいえ、カンパニーや担当者がわかれているので、ワンストップでサービスを提供はできていないことの方が多いでしょう。ワンストップの営業は高度な育成が必要ですし。

さらにとはいえ、ホールディングスの視点で考えたら「採用で関わっている企業にはすべてのサービスを提供したい」と考えるのは自然です。そんなワンストップサービスを提供する一歩目として『Alumy(アルミー)』は位置付けられているかもしれません。

であるならば、リクルート全体の知恵やデータベースが集中するので、この事業は人材領域の事業の成長と一緒に、成長する可能性が上がります。

でもこれは「人材企業の巨人:リクルート」の記憶が強い私世代の考え方かもしれないですね・・・あとは退職領域を盛り上げてほしい「退職学™️(resignology)」のポジショントークです(笑)。

◆個人の「また転職するだろう」の意識の高まりを活用できるか

個人側にもキャリア選択として「出戻り(カムバック)」は現実的になっています。いまの会社・人間関係は「未来の転職先・副業先(複業先)取引先」という認識が広まっています。

転職活動者から見ても、約半数にのぼる47%(※)が「転職後も転職前の会社と接点を持ち続けたい」とかつて働いた会社との関係性継続を求めており、企業との中長期的な関わりを通じたキャリア形成を希望していることが分かります。
(※)リクルート「転職活動者の意識・動向調査(2021)」

リクルート、カムバック採用を支援する新サービス『Alumy』の実証実験を開始

個人と組織の関係は希薄になっています。心理的契約であった終身雇用が心理的にもお互いが守れなくなっています。個人にとっては「どうせ辞める会社で真面目に働く気はない」、企業にとっても「どうせ辞める社員に投資する理由がない」となってしまいがちです。特に業績が落ちた時ほど。

でも、『Alumy』のように「退職後も関係は続く」ことが当たり前になれば、きっと終身雇用に代わる個人と組織の関係がつくられます。関係とは蝶々結びのようなものですからね。何度でも固く結べるし、解けます。退職は縁の切れ目ではなく、新しい関係づくりのステージ0です。

退職領域が盛り上がりますように。

「退職学™️(resignology)」・佐野創太


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