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海と言えば。(1584文字)


海といえば夏、波の音、白い砂浜、照りつける太陽、そして平和。


ブーメランパンツでこんがり小麦肌、引き締まったからだのお爺さん。
テンションがあがったのか、若いお兄さんは下着のピンクプリーフで砂浜を側転中。
ふくよかなおしりをプリッとさせて井戸端会議する黒人女性たちもいれば、
筋肉隆々の警備員たちは制服を着崩し、腰パンにサングラス。


ここは日本かい?日本海?いや、2本かい?


灼熱の太陽の下、ひたすらにビーチバレーのラリーをくりかえすカップルもいれば、
「中国語も、英語も話せるなんてマジカッコイイ!」と、香港からきた女の子たちを口説くことに夢中な男の子も。連れの友達はというと、しらけてずっと携帯とお友達。
 全身に気合の入った刺青があるおじさん二人組は、しっぽりとガリガリ君を舐めている。

まったりするもよし、出会いをもとめるもよし、ワイワイするもよし。こんなにも雑多な人たちが一堂に楽しめる場所は、めったにない。
おじさんが高台から双眼鏡を真剣な面持ちで構えている。見えているのは遠海ですか?それとも乙女たちの水着姿?



 ひたすらもくもくとビーチのゴミを拾う人や、サーファー、釣り人、ランニングする人。中年男性は奥さんのおなかをまくらにして、読書中。
 ジェットスキーで立ち入り禁止ラインを越えて警告サイレンをならされているのに、まるで気づかない人は、ビーチにいる全員から注目を浴びているし、
ぽんぽこおなかのあかちゃんは、スコップ片手に懸命に砂を掘り続けている。楽しみ方は十人十色、三者三様。そしてそのすべてが、どこまでものどやか。



 「ウェーイ!!」
夏+海+アルコールの相乗効果で、そこかしこでパリピのテンションがあがった音が聞こえてくる。
 年齢不詳のギャルママと娘はチューブトップの水着で、「今が稼ぎ時」とばかりに汗をかきかきドリンク作り。



 

ゆったりした海原を眺めていたら、海水に足をつけてみたくなった。裸足でそっと砂浜を踏みしめた。

「熱ぅ!!」

熱砂の体感温度は70度。気分はサハラ砂漠。一瞬で、足裏全体に水ぶくれができそうだ。
でもあと少しがんばれば、冷たい海水だ。頑張ろう!
「あっつ!痛っ!」
割れた貝殻も熱くなり、もはや凶器と化している。
 痛さと熱さで、走ることもできず、泣きながらゆっくり海を目指す。

 気分はまるで孵化したばかりのウミガメ。危険な海を一目散に目指す。

「やったぁ!着いた!」


打ち寄せるひんやりとした波に足をつける。煙と共に「ジュワ~」と音が聞こえる。
さぁ問題は、この灼熱のサハラ砂漠をどうやって戻るかだ。
もといた場所は遥か遠くに見える蜃気楼のよう。

 

こんなこともすべてが平和そのもの。
 海には、マスクも除菌スプレーもソーシャルディスタンスだって似合わない。





 インドを訪れたとき、まだ日が昇るか上らないかの時間に朝のビーチにいくと、夏の湘南かのような人出で賑わっていた。
 相撲をとるひと、側転するひと、犬と遊ぶ人、語らう人、ヨガする人、服のまま浮かぶ人。
何をしているのかわからない、ちょっと適切な動詞が思い浮かばないことをしている人もたくさんいたけれど、みんな一様に楽しそうだった。
 今月6日、新型コロナウィルス感染者が200万人を超えたというインド(8・7付 BBCニュース)
こんな愉快な光景も今年はないかもしれない。


沖縄、九州、中国、近畿、四国、関東、東海、インド、オーストラリア、ハワイ。あちこちで海にいったけれど、どこでも思うことは一緒だった。


みんな海が大好き。
海は平和。
みんな平和が大好き。
海は平和の象徴。


 海にいけないときは、ジャックジョンソンやサザンをBGMにすれば、たちまちそこはビーチサイドの海の家。スピーカーをキッチンに移動させてクッキング。
つくるメニュウはカレーに決まり。
息子はぬる~い水を溜めた浴槽でぷかぷか沐浴中。
今日は昼から夫と乾杯しよう。


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